土地の権利書とは?紛失時の対処法と取り扱い注意点4つを紹介!
2020 06.29この記事はPRを含みます
土地の権利書とは?
土地の権利書とは登記名義人であることを証明する書類です。
土地の権利書とは俗称で、正式には「登記済証」という名前の書類です。土地の権利書は所持していることでその人が登記名義人だということを証明する役割を持つため、土地を所有している人にとって土地の権利書は非常に大切なものです。
平成17年に不動産登記法が改正され、現在では登記済証の発行は行われておらず、代わりに「登記識別情報」が発行されています。
土地の権利書が必要なシーン3つ
ここでは土地の権利書が必要になるシーン3つをご紹介します。土地の権利書(登記済証)が発行されていた、平成17年3月7日より前に登記された土地に関しての手続きが必要な人は登記済証を用意してください。
いざ必要になったときに土地の権利書をどこに保管したのかわからないと、非常に慌てることになりますので、いざ必要になったときに慌てないようにどんなときに必要になるのか確認しておきましょう。
必要なシーン1:不動産の売買・譲渡や寄付
土地の権利書が必要になるのは不動産の売買による名義変更・譲渡や寄付を行うときです。
不動産の売買による名義変更や、譲渡・寄付を行う場合にはさまざまな書類を提出することになります。そのうちの一つに登録済証(もしくは登記識別情報)が含まれています。
基本的に、相続に関しては登録済証は必要ありませんが、相続登記に必要な書類をそろえることが難しい場合に提出を求められる可能性もありますので、大切に保管しておきましょう。
必要なシーン2:新規抵当権の設定
土地の権利書が必要になるのは新しく抵当権の設定を行うときです。
抵当権とは金融機関から住宅ローンを借りる場合、購入する住宅と土地に対して金融機関が担保として設定できる権利です。住宅ローンが完済されたタイミングで抵当権は抹消登記を行うことになります。
この抵当権を新しく設定する場合、土地の権利書の提出が求められます。このことで、不動産の所有者ではない人が勝手に抵当権を設定できないようになっています。
必要なシーン3:土地の合筆登記
土地の権利書が必要になるのは土地の合筆登記を行うときです。
土地の合筆登記とは、複数の土地を一つにまとめて売却したい場合などに、互いに接している土地を1つの土地にまとめる登記を指します。
土地の合筆登記が行えるのはその土地の所有者となるため、所有権の登記のある土地の権利書が必要になります。
土地の権利書と登記識別情報の取り扱い注意点4つ
土地の権利書(登記済証)と登記識別情報は取り扱いに注意が必要です。
土地の権利書は対象の土地の所有権を持っていることを証明する書類のため、土地の所有者にとっては非常に重要な書類です。しかし実際に土地を管理するまで、詳しい取り扱いについて詳しく知っている人はあまりいないのではないでしょうか。
ここでは土地権利書の取り扱いに関する注意点4つをご紹介しますので、土地の権利書を保管する際にはぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。
注意点1:基本的にいずれも再発行はできない
土地の権利書(登記済証)と登記識別情報は基本的に再発行ができません。
土地の権利証と登記識別情報は、売買や譲渡によって不動産の所有者が変わる場合に必要になる重要なものです。しかし滅多に使用する機会がない書類なので、いつの間にか紛失してしまっているといったケースも少なくありません。
しかし紛失してしまった場合でも、土地の権利証は再発行ができません。その代わり、紛失してしまっても土地の所有権が無くなることはありません。
注意点2:シールタイプはゆっくり剥がす
登記識別情報通知に貼られているシールはゆっくり剥がしましょう。
土地の権利書は昔は紙で作成されていましたが、最近は英数字12桁で権利が発行されます。そのため、土地の権利書の提出が必要な場合でも、実際には12桁を申請書に記載するだけのことも多いです。
通知される登記識別情報には12桁を隠すための保護シールが貼られています。剥がすのは法務局に提出するときになるため、ゆっくり綺麗に剥がすようにしましょう。
注意点3:12桁の英数字は他人に見せない
登記識別情報の12桁の英数字は他人に見せないようにしましょう。
登記識別情報として発行される12桁の英数字が現在では土地の権利書となっています。そのため、英数字を他人に見られ、メモを取られてしまうような管理の仕方は避けましょう。
基本的には登記識別情報通知のシールは剥がさないようにして、鍵が付いた場所に保管し、他人に12桁の英数字を知られないようにしましょう。
注意点4:使用する機会がない場合はそのままにしておく
土地の権利書は使用しない限りそのままにしておきましょう。
書類として土地の権利書を持っている場合も、登記識別情報通知として持っている場合も、土地の売買や譲渡などが発生しない限りはそのまま保管しておきましょう。
前述のとおり、登記識別情報の12桁の英数字は他人に見せてはいけない重要なものです。そのため、保護シールは貼ったまま剥がさずに保管することが大切です。
土地権利書を紛失したときの対処法3つ
土地の権利書を紛失した場合でも対処する方法はあります。
土地の権利書は紛失した場合でも土地の所有権ごと失うものではありません。しかし土地の権利書がない場合は、土地の売買や譲渡をする際にいくつかの代替手段で対処する必要があります。
ここでは土地権利書を紛失したときの対処法3つをご紹介しますので、万が一土地の権利書を紛失してしまった場合に参考にしてみてください。
対処法1:司法書士などによる本人確認情報の作成を依頼する
土地の権利書を紛失した場合は、司法書士などによる本人確認情報の作成を依頼しましょう。
土地の権利書を紛失してしまっても、本人確認情報を作成すれば土地の権利書の代わりに利用できます。本人確認情報とは司法書士に依頼して行うもので、本人と面談を行い、職責により本人確認情報を作成します。
本人確認情報は土地の売買や譲渡の際に土地の権利書の代わりに利用できるため、登記手続きが行えるようになります。
対処法2:公証人による本人確認情報制度を利用する
土地の権利書を紛失した場合は、公証人による本人確認情報の作成を依頼しましょう。
司法書士に本人確認情報の作成を依頼すると、それなりの費用がかかります。しかし司法書士でなくても、公証人が本人に対して登記義務者であることを確認することで、本人確認情報を作成することも可能です。
この制度を利用すれば、司法書士に依頼するよりも費用を安く済ませることができます。
対処法3:事前通知制度を利用する
土地の権利書を紛失した場合は、事前通知制度を利用しましょう。
事前通知制度は土地の権利書を提出しなくても登記申請ができる制度です。12桁の英数字を記載する申請書に権利書を紛失していることを記載して申し込むと、法務局から登記内容が記載された書類が本人限定郵便で届きます。
その書類に実印を押して返送すれば本人確認が取れることになるため、登記申請が可能となります。
(登記識別情報の提供)第二十二条 登記権利者及び登記義務者が共同して権利に関する登記の申請をする場合その他登記名義人が政令で定める登記の申請をする場合には、申請人は、その申請情報と併せて登記義務者(政令で定める登記の申請にあっては、登記名義人。次条第一項、第二項及び第四項各号において同じ。)の登記識別情報を提供しなければならない。ただし、前条ただし書の規定により登記識別情報が通知されなかった場合その他の申請人が登記識別情報を提供することができないことにつき正当な理由がある場合は、この限りでない。(事前通知等)第二十三条 登記官は、申請人が前条に規定する申請をする場合において、同条ただし書の規定により登記識別情報を提供することができないときは、法務省令で定める方法により、同条に規定する登記義務者に対し、当該申請があった旨及び当該申請の内容が真実であると思料するときは法務省令で定める期間内に法務省令で定めるところによりその旨の申出をすべき旨を通知しなければならない。この場合において、登記官は、当該期間内にあっては、当該申出がない限り、当該申請に係る登記をすることができない。2 登記官は、前項の登記の申請が所有権に関するものである場合において、同項の登記義務者の住所について変更の登記がされているときは、法務省令で定める場合を除き、同項の申請に基づいて登記をする前に、法務省令で定める方法により、同項の規定による通知のほか、当該登記義務者の登記記録上の前の住所にあてて、当該申請があった旨を通知しなければならない。
土地権利書の紛失手続きの注意点3つ
土地の権利書を紛失した場合は、事前通知制度を利用しましょう。
土地の権利書を紛失した場合の代替手段についてご紹介しましたが、どんな状態でも簡単に手続きが行えるというわけではないため注意が必要です。
ここでは土地権利書の紛失手続きの注意点3つについてご紹介しますので、できるだけ紛失しないように気をつけるようにしましょう。
注意点1:登記予定がない状態では上記の手続きはできない
土地の権利書紛失時の代替手段は、登記予定がない状態では手続きできません。
土地の権利書を紛失しても代替手段で対処することができますが、いずれも実際に登記申請をする予定がある場合しか手続きできません。
そのため、紛失していることがわかっていても、いつか土地を売却するときのために先に対応してもらうといったことができない点には注意が必要です。
注意点2:事前通知は2週間~1カ月程度かかる
事前通知をする場合、登記が完了するまでに2週間から1カ月程度の時間がかかります。
事前通知は登記申請後に法務局から書類が届き、実印を押して返送することで登記申請を受け付けるという流れになるため、実際に登記が完了するまでに時間がかかります。
また、この時点で買い主はすでに代金を支払っていますが、売り主に悪意があれば本人確認を拒否して所有権を移転させないことも可能になるため、買い手が見つかりにくいです。
注意点3:書類作成に高額費用がかかる
本人確認は書類作成に費用がかかります。
司法書士に本人確認情報を作成してもらうことが現実的ではありますが、高額な費用がかかる点はデメリットであると言えます。ただし、リスクを避けて代替措置を行いたい場合には、司法書士に依頼するのが安全です。
土地の権利書の管理と紛失時の対応
土地の権利書の安全な保管の方法と、紛失時の対象方法について解説します。
いくつかの代替措置が用意されているとはいえ、土地の権利書は紛失しないことが一番重要です。しかし滅多に使用する機会のないものなので、どのように保管するのが適切なのかわからないという方も多いのではないでしょうか。
ここでは土地の権利書の保管ポイントと紛失時の対処方法をご紹介しますので、大切な土地の権利書を保管する際の参考にしてみてはいかがでしょうか。
保管ポイント:実印や通帳と同じ場所に保管しない
土地の権利書は実印や預金通帳などとは別々に保管しましょう。
実印や預金通帳などを同じ場所に保管しないというのはもともと印鑑や通帳を保管する際によく言われることですが、土地の権利書などの重要な書類もまとめて一緒に保管しないようにしましょう。
まとめて保管していて万が一盗難の被害に遭った場合、非常にリスクが高くなります。そのため、大事なものはバラバラに保管するのが鉄則です。
紛失時の対処法:不正登記防止届出を申請する
不正登記防止届出は自身が所有する不動産に関して申請がされた場合に通知をしてくれる制度です。
土地の権利書を盗まれた可能性がある場合でも、不正登記防止届出を行うことで不正な登記を防ぐことが可能です。不正登記防止届出は、申し出から3か月以内に不正な登記が発生した場合に法務局から通知が行われます。
そのため、仮に通知があった場合は裁判所で処分禁止の仮処分を申し立てるといった手段を考えましょう。
不動産の土地権利書の取り扱いには十分な注意が必要
土地の権利書や登記識別情報は大切に保管しましょう。
土地の権利書は土地の売却や譲渡の際に必要となる大事な書類です。英数字12桁で通知された場合は、番号を第三者に知られないように保管する必要があります。
ぜひこの記事でご紹介した土地権利書の取り扱い注意点や紛失時の対処法などを参考に、土地権利書をしっかり管理するようにしましょう。