kinple金融(kinyu-)の世界をsimpleに

不動産の売却益にかかる税金とは|譲渡所得の計算・注意点3つ

2020 10.21この記事はPRを含みます

不動産の売却益にかかる税金とは?

自分が住んでいる家や土地などの不動産を売却した場合、得られた売却益(譲渡所得)に対して税金がかかるため確定申告する必要があります。

通常、会社員や公務員などの給与所得者の場合は、年末調整を受けるため確定申告する必要はありませんが、不動産を売却して売却益があった人は確定申告する必要があります。

あらかじめどのような税金がどれくらいかかるのか知っておくと良いでしょう。

不動産の売却益の譲渡所得にかかる税金3つ

家や土地など売却して得られた売却益に対して課税されるのは主に、「譲渡所得税」「住民税」「復興特別所得税」の3種類の税が対象になりますが、もちろん売却益がなければいずれも課税されません。

ちなみに、不動産の売却益に対して課税される譲渡所得税・住民税・復興特別所得税は総合課税の扱いにならないため、給与所得など他の所得とは分離して税金を納付することになります。

国税庁

税金1:所得税と住民税・復興特別所得税の課税

基本的に不動産を売却して得た売却益にかかる税金は所得税と住民税の2種類ですが、2013年1月1日~2037年12月31日までの期間は復興特別所得税が課税対象となっています。

給与所得者や事業者の所得税は、1年間分の給与所得や一時所得を合算する「総合課税」方式によって税金を源泉徴収されますが、不動産の売却益はこれとは異なり「分離課税」方式によって税金を納付することになっています。

復興特別所得税関係(源泉徴収関係)|国税庁

税金2:所有期間によって課税額が異なる

不動産の売却益にかかる税金の税率は、購入した年月日を起算して売却した年の1月1日時点における不動産の所有期限に基づき、以下のように分類されています。

1.短期譲渡所得
所有期間が5年以下の場合:39%

2.長期譲渡所得
所有期間が5年以上の場合:20%

3.長期譲渡所得
所有期間が10年超のマイホーム軽減税率の特例:6,000万円以下の部分は14%、6,000万超の部分は20%

土地や建物を売ったとき|国税庁

税金3:譲渡損失の場合は所得税や住民税の軽減

家などを売って譲渡損失が発生した場合は、損失通算や繰越控除の制度を利用すると所得税や住民税を軽減できます。

不動産を売却した場合は、買った値段より高く売れるとは限りません。手持ちの不動産が値下がりして売却損が発生した場合は、税金を減額したり控除したりしてもらえる制度があるので知っておくと良いでしょう。

不動産の売却益の譲渡所得にかかる税金の特例3つ

不動産を購入したときに相当な税金を払っているにもかかわらず、不動産を売却した時にも税金がかかるので注意しましょう。

税法の定めによって不動産を購入したときには税金を収めなければなりませんが、不要となった不動産を売却するときにも課税されることが定められています。ただし、税法の要件を満たしている場合は、特例を利用した節税対策をとることが可能です。

特例1:譲渡損失による繰越控除

5年を越えて保有した住居などの不動産を売却して譲渡損失が発生した場合は、譲渡損失による繰越控除制度を利用することによって同年のほかの所得と損益通算することが認められています。

繰越控除によって損益通算しても赤字が解消されない場合は、翌年以降の3年間にわたって譲渡損失の繰越控除制度の適用が受けられます。

損益通算及び繰越損失額の控除を行う場合

特例2:3,000万円の特別控除

住居用不動産を売却する場合、期間の長短にかかわらず譲渡所得から最高3,000万円まで控除してもらえる特例制度がありますが、以下のような適用条件が付されています。

1.今まで自分が住居している家屋や敷地(借地権を含む)を売却した場合(以前住んでいた家屋や位置が含まれる場合がある。)が該当します。

2.前々年までこの特別控除を受けていない場合や譲渡損失について損益通算および繰越控除の特例を受けていない場合が該当します。

特例3:相続した家に子供が住んでいた場合

相続した子供が住んでいる家(所有権の移転登記済み)を売却する場合は、家の取得費が売却価格の5%ルールの適用を受け高額な税金になるため、売買契約書などの保存の有無を確認しておく必要があります。

なお、相続した空き屋を売却する場合は、2016年4月1日~2023年12月31日までの期間限定で「空き屋にかかる3,000万円の特別控除制度」の特定措置の適用が受けられます。

不動産の売却益における譲渡所得と税金額の計算方法3つ

居住している家を売却する場合は、印紙税・譲渡所得税・住民税などの税金を収める必要があります。

一定の要件を満たす場合は、売却益に対する特別控除の適用が受けられることから、納付する税額を少なく抑えるなどの節税対策をとることが可能となります。

ちなみに、売却額が購入額より高くならないことや最高3,000万円の特別控除の特例が適用できるため、ほとんどのケースでは税金が発生することがありません。

計算方法1:譲渡所得の計算方法

家などを売ったときの不動産売却益とは、土地や建物を購入した金額より高額で売れた場合に得られる利益をいいますが、確定申告においては課税譲渡所得と呼ばれます。

不動産の課税譲渡所得(売却益)は、以下の計算式によって求められます。

・課税譲渡所得(売却益) = 売却額 - ( 購入額 + 譲渡費用 )

特例が適用された場合は、以下のような計算式になります。

・課税譲渡所得(売却益) = 売却額 - ( 購入額 + 譲渡費用 + 特別控除額)

計算方法2:譲渡所得の税額計算

不動産の売却益にかかる確定申告をする際の税額計算は、譲渡所得から適用を受ける特別控除額を差し引いて課税譲渡所得に税率を乗じて算出しますが、課税譲渡所得はほかの所得と合算ができません。

収める税金の金額計算は、譲渡所得額→課税譲渡所得額→納税額の順に求めてください。

計算方法3:譲渡所得の税率表

家を売却したときの課税譲渡所得にかかる税金の税率は、購入してから売却するまでの期間(所有期間)に応じて短期譲渡所得と長期譲渡所得に区分して設定されています。

さらに、10年間を超える所有期間の家を売却する場合は、一定の条件を満たせば「10年超所有権減税率」が適用されます。

No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例|国税庁

不動産の売却益と税金の注意点3つ

不動産を売却して売却益を得た場合は、譲渡所得に対する特例の適用を受けるなどの節税対策が大切ですが、確定申告で収める税金を少なくするためには適用条件を満たす必要があります。

なお、不動産の譲渡所得を計算する際には、3,000万円特別控除や10年超所有軽減税率などの特例が適用できますが、特例をクリアするためのキーポイントとして所有期間・居住期間・建築年数などの判定が重要な意味を持ちます。

注意点1:居住期間

不動産の売却益にかかる税金の注意点1つ目は、売却する家の居住期間を確認することです。

居住期間とは入居日から転居日までの延べ日数をいいますが、単身赴任などの事情で本人が住んでいなかった期間があっても、家族が継続して住み続けていれば特に問題ありません。

この特例が適用されるのは、基本的に自分が日常的に居住している家が対象となるため、自分が所有していても居住していない場合は適用除外となります。

注意点2:所有期間

不動産の売却益にかかる税金の注意点2つ目は、売却する家の所有期間を確認することです。

売却した年の1月1日までに何年が経過しているのかによって収める税金の額が変わります。

譲渡所得に対する税金の特例は「5年以下」または「5年超」によって適用される税率が約2倍変わるため、微妙な期間であれば5年超が適用されるまで延ばす方が節税には効果的です。

注意点3:建築年数

不動産の売却益にかかる税金の注意点3つ目は、売却する家の価値(減価償却)を算定するために建築年数を判断基準とすることです。

ただし、不動産所得における建築年数の税法上の取り扱いは、所有権登記日を起算日することになっています。新築の戸建住宅を購入した場合、取得日は鍵の引き渡し日となりますが、建築年数の起算日は登記手続きの完了日となります。

不動産の売却益にはどんな税金がいくらかかるのか理解しておこう

先行き自分の住居を売却したいと考えている人は、不動産の売却益に対してどれくらい税金がかかるのかあらかじめ知っておくことが必要です。

不動産売却益の確定申告にはさまざまな特例制度が適用されますが、適用条件を知っておくことが節税対策に繫がります。仮に売却損が生じた場合も損益通算や繰越控除などが適用されるため、不動産の譲渡所得について理解しておくことをおすすめします。

\ お金の勉強をしよう/
ページの先頭へ