不動産査定書を入手する手段別のメリット・デメリットとは
2020 06.29この記事はPRを含みます
不動産査定書とは
不動産査定書とは売買しようとする不動産の情報や査定額、根拠となる情報が記載されている書類です。
一般的に不動産査定書は、不動産会社が無料で作成するタイプと、不動産鑑定士が有料で作成するタイプがあります。
不動産会社の査定には、住所・面積などの不動産のデータだけで査定額が計算される「机上査定」と、現地訪問する「訪問査定」の2種類があるでしょう。また、不動産鑑定士は基本的に、現地を訪問して、国の基準をもとに有料で査定を行います。
不動産査定書の内容
不動産査定書の内容は、一般的に査定の根拠となる情報や査定額の根拠、査定額の計算式などが記載されています。
戸建住宅の場合は物件によって傷みの具合が異なるため、築年数や修復歴、建物の状態なども記入してあることが多いです。
不動産会社が作成する不動産査定書の内容は、会社によって形式や内容が異なります。また、不動産鑑定士が作成する査定書は、国が定める鑑定評価基準に基づき、厳格に定められた内容で作成します。
不動産査定書の作成にかかる費用
不動産を売買する際に仲介手数料がかかりますが、不動産査定書の作成にも、費用がかかることがあります。
不動産会社が作成する書類や、インターネットなど利用して簡単にできる不動産一括査定などは、無料でできることも多いですが、不動産鑑定士が作成する査定書には費用がかかるでしょう。
また、不動産鑑定士が査定する不動産が土地だけの場合と土地と建物の場合、建物の建築年数や規模によっても費用は異なります。
査定額の算出理由
査定書には、売買しようとしている不動産の情報に加えて、査定額とその根拠となる算出理由が記載されるでしょう。
査定の根拠となる算出理由は、不動産会社によって形式や内容が異なることがありますが、その違いは、主に査定額の根拠や参考となる事例、対象となる近隣の不動産情報、査定額の計算式によるものではないでしょうか。
また、不動産鑑定士が作成する査定書は、国が定める不動産鑑定評価基準に基づき、算出・審査されます。
【手段別】不動産査定書を入手する際のメリット・デメリット
不動産査定書の入手手段として、不動産会社に依頼する方法と、不動産鑑定士に依頼する方法がありますが、それぞれにメリットやデメリットが存在します。
また、メリットやデメリットは依頼する内容や目的などによっては、反対になることもあるかもしれません。
不動産査定書の作成が無料で日数が短縮できても、正式な書類が必要なときや裁判などでは不動産査定書を取り直すこともあり、不動産査定書を必要とする目的を明確にすることが大事でしょう。
不動産鑑定士に依頼して入手するメリット3つ
国家資格である不動産鑑定士に依頼して作成してもらう不動産査定書は、費用や査定書ができるまでの日数はかかりますが、不動産会社とは違ったメリットがあります。
不動産に対する税務調査でも、不動産鑑定士が作成した不動産査定書が手元にあると、安心して税務調査を受けられるのではないでしょうか。
また、不動産でトラブルになった時、裁判所や税務署などで公的な資料や証拠として利用できるため、問題を早く解決するための有効な書類となるかもしれません。
1:高い信頼性を持つ
国家資格の保有者である不動産鑑定士が作成した不動産査定書は、信頼できる公的書類として利用が可能です。
不動産会社が作成する査定書と、不動産鑑定士が作成する査定書を比較すると、国家資格を持つ不動産鑑定士による査定は、時間をかけて細かく内容を確認してもらえるでしょう。
また、対象となる不動産を何度も訪れ、主観を交えず細かい審査基準に基づいて作成するので、信頼性があるといえるのではないでしょうか。
2:公的な書類が必要なときに役立つ
不動産鑑定士が作成した不動産査定書は、公的な書類が必要なときに役に立つでしょう。
不動産の売買や投資目的などの場合は、不動産会社が作成した不動産査定書が参考になりますが、裁判所や税務署などが判断する書類としては、信頼性のあるものが求められるのではないでしょうか。
公的な書類が必要になる例としては、会社合併や不動産に抵当権を設定する場合の鑑定評価、相続や財産分与などが挙げられます。
3:裁判所に提出できる
裁判所が不動産に関する事案を判断する場合に、不動産鑑定士が作成した不動産査定書は公的な書類として提出が可能です。
裁判という法的な場面で、不動産鑑定士が作成した査定書が利用可能な理由は、売買利益という目的ではなく、客観的な基準に基づいて作成されているからでしょう。
現地に行かずに作成された書類や、現地を確認しても売買の目的で、作成者の意思が入る可能性がある不動産査定書よりも、明確な根拠に基づいて作成された資料の方が、適しているのではないでしょうか。
不動産鑑定士に依頼して入手するデメリット2つ
不動産鑑定士に依頼して入手する主なデメリットは、依頼してから不動産査定書が完成するまでに、日数がかかることや作成費用がかかることです。
また不動産鑑定方法は国の基準で行われるので、売買利益を優先したい人にとってはデメリットになるかもしれません。
1:日数が必要となる
不動産査定書を作成するための日数は、不動産会社が作成するよりも、不動産鑑定士の方が長くなる可能性があります。
不動産会社は、実際に不動産を見ることなく作成が可能です。また、現地の不動産を見て、地域の相場などをもとに検討し、不動産査定書を短期間で作成することもできるでしょう。
しかし、国が定めた不動産鑑定評価基準に基づいた審査を行う不動産鑑定士は、現地での細かいチェックを行い、査定額を正確に分析するため、基本的に不動産会社よりも長い日数が必要となります。
2:費用が発生してしまう
不動産会社が作成する書類は無料の場合が多いですが、不動産鑑定士が作成する不動産査定書は、費用が発生してしまうでしょう。
不動産鑑定士が作成する査定書の費用は、鑑定評価額と不動産の種類によっても異なります。
また、査定する不動産が土地だけの場合と土地と建物の場合、建物の建築年数や大きさによっても費用は異なる可能性があります。鑑定評価額が高くなるほど、必要な費用が高くなることもあるようです。
不動産会社に依頼して入手するメリット2つ
不動産会社に依頼して査定金額が入った書類を入手する場合、不動産鑑定士が作成する書類と違ったメリットがあります。
不動産鑑定士が作成する査定金額より売却価格に近い額が査定されるほか、作成日数が短くなることや、一般的に費用がかからないことがメリットになるでしょう。
また、不動産の売買契約に結びつきやすく、他の不動産会社と簡単に比較できるなどのメリットもあります。ここからは2つのメリットを紹介します。
1:売却価格に近い額を査定できる
不動産の売買には現実的な査定が必要で、売却を扱う不動産会社であれば、売却価格に近い額を査定してもらえます。
不動産会社が、なぜ売却価格に近い額が査定できるかというと、物件がある地域の不動産市場を知っているからです。
また、不動産業界は競争が激しく、他社とも比較されることから評判も大事になり、顧客獲得にもつながるのではないでしょうか。そのため、売却価格により近い査定を行ってくれる場合が多いでしょう。
2:費用がかからないことが多い
不動産会社による査定は、一般的に費用がかからないことが多いです。
不動産会社に行かなくても、インターネットを使って簡単に査定金額を知ることができ、不動産一括査定サービスもいつでも無料で利用が可能です。
このような簡単な査定で費用がかかると、不動産会社に査定の依頼や不動産の情報が入らなくなる可能性があるため、無料の場合が多いのではないでしょうか。
また、不動産会社に所属する不動産鑑定士に査定を依頼した時には、費用がかかることがあります。
不動産会社に依頼して入手するデメリット
不動産会社に査定を依頼し、査定金額を入手するときにはメリットだけでなく、デメリットもあるため注意が必要です。
不動産一括査定サイトを利用する場合、本来よりも高く査定されてしまうことがあります。また、悪質な不動産会社とのトラブルや、個人情報や物件情報が漏れてしまう可能性もあるため、注意が必要でしょう。
不動産会社によって査定額が異なる
不動産会社による査定額は、不動産一括査定サービス利用の場合だけでなく、現地を確認した査定でも査定額が異なることがあります。
一般的に不動産会社による査定額の計算方法は共通していますが、建物の場合は傷み具合の状況や建築年数、またリフォーム歴などの判断に違いがあるため、査定額が異なる可能性があります。
また、同じような物件の情報や地域における不動産情報、また査定額の計算式などが不動産会社によって異なる場合もあるでしょう。
不動産査定書で可能なこと
不動産鑑定士や不動産会社が作成した不動産査定書では、査定額の根拠や売却額の相場などを知ることができるでしょう。
不動産査定書がなく会話だけの査定額では、お互いに都合の良い解釈となり、トラブルに発展することもあるかもしれません。
不動産鑑定士が作成した不動産査定書は、初歩的なトラブルを回避するだけでなく、裁判所や税務署などに公的な書類として提出も可能です。
可能なこと1:売却額の相場が分かる
不動産査定書には、査定額とその根拠が記載されるため、不動産の売却額が分かります。また、複数の不動産会社から同じように取得することで、売却額の相場も分かるのではないでしょうか。
不動産を売却するには、必ずしも高い金額が提示されている不動産会社がよいというわけではないため、注意が必要です。
地元の不動産市場にどれだけ精通しているか、売却実績はあるか、近辺での取引事例を把握しているかなどを確認することも大事でしょう。
可能なこと2:悪質な不動産会社とのトラブルを防ぐ
悪質な不動産会社とのトラブルを防ぐためには、依頼する側にも問題がないか、十分心得ておく必要があります。
悪質な不動産としては、十分な調査もせず高い売却額を示し、販売できるまで長い期間がかかる例や、手抜き検査で売却額を示し、販売後に欠陥が見つかり賠償を請求される例などがあるでしょう。
また、査定を依頼した不動産会社からしつこく電話が続く場合や、一括査定サイトで個人情報がばらまかれる可能性もありますので、注意が必要です。
不動産査定書を作成して売却額を想定しよう
不動産を売却するには、不動産査定書を作成し売却額を想定しましょう。
不動産の売却相場を知るためには、複数の不動産会社から現地を確認してもらい、査定額の算出理由や査定額の根拠をもとに、作成された不動産査定書を提出してもらうことが必要です。
複数の不動産会社からの売却額を参考にすることで、安く売却することなく、有利な交渉につながるかもしれません。