等価交換とは?|土地所有者が失敗しないために必要な知識12選
2020 10.21この記事はPRを含みます
等価交換とは
等価交換とは、土地の所有者が持つ土地にディベロッパーが建物を建て、出資比率に応じて共同で不動産を所有する事業です。
等価交換では土地の所有者は建物の建築費用などを出す必要がなく、専門家であるディペロッパーに任せられることから、比較的低リスクで土地活用が行うことができます。
この記事では等価交換について解説していきます。
等価交換の構図
等価交換の構図について解説します。
等価交換で土地活用を行う場合、完成した土地と建物を土地の所有者とディベロッパーが共同で所有することになります。
建物の完成に至るまでには、「全部譲渡方式」と「部分譲渡方式」という2種類の方式で等価交換が行われることになります。ここでは等価交換の構図について解説していきます。
全部譲渡方式
全部譲渡方式とは事業で使う土地をいったんディベロッパーにすべて売却する方式です。
全部譲渡方式では、建物が完成した後で土地価格分の土地と建物を購入することになります。全部譲渡方式は土地の権利者が複数いるケースなど、事業の途中でなんらかの支障が発生する可能性があるケースで採用されることが多いです。
全部譲渡方式の場合、土地の再購入の際に不動産取得税や登録免許税が課されます。
部分譲渡方式
部分譲渡方式とは事業で使う土地の一部だけをディベロッパーに売却する方式です。
土地所有者が最終的に持つ建物の割合分の土地を売却する方法で、一般的に等価交換では部分譲渡方式が採用されるケースが多いです。
部分譲渡方式では土地をすべて売却してから建物が完成したあとで再購入するわけではないため、不動産取得税や登録免許税を課されることもありません。
等価交換のメリット・デメリット各6選
等価交換のメリット・デメリットをご紹介します。
土地活用としての等価交換事業にはメリットもデメリットもあります。そのため、等価交換事業を検討している場合は両者についてしっかり理解しておく必要があるでしょう。
ここでは等価交換のメリット、デメリットについて解説していきますので、等価交換事業を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
等価交換のメリット6選
等価交換のメリットをご紹介します。
等価交換事業を行う場合の大きなメリットとしては、土地活用の際にネックになる建物の建設をすべてディベロッパーに任せられるという点が挙げられます。
ここでは等価交換のメリット6選をご紹介していきますので、参考にしてみてはいかがでしょうか。
等価交換のメリット1:開発のリスクが少ない
等価交換では開発でのリスクが少ない点がメリットとして挙げられます。
土地活用で土地を開発する場合、さまざまなリスクを負うことになります。たとえば建物を建てるための資金調達のために銀行から借り入れを行うのにもリスクを伴いますし、どのような土地開発を行うかによってもリスクを負うことになります。
しかし等価交換であればプロのディベロッパーに任せられるため、開発に関するリスクを軽減することができます。
等価交換のメリット2:遺産分割が容易
等価交換では遺産分割が容易になるという点がメリットとして挙げられます。
土地を遺産として残したくても、将来の遺産分割で複数の被相続人がいるとトラブルの原因になるケースがあります。また、土地を分筆して分けることは可能ですが、その分だけ価値が下がってしまいます。
そういった場合は等価交換でマンションなどの建物を建てておけば、被相続人には部屋を分けられるようになるため、遺産相続が簡単になります。
等価交換のメリット3:税制度の優遇
等価交換では税制度の優遇という点がメリットとして挙げられます。
一般的に土地を売却すると譲渡所得税が課せられます。しかし等価交換の場合は譲渡によって発生した所得を建物の建築に使用することになるため、一定の条件に当てはまれば、譲渡所得税を繰り延べすることが可能となります。
ただし、あくまで繰り延べになるため、将来売却することになった場合などは繰り延べた分の税金を支払う事になるケースもあります。
等価交換のメリット4:建物建設の手続きが不要
等価交換では建物建設の手続きが不要という点がメリットとして挙げられます。
等価交換は建物のための手続きや建設をディベロッパーがすべて行ってくれるため、土地の所有者は建物建築に関する費用が不要なだけでなく、手続きに時間を取られることがありません。
特に等価交換で利用されるような広い土地は素人が土地活用するには難しいため、プロのディベロッパーに任せられるのは心強いでしょう。
等価交換のメリット5:住みながら土地活用ができる
等価交換では住みながら土地活用ができるという点がメリットとして挙げられます。
広い土地や家に住んでいても、子どもが独立した後は夫婦二人で暮らすには広すぎるので一部を残して土地活用したいということもあるでしょう。
そういった場合は等価交換でこれまで住んでいた土地に新しくマンションなどを建築してもらい、一部屋を夫婦の住まいにして残りの所有分を収入用として賃貸に出すことも可能です。
等価交換のメリット6:新築オーダーメイドの不動産が持てる
等価交換では新築オーダーメイドの不動産が持てるという点がメリットとして挙げられます。
等価交換では土地に新しく建物を建てるため、新築でオーダーメイドのマンションやアパートを所有できるということになります。そのため、土地の所有者として設備や間取りなどに希望を出すことも可能です。
オーダーメイドの物件であれば、前述のように自分達で住む場合も住みよい物件になるでしょう。
等価交換のデメリット6選
等価交換のデメリットをご紹介します。
土地活用としてさまざまなメリットがある等価交換ですが、一方でデメリットも存在します。ここでは等価交換のデメリット6選をご紹介していきますので、等価交換を検討する場合はメリットだけでなくデメリットも参考にしましょう。
等価交換のデメリット1:利回りが低くなる可能性
等価交換では利回りが低くなる可能性がある点がデメリットとして挙げられます。等価交換では建物すべてを所有できるわけではなく、建物の一部が土地の所有者の持分になります。
たとえばマンションを建築した場合、あらかじめ決められた部屋数を所有することになるため、利回りは建物をまるごと所有するケースと比較すると低くなる可能性があります。低リスクである分、利回りも小さくなる可能性があることは押さえておきましょう。
等価交換のデメリット2:土地を共有することになる
等価交換では土地を共有することになる点がデメリットとして挙げられます。
等価交換ではそれまで所有していた土地も、ディベロッパーと土地の所有者で共有することになります。また、配分は出資比率によって決まるため、ディベロッパーの方が多く持つことになるケースも多いです。
そのため、等価交換をすれば自分だけの土地でなくなる点には注意が必要です。
等価交換のデメリット3:還元床の決定に労力がいる
等価交換では還元床の決定に労力がいる点がデメリットとして挙げられます。
還元床とは土地の所有者が得る建物の中で、賃貸可能な床面積のことを指します。ディベロッパーと土地の所有者で建物の所有率を決める際、この還元床の面積が非常に重要になります。
ディベロッパーも土地の所有者も多くの還元床が欲しいため、決定するまでに労力がかかる点は押さえておいた方が良いでしょう。
等価交換のデメリット4:土地の所有権を手放さなくてはいけない
等価交換では土地の所有権を渡す点がデメリットとして挙げられます。
等価交換では、先祖から受け継いだ広い土地を利用するケースも多いです。しかし最終的にディベロッパーとの共同所有ということになるため、土地の所有権の一部を手放すことになります。
そのため、等価交換事業を行う場合は相手が信用できるディベロッパーなのかを見極め、土地を手放すことで親戚などとの関係が悪くならないかどうかよく検討する必要があります。
等価交換のデメリット5:減価償却費が少ない
等価交換では減価償却費が少ない点がデメリットとして挙げられます。
等価交換は土地や建物をディベロッパーと共同所有することになりますが、建設した建物の取得金額は土地の価格になります。また、建物よりも土地の方が安いケースが多いです。
そのため、減価償却費が少なくなってしまい、所得税の軽減効果が薄く節税のメリットが少ない点はデメリットだと言えるでしょう。
等価交換のデメリット6:投資回収に時間がかかる
等価交換では投資回収に時間がかかる点がデメリットとして挙げられます。
等価交換では土地の所有者とディベロッパーで建物をどの割合で持ち合うか決定する必要がありますが、お互い有利な条件で所有権を得たいと考えて交渉するため、話がまとまるまで時間がかかります。
また、等価交換では広い土地に大きな建物を建築するケースが多いため、建物ができあがるまでにも時間がかかり、投資した金額の回収に時間がかかります。
等価交換に向いた土地とは?
等価交換では投資回収に時間がかかる点がデメリットとして挙げられます。
等価交換は建設費用などが不要なのでメリットが強く感じられる投資方法ですが、土地を等価交換で活用する場合、等価交換に適した土地であることも重要です。
ここでは最後に、等価交換に向いた土地の特徴についてご紹介します。
等価交換に向いた土地1:好立地である
交通面など好立地な土地は等価交換に向いています。
首都圏で駅から徒歩10分圏内の土地や、高い建物が建てられるような用途地域が商業地域や近隣商業地域になっている土地は、非常に好立地です。また、周りの住環境がよく、住むのに環境が良い場所というのもポイントです。
そういった場所の土地であればディベロッパーにとっても良い条件になるため、等価交換の話を持ちかけられることもあるでしょう。
等価交換に向いた土地2:土地の面積が広い
土地の面積が広い土地は等価交換に向いています。
マンションなどを建築する場合、広い土地が必要になります。そのため、等価交換で利用される土地も多くの場合面積が広い土地になります。
ディベロッパーと土地の所有者で所有分を分けることも考慮すると、100坪以上の土地であれば等価交換に適していると言えるでしょう。
等価交換を正しく理解して土地を有効に運用しよう
等価交換で土地活用を行う場合はデメリットについても知っておきましょう。
等価交換は建築費用などの初期投資が少なく、リスクも軽減することができる土地活用方法です。しかし不動産とディベロッパーと分けて所有することになるため、それにかかわるデメリットもあります。
ぜひこの記事でご紹介した等価交換のメリット・デメリットなどを参考に、正しい理解のもと等価交換で土地活用を行ってみてはいかがでしょうか。