所有権移転登記とは|登記が必要な理由と登記の6つのステップ・必要書類
2020 06.29この記事はPRを含みます
所有権移転登記とは
所有権移転登記とは、土地や建物などの不動産の所有権が他者へ移転したときに行う登記のことです。
不動産の相続や、売買、譲渡などによって不動産の所有権が移転した場合には、所有権移転登記を行う必要があります。所有権移転登記を申請する場合は売り主、買い主の連名の登記申請書を提出することになります。
また、手続きは一般承継なのか特定承継なのかにより一部異なります。ここでは所有権移転登記について解説していきます。
所有権移転登記が必要な理由
所有権が移転したことが登記簿に記載されることで、不動産の所有者であることを主張できます。
登記簿は一般公開されているため、誰でも参照することが可能です。登記簿には所有権だけでなく抵当権や賃借権なども記載されており、どの権利も登記簿に記載されることで権利を主張することができるようになります。
そのため、不動産の所有者が移転した場合も所有権移転登記によって登記申請をする必要があります。
所有権移転登記が必要な場合4つ
所有権移転登記が必要になるケースは4パターンあります。
土地や建物などの不動産の所有者が、他者に移転する際に所有権移転登記は発生しますが、具体的にはどのようなときに所有権移転登記を行わなければいけないのでしょうか。
ここでは、所有権移転登記が必要な場合4つをご紹介しますので、不動産を所有している方はぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。
所有権移転登記が必要な場合1:売買
不動産の売買を行う場合、所有権移転登記が必要になります。
不動産を売却する場合は自分から買い主へ、購入する場合は持ち主から自分へ、所有権を移転する所有権移転登記が必要になります。一般的に、所有権移転登記が必要なケースで多いのが不動産の売買でしょう。
実際に不動産を売買すれば、所有権が変わることは当然なので、所有権移転登記が必要になるのは実感としてもわかりやすいのではないでしょうか。
所有権移転登記が必要な場合2:遺贈・贈与
不動産の遺贈や贈与を行う場合、所有権移転登記が必要になります。
遺贈とは遺言として贈与することで、贈与はそのままの意味になります。どちらも不動産を無償で譲与されるということですが、遺贈は遺言者が一方的な意思によるもので、贈与は贈与側と受け取り側の双方の契約によって成り立つという違いがあるでしょう。
どちらのケースでも不動産の所有者が移転するため、所有権移転登記によって不動産の名義を変更する必要があります。
所有権移転登記が必要な場合3:離婚による財産分与
離婚による財産分与が発生する場合、所有権移転登記が必要になります。
離婚をする場合、一般的に夫婦で築き上げてきた財産を分ける財産分与が行われます。また、当事者は相手に財産分与を請求することもできます。
その際、当事者によって財産分与による所有権移転登記が行われます。また、離婚で財産分与が行われる場合、基本的には住所も変わることになるため、前提として住所変更登記も必要でしょう。
所有権移転登記が必要な場合4:相続
不動産の相続を行う場合、所有権移転登記が必要になります。
所有権移転登記が行われるケースとして、不動産の売買の次に多いのが相続でしょう。不動産の所有者がなくなった場合、遺言書の確認や遺産分割協議により相続が行われ、相続した不動産の所有権移転登記を行うことになります。
相続による所有権移転登記は、移転を受ける側による単独の申請になるため、他のケースに比べて書類などが厳しくなる可能性があります。
所有権移転登記のステップ6つ
所有権移転登記には6つのステップがあります。
所有権移転登記を行う場合、書面で作成した申請書を登記所に提出する書面申請と、オンラインで必要な情報を登記所に送信する電子申請の2種類があります。
ここでは、書面申請をする場合の所有権移転登記のステップ6つをご紹介しますので、所有権移転登記の手続きについて理解を深めましょう。
ステップ1:売買契約成立・相続
不動産の売買契約が成立した場合や、不動産が相続された場合は、所有権移転登記を行うことになります。
不動産の売買が成立した場合、買い主は売買によって不動産を取得したことを登記しなければ、第三者に自分が不動産の所有者であることを主張できません。不動産を相続した場合も同様です。
そのため、買い主と売り主、もしくは登記義務者と権利者の2人で所有権移転登記を申請する必要があります。相続の場合には、相続人が申請します。その際、遺書の有無などによって用意する書類が変わるため、十分に確認しましょう。
ステップ2:必要書類の収集
所有権移転登記の際には、必要書類を集めましょう。
登記を申請する場合、申請書の他に添付書類を提出する必要があります。不動産の売買による所有権の移転なら、売り主買い主間の登記原因証明情報、売り主の印鑑証明書(発行から3ヶ月以内)と登記識別情報もしくは登記済証、さらに買い主の住民票の写しなどが必要になります。
必要書類は売買なのか相続なのかによって異なるため、事前にチェックして集めておくようにしましょう。
ステップ3:登記申請書等の作成
所有権移転登記の際には、登記申請書等を作成しましょう。
登記の申請では、必要事項を記載した申請書を用意する必要があります。申請書は司法書士に作成を依頼しても良いですが、自分で法務局のホームページにある登記申請書の様式を利用して作成することもできます。
また、建物を新築した場合などに必要な登記の申請書なら、土地家屋調査士などに依頼することも可能です。
ステップ4:法務局に登記申請
所有権移転登記の際には、書類を添えて登記申請を行いましょう。
登記申請書などの用意ができたら、必要書類を揃えて法務局に登記申請をします。その場合、最寄りの法務局ではなく、不動産を管轄している法務局に依頼する必要があります。
また、登記申請は書面申請の他にオンライン申請も可能です。さらに、書面申請も申請用総合ソフトをパソコンにインストールすることで、作成した登記申請書の情報を送信して申請もできます。
ステップ5:登記所の審査
所有権移転登記の際には、登記所での審査が行われます。
提出された申請書は受付され、不動産の登記記録の登記事項を確認しながら、申請内容が法律的に問題ないか、登記記録と一致するか、必要書類が揃っているかなどを審査されます。
また、審査の結果不備が見つかった場合は、登記所の職員の指示に従い不備を訂正することになるでしょう。申請に不備がないことが確認できれば、申請に従って登記記録などに必要事項を記入します。
ステップ6:登記識別情報・登記完了証の受取り
所有権移転登記の際には、最後に登記識別情報と、登記完了証を受け取ります。
無事に登記が完了すれば、登記識別情報と登記完了証が作成されます。申請書を提出してから一定期間が経過したら、印鑑を持参して登記所へ行き、登記識別情報通知書と登記完了証を受け取りましょう。
また、登記識別情報通知書は登記完了から3ヵ月以内でなければ受け取れないため、注意が必要です。
所有権移転登記の必要書類
所有権移転登記をする場合、どのような書類を用意することになるのでしょうか。
所有権移転登記をする場合には、登記申請書と一緒に登記義務者と権利者がそれぞれ必要書類を提出する必要があります。
ここでは、不動産の売買や贈与、財産分与の場合に登記義務者と権利者が用意しておかなければいけない必要書類と、相続の場合に権利者が提出する必要書類にわけてご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。
売買・贈与・財産分与の場合
売買・贈与・財産分与の場合、登記義務者と権利者でそれぞれ書類を用意する必要があります。
売買または贈与、財産分与などで不動産の所有権移転登記をする場合、登記義務者は「不動産売買契約書」「登記識別契約または登記済証」「印鑑証明書」「資格証明書」「固定資産評価証明書」などが必要になります。
一方、権利者は「住民票」「資格証明書」を用意する必要があるでしょう。
相続の場合
相続の場合、登記の移転を受ける側の単独の申請になるため、単独で書類を用意する必要があります。
相続の場合、「登記原因証明情報」「住民票」「戸籍・除籍謄本・戸籍附(除)票・(除)住民票」「固定資産評価証明書」などが必要になります。
所有権移転登記にかかる費用3つ
所有権移転登記の際には、どのような費用が必要になるのでしょうか。
所有権移転登記の際にはさまざまな書類が必要になります。そのため、書類を集めるための費用がかかるでしょう。また、所有権移転登記は自分自身で申請も可能ですが、司法書士に依頼するかもしれません。そのため、司法書士への報酬や、登録免許税も必要になります。
ここでは所有権移転登記にかかる費用についてご紹介しますので、参考にしてみてください。
費用1:登録免許税
所有権移転登記の際には、登録免許税が費用としてかかります。
登録免許税の税率は、登記をする原因によって異なります。たとえば土地の場合、売買の登録免許税は標準課税が固定資産税評価額、税率は2.0%、軽減税率は1.5%となります。また、相続なら標準課税は0.4%、贈与・遺贈は2.0%となります。
建物の売買の場合もほとんど同じですが、売却の場合軽減税率が0.3%になります。相続や贈与、遺贈は土地と同じです。
費用2:必要書類取得のための費用
所有権移転登記の際には、書類を集めるための費用がかかります。
所有権移転登記をする場合は、多くの書類が必要ですが、それぞれ取得するのに若干の費用がかかります。
たとえば、印鑑証明書は400円程度、資格証明書は500円程度、固定資産評価証明書は400円程度、住民票は1人につき300円、相続の場合の非相続人の戸籍・除籍謄本などは数千円かかるでしょう。
費用3:司法書士への報酬
所有権移転登記の際には、司法書士への報酬が必要です。
司法書士の報酬は基本的に、各司法書士が自由に決められるようになっています。そのため、司法書士へ依頼を検討する場合には、あらかじめ報酬についても相談するようにしましょう。十分に説明を受け、納得したうえで依頼するのがベターです。
不動産を取得したら所有権移転登記をしよう
不動産の所有権移転の際には、忘れずに所有権移転登記をする必要があります。
土地や建物などの不動産は、登記によって所有者が誰にでもわかるようになっているため、所有者が変わる場合には、所有権移転登記をすることではじめて所有者が変わったことを証明できます。
ぜひこの記事でご紹介した、所有権移転登記が必要なケースや、所有権移転登記のステップなどを参考に、不動産取得の際には所有権移転登記を行いましょう。