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両手仲介のメリット3つ|売主が知っておきたい基礎知識を解説

2020 06.29この記事はPRを含みます

両手仲介とは

両手仲介とは、不動産会社が売主と買主の間に立って不動産取引を成立させることで、売主側と買主側双方から手数料を受け取ります。

両手仲介をしている不動産会社は、売主の依頼を受け、物件の査定や宣伝を行います。一方で買主の希望する物件を探したり、現地に案内したりします。また、両方の契約書の作成業務など、費用が掛かるので、それぞれに手数料が発生するでしょう。

売主にとっては、売買が短期間に成立するメリットはありますが、売却価格の値引きを迫られる可能性があるというデメリットも存在します。

両手仲介と片手仲介

両手仲介以外に、不動産取引には片手仲介があります。その場合に不動産会社は、売主と買主どちらか一方だけを担当します。

片手仲介は、売主の希望をそのまま反映できますが、両手仲介と比べて買主との契約に時間がかかる可能性があり、売却できないこともあるかもしれません。

一方で両手仲介は、不動産会社が売主と買主双方の立場で交渉するので、公正な取引が行われやすくなるでしょう。

両手仲介、片手仲介それぞれメリットとデメリットがあります。

利益が相反する両手仲介

両手仲介は利益の相反する売主と買主の代理人を、同じ不動産会社が行う矛盾した行為です。売主は不動産を高値で売却し、買主は安く購入したい両方の希望を叶えるのが本来の仲介でしょう。

しかし、両手仲介では、契約を成立させるためにどちらかに不利益が発生する可能性があるかもしれません。消費者保護の観点から、不動産取引で不利益の発生を予防するため、両手仲介を禁止する国もあるようです。

両手仲介のメリット3つ

不動産取引で両手仲介の場合、不動産業者が手数料などで儲かるだけでなく、売主と買主の両方にメリットがあります。

ひとつの不動産業者が売買両方を行うので、情報の伝達が正確でスピーディーでしょう。また、交渉内容が相手にストレートに伝わるので、契約も早期に成立する可能性が高いです。場合によっては、仲介手数料を割引できることもあります。

両手仲介は、同じ会社内で売買情報を共有する強みを発揮するでしょう。

メリット1:買い手がつきやすい場合もある

両手仲介は不動産の売却を依頼した時点で、不動産会社が自社に登録されている購入希望者の中からリストアップすることが可能です。物件に相応しい相手を的確に選び、早期に交渉を開始できるでしょう。

片手仲介の場合は、売主と買主を別々の業者が担当するので、お互いが納得する物件に出会うまでに時間がかかるかもしれません。しかし、両手仲介は双方の希望を事前に把握しているので、ミスマッチも防げるのではないでしょうか。

条件が合えば、一般的な期間よりも早く契約が成立する場合もあります。

メリット2:容易に交渉が運ぶ

両手仲介は、不動産会社1社だけで取引を進めるので、交渉がスムーズではないでしょうか。

片手仲介では、担当する不動産会社が売主と買主それぞれで異なるので、連絡を密に取り合うことが難しく、時間もかかるでしょう。また、多くの人を介するので、当人の希望もストレートに伝わりにくくなります。

両手仲介は、担当者同士が同じマニュアルを利用しているので齟齬がなく、当事者の希望が伝わりやすいと同時に、進捗状態も把握しやすくなるでしょう。

メリット3:手数料が安くなる場合もある

両手仲介は、売主と買主両方から手数料を受け取るので、不動産会社が手数料を安くすることもあるかもしれません。

不動産取引の仲介手数料の上限は法律で定めがあり、取引額が400万円を超える場合は、取引額の3%(+消費税)とされています。

実際の取引では、手数料の値引きは担当者の裁量もありますが、契約を促すために買主の手数料を安くすることもあり得るでしょう。

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両手仲介のデメリット3つ

両手仲介は1つの不動産会社の中だけの取引なので、デメリットが生じることもあります。

売主と買主双方が希望する物件が無い場合、物件待ちの状態が長引き、契約成立に時間がかかる可能性があります。また、契約成立のために、業者が売主に値下げを迫ることもあるかもしれません。

この他両手仲介では、売り手の情報を開示しない「囲い込み」を行い、自社だけで扱うこともあるのではないでしょうか。両手仲介のデメリットの多くは、売主が不利益を被ることになるでしょう。

デメリット1:買い手がつきにくいことがある

不動産会社が両手仲介にこだわって、他社へ物件情報を流さない場合、売却を依頼しても自社に購入希望者がいなければ、売却がすぐにできないこともあります。

不動産の売買は頻繁に行われないので、会社間で全国の不動産情報を共有するシステムに登録して、取引の円滑化をはかるのが一般的です。片手取引では、このシステムを有効に利用して、できるだけ早期に買い手を見つけるでしょう。

しかし、両手仲介では物件の購入希望者が現れるまで、待たされる可能性もあります。

デメリット2:買い手側の希望が優先されやすい可能性がある

不動産会社は1件でも売買契約を成立させたいので、買い手側の希望を優先させ、売り手に不利になる場合もあります。

不動産取引は買い手側が有利になる場合が多く、両手仲介の会社は最終的に買い手の立場で交渉を進める可能性があります。安く購入したい買い手の希望を通し、売り手には値引きによる契約成立を求めることもあるかもしれません。

不動産業者は契約成立で利益が発生します。売り手と買い手の相反する立場を扱う両手仲介は、売り手が不利になる可能性がある取引といえるでしょう。

デメリット3:囲い込みのリスクがある

両手仲介は、売却情報を社外に非公開にして、自社だけで契約を成立させようとすることがあります。この非公開にする行為が、囲い込みです。

不動産の売却を依頼された場合、業者は物件の情報を全国の不動産業者が共有できるシステムに登録するのが一般的です。情報をオープンにして、片手仲介業者が多くの物件情報に接する機会を増やし、より高額で早期の契約を可能にします。

両手仲介の囲い込みは、高額の購入希望を断ったり、交渉が長期化したりすることもあります。

両手仲介を目指すために行われる囲いこみとは?

囲い込みとは、両手仲介を成立させるために、売却希望の物件情報を隠したり、意図的に交渉したりすることです。片手仲介では手数料が半額になるので、不動産会社は自社で全額手数料を得られる両手仲介を目指すのではないでしょうか。

全国ネットのシステムに登録しない、または登録した場合に売却希望価格より高額の購入希望があっても理由をつけて交渉を断り、希望があったことを売主に伝えない可能性があります。

囲い込みは業者の手数料収入を目的に行われ、売主を無視した行為といえるでしょう。

囲い込みは売主にとって利益相反

売主は、不動産をより高い価格で早期に売却を目指します。業者は依頼を受けた売主の立場に立たなければなりませんが、囲い込みで売主の立場に矛盾する行為を行う可能性があります。

囲い込みにより業者内で購入希望者を探すと、早期の契約だけでなく外部の高額での購入希望も、売主に情報が伝わりません。売主の希望を叶えるより、両手仲介による契約成立を目指すのではないでしょうか。

そこで、売主は囲い込みに合わないように、対策を講じる必要があります。

知識不足の売主が不利益を被りやすい

不動産売却を依頼する際の契約は主に、一般媒介と専任媒介、専属専任媒介の3種類です。

一般媒介は複数の業者に仲介を依頼でき、専任媒介や専属専任媒介は1社とだけ契約しますが、業者に対して強い拘束力を持ちます。また、専任媒介や専属専任媒介には、不動産の全国システムに登録義務が含まれ、売主も自分で確認できます。

囲い込みで不利益を被らないために、売主は不動産取引前に知識を身につける必要があるでしょう。

大手不動産会社ほど両手仲介比率は高くなる

不動産仲介手数料は上限が定められていますが、大手不動産会社の多くは、その上限に近い手数料を得ているのではないでしょうか。

大手は売り手と買い手の両方が信頼を寄せ、取り扱い物件も膨大な数になるかもしれません。また、自社の中でマッチングすれば、手数料も満額得られる可能性が高く、両手仲介を目指す不動産会社は多いでしょう。

大手だからと依頼する前に、一括査定サイトなどで多くの会社の見積もりを取り、良質な業者を選ぶのがベターです。

両手仲介自体は違法ではない

売り手と買い手それぞれの希望を叶える両手仲介は、両方から手数料収入を得るので、片手仲介の2倍儲かるように感じる人も多いかもしれません。

しかし実際は、双方の立場に立って営業活動を行い、経費も掛かるので当然の収入といえるのではないでしょうか。

両手仲介がなくなれば、売却依頼を受けた業者がシステムに登録する以外の、売却のための宣伝活動が認められなくなる可能性もあります。両手仲介は違法ではなく正当な営業活動といえるでしょう。

両手仲介から派生する囲い込みは悪徳行為

両手仲介は違法行為ではありませんが、両手仲介を目指す目的で不動産物件情報を意図的に隠したり、交渉を断ったりすることは悪質な行為です。

囲い込みによって、売主が買い替え計画のために想定した、期間や価格で売却できないことがあるかもしれません。業者は依頼主の代理人として、営業活動する義務がありますが、囲い込みで売主に損失を与える可能性もあります。

専任媒介や専属専任媒介契約で情報公開を求め、囲い込みを防ぐことは可能です。

両手仲介について正しく理解し知識を深めよう

両手仲介は、売り物件を扱う不動産会社が買い手を見つけて契約できる、正当な不動産取引でしょう。片手仲介より売主の希望が伝わりやすく、業者内に買主が見つかれば早期に契約できるかもしれません。

しかし、両手仲介にこだわる業者によっては手数料収入を得るために、売値を下げさせたり、情報を意図的に隠したりして、結果的に売主が不利益を被る可能性もあります。

売却前に両手仲介の正しい知識を身につけ、自分で確認できる契約をしましょう。

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