土地の境界線の測量費用はいくらかかる?境界線の測量の手順8つ
2020 10.21この記事はPRを含みます
土地の境界線の測量とは?
土地を売却する場合には、土地の境界線を測量する必要があります。土地付き一戸建てを売却する場合や相続した土地などを売却する場合、隣接地との境界線を確定して、土地の面積を正確に測量する必要があります。
特に親の代から受け継いだ土地などの場合、登記簿に記載されている面積が実際の面積と異なるケースも多いため、正確に測り直す必要があるでしょう。
土地の境界線の測量には、現状測量と確定測量の2種類があるので、詳しく解説します。
現況測量
現況測量とは既存の境界標や所有者の指示によって測量をおこなうものです。現況測量は「仮測量」とも呼ばれるもので、土地の境界は所有者の指示のもと設定したり、既存のフェンスや杭といった境界を起点として測量を行います。
境界の起点については隣接地の所有者の同意を得る必要はありませんが、現況測量によって測られた土地面積の登記は行えません。しかし費用は確定測量よりも安いことが多く、作業も1日で終了し、図面を作成することができるようです。
確定測量
確定測量とは隣接地の所有者の立会いの下、同意を得て測量をおこなうものです。確定測量は隣地所有者と境界点についての同意を得て、両者立会いの下で測量を行います。そのため、現況測量よりも正確な測量が可能となり、登記を行うことも可能です。
実際の測量方法はどちらも同じですが、確定測量は隣地との境界の同意書面である「筆界確認書」を作成する必要があり、正式な測量図面として利用することが可能といわれています。
土地の境界線の測量は土地の売却に必要
土地の売却を行う場合、土地の境界線の測量が必須です。
土地の面積によって価格が決まるため、正確な測量を行うことが大切です。そのため、土地を売却する場合はまずは現況測量を行い、図面を作成しましょう。現況測量の図面を資料として用意しておくことで、査定などもスムーズに行えます。
また、実際に売却する前には確定測量を行い、正式な測量図面を用意するようにしましょう。これで売買後のトラブルを防ぐことができるでしょう。
土地の境界線の測量にかかる費用
土地の境界線の測量にはどのくらいの費用がかかるのでしょうか。
不動産の売却時に必要となる土地の境界線の測量ですが、現況測量も確定測量もそれなりの費用がかかります。不動産の売却時には他にもさまざまな費用がかかるため、事前に測量にどのくらいの費用が掛かるのか知っておきましょう。
ここでは土地の境界線の測量にかかる費用についてご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
現況測量の費用
現況測量は100㎡程度の土地の場合、10万円から20万円ほどの費用がかかります。
現況測量は確定測量のように隣接地の所有者との立会いを必要としないため、確定測量よりも費用は抑えめになります。一般的には、特別いびつだったり複雑な形状をしていない整形地であれば、費用はおよそ10万円から20万円といわれています。
確定測量の費用
確定測量はケースによっては100万円程度の費用がかかることもあります。
確定測量の場合、隣接地の所有者に立ち会ってもらう必要があるため、費用はケースバイケースになります。測量に関係する隣地所有者が多ければ多いほど、立会い人数や測量にかかる日数も増えるため、費用は高くなります。
また、整形地ではなく複雑な形状をした土地であれば、より隣接地の境界点も増えるため、測量費用も高額になる可能性があります。
土地の境界線の測量の手順8つ
確定測量により土地の境界線の測量を行う場合には、いくつかの手順を順番に踏んでいく必要があります。そのため、確定測量の流れをきちんと理解しておくとよいでしょう。
ここでは土地の境界線の測量の手順8つをご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。
手順1:調査を依頼する
土地の境界線の測量を行う場合、まずは土地家屋調査士に調査を依頼しましょう。実際に土地の境界線の測量ができるのは、国家資格を持った土地家屋調査士などになります。そのため、まずは土地の境界線の測量を依頼できる土地家屋調査士を見つける必要があります。
知人の中に土地家屋調査士がいれば相談すると良いでしょう。また、周りにいなければ法務局に相談したり、不動産会社に相談すれば土地家屋調査士を紹介してもらえます。
手順2:資料を取得する
土地の境界線の測量を行う場合、必要な資料を取得しましょう。
土地家屋調査士に依頼したら、法務局や市町村役場で土地の境界線の測量に必要な資料を集めましょう。用意する資料は「公図」「登記簿謄本」「共同担保目録」「地積測量図」「建物図面」などになります。
また、固定資産税関係の書類も用意しましょう。このとき、土地を特定することができる「地番」を確認してきましょう。地番は複数ある場合もあるため注意が必要です。
手順3:隣接地の所有者へ連絡
土地の境界線の測量を行う場合、隣接地の所有者へ連絡しましょう。確定測量の際には隣接地の所有者全員との立会いが必要になります。そのため、土地の資料が集まったら、土地の隣接地所有者もしくは行政の担当者に連絡をとりましょう。
さらに土地の境界線測量を行うことを説明し、測量の立会いの依頼を行います。立会いの了承を得たら、実際に測量をする日程なども相談して決めておく必要があります。
手順4:現地測量
土地の境界線の測量を行う場合、現地での測量を行いましょう。法務局や市町村役場で集めた資料を見ながら現地で測量調査を行います。
土地家屋調査士は必要に応じて、役所で公有地との関係など、土地の境界線に関する資料の収集を行います。
このタイミングで行うのは現況調査になるため、隣接地の所有者の立会いは必要ありません。所有地の現況での調査や確認作業を行い、資料に基づいた境界を起点に仮杭を設置して測定を行います。
手順5:立ち会いで境界を確定する
土地の境界線の測量を行う場合、立ち会いで境界を確定しましょう。
隣接地の所有者や行政の担当者、土地家屋調査士同行の下、確定測量を行いましょう。その際、事前に仮杭を設置した境界点について隣接地の所有者に同意を得る必要があります。
隣接地の所有者に同意を得られたら、境界点を起点に座標面積計算法によって面積を測定し、正確な図面を作成しましょう。この際、民間所有地だけでなく公有地についても境界確認を行います。
手順6:境界杭を設置する
土地の境界線の測量を行う場合、境界杭を設置しましょう。
既存の境界杭がある場合、位置が間違いなければそのままにしておきます。境界杭が土砂などで埋まってしまっていたり、破損していたり、境界点が変わって境界杭を設置し直す必要がある場合は、永続性のある境界標を新しく設置しましょう。
手順7:書類を作成する
土地の境界線の測量を行う場合、書類を作成しましょう。確定測量によって確定した境界をもとに測量図面を作成しましょう。
境界確認書は「筆界確認書」とも呼ばれ、関係するすべての隣接地所有者と所有者両方の署名、捺印が必要になります。
境界確認書は2通ずつ作成するため、所有者と隣接所有者それぞれ1通ずつ所有することになります。この署名捺印した境界確認書は、今後確定測量図面として利用することができます。
手順8:登記する
土地の境界線の測量を行う場合、登記しましょう。確定測量図面を作成することで面積を確定することができるため、法務局で登記を行いましょう。登記を行うことにより、登記簿謄本の面積と確定測量図面を一致させることができます。
また、登記の際には境界確認書面も添付して登記申請を行うようにしましょう。ここまでが土地の境界線の測量の手続きですが、不動産会社に相談すればアドバイスなどももらえるため相談してみましょう。
土地の境界線の測量を依頼する先3つ
土地の境界線の測量を依頼する先は土地家屋調査士以外にもあります。ここまで土地の境界線の測量を依頼する先を国家資格を持った土地家屋調査士と紹介してきましたが、直接土地家屋調査士に依頼する以外にも測量を依頼する方法があります。
ここでは土地の境界線の測量を依頼する先3つをご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
依頼先1:土地家屋調査士
土地の境界線の測量は土地家屋調査士に依頼することができます。土地家屋調査士は登記の専門家であるため、登記を目的とした土地の測量しかできないという特徴があります。
土地家屋調査士は不動産の表示に関する登記について、土地や家屋の調査や測量、登記の申請手続きや審査請求の手続きについての代理といったことを主な業務として行います。
依頼先2:測量士
土地の境界線の測量は測量士に依頼することができます。土地の境界線の測量は土地家屋調査士だけでなく測量士に依頼することも可能です。
測量士は測量を行う国家資格が必要な専門職で、測量法に基づいて国土交通省国土地理院が所管しています。測量士は土地家屋調査士は反対に、登記を目的とした測量はできません。
依頼先3:不動産会社に紹介してもらう
土地の境界線の測量は、測量士や土地家屋調査士を不動産会社に紹介してもらうことができます。
知り合いの中に土地家屋調査士や測量士がいない場合は、土地の売却を行う不動産会社に相談するのがおすすめです。
不動産会社なら土地の売買やそれに伴う手続きの実績も豊富なので、登記を行うかどうかに合わせて測量のプロである測量士や土地家屋調査士を紹介してくれることもあります。
土地の境界線の測量にかかる期間はどのくらい?
確定測量にはおおよそ1ヵ月から3ヵ月の期間が必要になります。
現況測量であれば1日で作業が完了しますが、確定測量の場合は時間がかかります。確定測量では民間所有地だけでなく公有地についても境界確認を行う必要がありますが、相手が行政の場合は一度持ち帰る必要があるため、より時間がかかります。
また、確定測量には隣接地所有者の合意が必要になるため、隣接地所有者が承認しなければそれだけ時間がかかるでしょう。
売却前に土地の境界線を測量しよう
土地を売却する場合には、土地の境界線の測量が必要です。
土地の面積は登記されている面積と実際の面積と異なるケースもあるため、土地を売却する場合は事前に確定測量を行うことで、面積を正確に測量する必要があります。
この記事でご紹介した土地の測量にかかる費用や土地の境界線の測量の手順などを参考に、売却前に土地の境界線を測量するようにしましょう。