財形貯蓄のメリット7つ紹介!財形貯蓄の概要や特徴についても解説
2020 10.21この記事はPRを含みます
財形貯蓄とはなに?
財形貯蓄とは、自身が所属・勤務する会社が提携している金融機関に、給与天引き(給与から税金など必要な控除分を引く)方法で行う貯蓄制度の1つです。給与天引きで貯蓄するため、お金は会社を通して金融機関に預けられます。
財形貯蓄の契約は個人で行うことができず、所属会社が提携する金融会社とのみ契約が行えます。また、財形貯蓄制度がない会社もあります。個人契約不可なので、会社に制度がなければ契約できません。
財形貯蓄の種類3つ
財形貯蓄には、一般財形貯蓄(一般財形)・財形住宅貯蓄(住宅財形)・財形年金貯蓄(年金財形)の3種類が用意されています。この3種類にある違いは貯蓄の目的で、お金を貯めたい目的に応じて選択します。
自身が財形貯蓄を行う時にはその目的に応じた種類を選ぶ必要があるため、それぞれの特徴について学んでおきましょう。
財形貯蓄の種類1:財形年金貯蓄
財形年金貯蓄は、在職中に積み立てたお金を60歳以降に年金として受け取るための貯蓄です。すなわち、退職後・老後の資金作りを目的としています。
満55歳未満の勤労者で、他の財形年金が未契約の方なら利用できます(一般財形貯蓄や財形住宅貯蓄とは併用可)。積立期間は5年以上、受取期間は満60歳以降の5年~20年となっています。
財形住宅貯蓄と合わせて、貯蓄残高550万円(保険など商品は払込額385万円)までは非課税対象です。
財形貯蓄の種類2:一般財形貯蓄
一般財形貯蓄(一般財形)は用途の限定がないため、勤労者であれば目的を問わず利用できます。貯めたお金の使い道は、自動車の購入・旅行費・結婚の費用・出産や教育の費用・病気や事故への備え・引っ越しなどが一般的です。
積立期間は原則3年以上で、払い出しは貯蓄開始から1年経過すれば自由に行えます。積立限度額はありませんが、利子等非課税の優遇措置の対象ではないため、利子等に対して約20%の課税がかかります。
財形貯蓄の種類3:財形住宅貯蓄
財形住宅貯蓄(住宅財形)は建設・購入・75万円以上のリフォームなど、住宅の資金作りを目的としています。満55歳未満の勤労者で、他の住宅財形を契約していない方であれば利用できます。
積立期間は5年以上、住宅に関する目的に応じて引き出すことができます。住宅財形は利子等非課税の対象ですが、預貯金などの場合は元本(預入額+元加利息)550万円まで、保険などの場合は払込累計550万円までが財形年金貯蓄との合算に対する限度額になります。
財形貯蓄のデメリット7つ
財形貯蓄は金融機関の商品の1つですので、確認しておきたいデメリットが存在しています。いいことだけの金融商品はありませんので、メリットとデメリットの兼ね合いを考慮して選ぶことが大事です。
まずはデメリットからご紹介しますので、目を通しておきましょう。
財形貯蓄のデメリット1:利用目的の制限
財形貯蓄のデメリット1つ目は、利用目的に制限があることです。財形年金貯蓄は65歳以上で貰える年金用、財形住宅貯蓄は住宅に関する資金用といった利用目的の制限が設けられています。
また、一般財形貯蓄以外は指定の目的以外で引き出すと、特徴的なメリットである税的優遇が受けられなくなります。お金の扱いに関する自由度の低さはデメリットですが、お金を貯める上での強制力が高くなる点は時としてメリットになるでしょう。
財形貯蓄のデメリット2:契約変更の手間
財形貯蓄のデメリット2つ目は、契約変更の際に手間がかかることです。財形年金貯蓄・財形住宅貯蓄・一般財形貯蓄は同じ用途でなければ併用できますが、変更時には契約中のものを解約してから新しい用途を契約する必要があるため手間がかかります。
同じ金融機関でも移行などの手段をとることはできず、加入し直す形になります。途中で別の用途に変更したい時には手間がかかるため、契約する用途の選択は先を見越して考えましょう。
財形貯蓄のデメリット3:利率がほとんどない
財形貯蓄のデメリット3つ目は、利率が極めて低いことです。財形貯蓄を行える金融機関の利子はとても低いため、預けることによって受けられる利率的メリットはほとんどないでしょう。
財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄では、550万円までの利子に非課税の税的優遇がつきます。しかし、利子が少ない場合は課税対象時と非課税対象時の間に数十円の差しか生まれません。つまり、非課税対象の用途・金額でも大きなメリットはないということです。
財形貯蓄のデメリット4:通常の定期預金との差が少ない
財形貯蓄のデメリット4つ目は、通常の定期預金と一般財形貯蓄に大きな差がないことです。貯める目的を問わない一般財形貯蓄(一般財形)には、利子が非課税になるなど税的優遇がありません。
課税対象でお金を貯める点が定期預金と同じなので、メリットに大きな違いはありません。しかし、財形貯蓄は給与天引きの貯蓄で、貯めることに対する強制力は財形貯蓄の方が強いため、自分では貯められない場合に軽いストッパーになります。
財形貯蓄のデメリット5:利用できる人が限定される
財形貯蓄のデメリット5つ目は、利用できる人が限られることです。まず、財形貯蓄を契約するには勤労者であることが大前提となりますが、どこかに勤務していてもその勤務先に財形制度が用意されていなければ契約・利用することはできません。
財形貯蓄は個人的に利用することができず、会社を通して給与天引きでお金を預ける方法しか選べません。財形貯蓄を行いたい方は、その会社に制度があるかを事前に確認した方が良いでしょう。
財形貯蓄のデメリット6:所得控除制度がない
財形貯蓄のデメリット6つ目は、所得控除制度がないことです。お金を貯める時には所得税の軽減を視野に入れて検討する方もいますが、財形貯蓄ではいずれの用途でも所得控除制度の対象になりません。
また、生命保険料控除のように掛け金が取得控除制度の対象になることもありません。所得控除をフル活用して、支払う所得税を減らしトータル的な利益を増やしたい時に財形貯蓄は向きません。別の運用方法を選んだ方が良いでしょう。
財形貯蓄のデメリット7:元本割れのリスク
財形貯蓄のデメリット7つ目は、商品によって元本割れ(商品価格の変動で購入代金を下回る)のリスクがあることです。勤務先の連携金融機関が保険会社や証券会社の場合、財形保険や投資信託も利用可能となりますが、これら商品には元本割れリスクがあります。
勤務先に財形制度があるといっても、連携している金融機関の種類によってはデメリットが生じます。そのため、制度の有無だけでなく、連携金融機関の種類も要確認です。
財形貯蓄のメリット7つ
財形貯蓄には、利用することで得られるメリットがあります。デメリットとの兼ね合いを考慮してよく検討することで、有効に使うことができるでしょう。
それでは以下にメリットをご紹介していきますので、参考にしてください。
財形貯蓄のメリット1:税的優遇が受けられる
財形貯蓄のメリット1つ目は、財形住宅貯蓄や財形年金貯蓄であれば税的優遇が受けられることです。税的優遇は住宅財形と年金財形の大きな特徴兼メリットであり、元金550万円までなら利子の税金が非課税対象になります。
ただし、年金や住宅といった目的以外で引き出す時は過去5年間分の利子が課税になります(5年以上前の利子は非課税対象)。
財形貯蓄のメリット2:住宅ローンの融資
財形貯蓄のメリット2つ目は、住宅購入時に財形住宅融資(住宅ローン)を利用できることです。財形住宅貯蓄だけでなく、財形制度を利用している方なら融資を受けることができます。
ただし、1年以上財形貯蓄を続けているなど別途条件があるため、融資を検討したい時はその点も確認してください。また、一般の住宅ローン金利が非常に低い現在では融資がメリットにならないこともあります。メリットについては、事前によく考えましょう。
財形貯蓄のメリット3:給与からの天引き
財形貯蓄のメリット3つ目は、給与天引きで貯蓄される仕組みを作れることです。財形貯蓄は会社が貯蓄分を給与から抜いて金融機関に預金するため、自ら預金しなくてもお金が貯まります。
給与天引き分も細かくお金を管理している人でなければ、知らない間にお金が増えているようなシステムに感じられるでしょう。さらに引き出す条件なども相まって貯蓄に強制力があるため、簡単に使えるお金があると使ってしまう方にも向いている貯蓄方法です。
財形貯蓄のメリット4:目的外でも引き出し可能
財形貯蓄のメリット4つ目は、目的以外でも引き出せることです。財形住宅融資や財形年金貯蓄といった目的があらかじめ決まっている種類でも、目的以外の用途のために引き出すことができます。
この点は、個人年金保険や個人型確定拠出年金と異なる特徴およびメリットです。目的以外で引き出すと税的優遇から外れてしまいますが、病気・介護・大きな買い物・給与が減った時など、万が一の備えにも使える点は安心感に繋がるでしょう。
財形貯蓄のメリット5:目的別に貯蓄できる
財形貯蓄のメリット5つ目は、目的に合った貯蓄方法で資産形成ができることです。財形住宅融資や財形年金貯蓄では貯蓄する目的が明確になるため、他のことに使ってしまう可能性を少しでも減らすことができます。
ただの預金では何にでも使えるお金という認識になりやすいので、用途を決めておくと多少の抑制力に繋がるでしょう。ただし、条件が揃えば用途以外でも引き出し可能なので、当人が意識を働かせて自制することが大事です。
財形貯蓄のメリット6:自然と貯蓄できる
財形貯蓄のメリット6つ目は、自然にお金を貯められるシステムを作れることです。給与天引きの貯蓄で金融機関に預ける分は手元に入らないため、手元にお金があると使ってしまう方でも自動的にお金が貯まっていきます。
給与天引きされると手取りが減るので、デメリットに感じてしまう方も少なくありません。しかし、いつの間にかお金が貯まっていると将来的に嬉しいでしょう。手元にあると使ってしまう方ほど、財形貯蓄が向いています。
財形貯蓄のメリット7:独自の給付制度
財形貯蓄のメリット7つ目は、会社によっては財形貯蓄に対して独自の給付制度が設けられている場合もあることです。財形貯蓄にプラスして不可される給付制度なので、表向きで示されている利率よりも大きなメリットを得られる可能性があります。
ただし、財形貯蓄の制度が用意されている会社全てに給付制度があるわけではありません。給付制度があれば財形制度だけよりもメリットが大きいため、勤務先の制度を確かめてみましょう。
財形貯蓄をする際に押さえておきたい点4つ
財形貯蓄をする際には、解約時・退職時・転職時・引き出しを行う時など押さえておきたい点がいくつかあります。利用する上で大事なことですので、忘れないように学んでおきましょう。
財形貯蓄をする際に押さえておきたい点1:解約
財形貯蓄をする際に押さえておきたい点1つ目は、解約する時です。解約の方法や注意点は、財形貯蓄の種類によって異なります。
一般財形貯蓄は積立期間3年以上、1年以上の引き出しがなければ解約できます。その際、約20%の税率がかかります。
財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄は解約時、過去5年の利息に約20%課税されます。ただし、解約理由が病気・災害・大病・パートナーの死去・特別障碍者になった時などの場合は非課税での引き出しが可能です。
財形貯蓄をする際に押さえておきたい点2:転職
財形貯蓄をする際に押さえておきたい点2つ目は、転職をする時です。2年以内は元の金融機関に保管可能なので、転職から2年以内に積立再開できれば利子等非課税の優遇措置も保有されたままの状態を保てます。
しかし、2年以内に再開できない場合は優遇措置がなくなり課税扱いになります。転職先に財形貯蓄の制度がない場合は、積立資金の払い出しが必要です。この払い出しは目的外解約の扱いになるため、利子に課税されます。
財形貯蓄をする際に押さえておきたい点3:退職
財形貯蓄をする際に押さえておきたい点3つ目は、退職する時です。後に転職せず完全に退職する場合は、積立資金の払い出しが必要になります。この払い出しは目的外解約として、利子に課税がかかります。
かかる利子の課税は過去5年間分ですが、1年あたり課税額は微量であり、5年より前の分に課税はないので大きな損失が生じることはないでしょう。しかし、少額の課税は発生するため、退職時は財形貯蓄についても忘れず確認しましょう。
財形貯蓄をする際に押さえておきたい点4:引き出し
財形貯蓄をする際に押さえておきたい点4つ目は、引き出しを行う時です。財形貯蓄で貯めた分は条件が揃えば引き出すことも可能ですが、財形住宅貯蓄や財形年金貯蓄といった目的が決まっている種類では税的優遇が受けられなくなります。
非課税・課税の間で生じる差は大きくありませんが、小さい損失は生じることになります。私欲や私事で引き出すことはなくても退職時は全員にかかるものなので、存在を忘れないようにしましょう。
財形貯蓄を活用してみよう
財形貯蓄は勤労者が勤務先でのみ利用できる貯蓄方法であり、目的に応じて3種類の中から選ぶことができます。メリット・デメリット・注意点を考慮し、自分に関わる生活・人生にとって確かなメリットのある使い方をしましょう。