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不動産相続が確認した場合どうする?不動産相続で行う手続き9つとその際の注意点

2021 08.3この記事はPRを含みます

目次

不動産相続が決まった

不動産相続が決まったら、どのような対応をすれば良いのでしょうか。

 

人が亡くなった場合、財産や権利・義務といった様々な遺産を親族が承継することになります。特に、不動産の場合は高額で物理的な分割が難しいこともあり、相続手続きに時間を要する可能性があります。

 

不動産相続における手続きの流れや注意点などをあらかじめ把握しておくことが大切です。

不動産相続で行う手続き9つ

ここでは、不動産相続が開始されてから行うべき手続きをご紹介します。

 

不動産相続を行うには、相続人の調査や必要書類の交付請求、不動産の調査などが必要となり、法律も絡んできます。そのため自分で手続きするのは難しい場合が多く、税理士に依頼するのが一般的です。

 

しかし、いざというときに慌てないためにも一連の流れを理解しておくことがポイントです。

不動産相続で行う手続き1:死亡届の提出

人が亡くなった場合、「故人の本籍地または亡くなった場所」、「届出人の住所地」の役所への届出が必要です。

 

「届出義務者が、故人が亡くなった事実を知った日から7日以内」、「海外の場合は3カ月以内」に届出をすることが義務付けられています。正当な理由なく期間内に届出をしなかった場合、5万円以下の過料が発生します。

 

届出義務者には、同居人や親族、家主・地主または家屋・土地の管理人などが該当します。

不動産相続で行う手続き2:相続人を確定する

不動産相続をするためには、「誰が相続人か」を確定する必要があります。

 

相続権を持つ親族は「法定相続人」と呼ばれ、民法で定められています。「法律上婚姻している配偶者」は必ず相続人に該当します。子供がいる場合は、嫡出・非嫡出・養子を問わず「第1順位」の相続人と見なされます。

 

被相続人(亡くなった人)のこれまでの戸籍を取り寄せて、家督相続や婚姻関係について調べます。また、相続人全員の現在の戸籍も必要です。

不動産相続で行う手続き3:遺言書の有無の確認する

遺言書がある場合は相続する遺産や割合が変わるため、必ず遺言書の有無を確認しましょう。

 

遺言書の有無の確認方法は「公証役場で確認」、「法務局で確認」、「自宅や貸金庫を調べる」の3つです。

 

遺言者が自筆で作成した「自筆証書遺言」、相続開始までの間遺言内容は秘密とし、証人立ち合いの元で遺言書の存在を証明する「秘密証書遺言」の場合、遺言書の発見者は家庭裁判所で検認手続きを受ける必要があります。

不動産相続で行う手続き4:相続するか否か決める

相続人になった場合、まず相続するか否かを決める必要があります。

 

相続人は、「相続が開始されたことを知った日から3カ月以内」に相続を承認するか放棄するかを決めなければなりません。そのため、相続放棄が可能な期間は3カ月間とされています。

 

この期間は「熟慮期間」と呼ばれます。遺産を確認するのに時間を要する場合は、熟慮期間を伸ばすことが可能です。

相続放棄の場合

相続放棄する場合、熟慮期間内に家庭裁判所へ申述します。

 

相続は財産を全て承継する「単純承認」が一般的です。しかし、負債が多い場合は債務超過の可能性もあります。

 

プラスの財産の限度まで債務を負担する「限定承認」も可能ですが、債務のみ放棄することは出来ません。このような場合、相続放棄が認められます。

 

相続放棄をすると最初から相続人でなかったことになり、債務を含むすべての財産を引き継ぐ権利がなくなります。

不動産相続で行う手続き5:配偶者居住権の利用を確認する

財産に家屋がある場合は「配偶者居住権」の確認が必要です。

 

これは「被相続人名義の自宅に配偶者が住み続けられる権利」であり、2020年4月に施行されました。「被相続人の生前から配偶者が住んでいる」、「被相続人が第三者と建物を共有していない」ことが条件です。

 

相続により家屋が他人のものになった場合も同様です。配偶者が亡くなるまで効力は続くので、相続の際は要注意です。遺言・審判等により期限の設定も可能です。

不動産相続で行う手続き6:遺産分割協議をする

相続人が複数人いる場合は「遺産分割協議」を行います。

 

遺産分割協議とは、相続人同士で遺産の分け方を決めるための話し合いです。被相続人の遺言書がない場合は、遺産分割協議において「どの相続人がどの遺産を相続するか」を決める必要があります。

 

その際に、協議の結果をまとめた「遺産分割協議書」を作成します。書面で残すことにより、相続人間のトラブル防止に役立つほか、各種手続きの添付書類として使用できます。

不動産相続で行う手続き7:相続税の申告を行う

相続した場合、「被相続人の住所」を管轄する税務署への申告が必要です。

 

申告期限は「被相続人が亡くなったことを知ってから10カ月以内」です。申告が遅れた場合は追徴課税が発生するため、必ず期限内に相続税を納付しましょう。

 

何らかの事由により相続人の対象者や人数に変化があった場合、「遺留分侵害額請求」が行われた場合などは、税務署に申告した上で最長2カ月間の期間延長が可能となります。

不動産相続で行う手続き8:必要書類を集める

不動産相続では、各種手続きに必要な書類を用意します。

 

主な手続きとして、前述の相続税申告のほか、「金融機関(被相続人の口座解約、相続人の口座への金銭移動)」、「相続登記」があります。2つに共通する必要書類は、「被相続人および相続人の戸籍謄本・住民票」、「遺産分割協議書」、「相続人の印鑑証明書」です。

 

これに加え、金融機関は「相続関係説明図」、「金融機関書類」、相続登記は「不動産関係書類」が必要です。

不動産相続で行う手続き9:相続登記をする

相続登記とは、相続した不動産の名義を被相続人から相続人に変更する手続きです。

 

相続登記は不動産の所在地を管轄する法務局で手続きします。相続登記の期限や義務は法律上定められていませんが、不動産の所有権が自分にあることを第三者に主張するためには、相続登記が必要です。

 

また、相続した不動産を担保に金融機関から融資を受ける場合、不動産を売却する場合にも登記は必須事項となります。

不動産の相続人が複数いた場合の分割方法4つ

不動産相続において相続人が複数いる場合は分割を行います。

 

遺産は相続人の順位・相続割合に応じて承継しますが、不動産は金銭と違って物理的に分けることが困難です。どのような分割方法があるかを理解した上で、相続人同士で話し合う必要があります。

 

ここでは、4つの分割方法をご紹介します。

不動産の相続人が複数いた場合の分割方法:代償分割

代償分割とは、一人の相続人が承継し、ほかの相続人に代償金として金銭や不動産などを譲渡する方法です。

 

代償分割を行う上で代償金を支払うための財力が必要なことに注意しましょう。

 

金銭の場合は贈与ではないことを明確にするために、遺産分割協議書に代償分割である旨を明記する必要があります。代償金を分割で支払うことも可能です。

 

不動産を譲渡する場合は、譲渡益が発生した際に譲渡所得税がかかります。

不動産の相続人が複数いた場合の分割方法:現物分割

現物分割は、遺産を現物ごとにそのままの状態で相続する方法です。

 

被相続人の遺産が現金、預貯金、不動産だった場合、それらを種類ごとに一括して各相続人が承継します。

 

現物分割は、遺産の数や割合といった性質を変えることなく相続できるメリットがあります。しかし、遺産の価値に差がある場合は相続人間での調整が困難となります。

不動産の相続人が複数いた場合の分割方法:共有分割

共有分割は、複数の相続人が相続割合に応じて遺産を共有する方法です。

 

不動産相続の場合は特に注意が必要です。修繕といった保存行為、相続人自身の使用は可能ですが、賃貸利用・増改築・売却などはほかの相続人の同意が必要です。また、相続人の一人が亡くなった場合、更に共有者が増えていく可能性があります。

 

共有関係を解消する場合は、共有物分割請求を行います。相続人間で調整不可能な場合は訴訟を起こすことになります。

不動産の相続人が複数いた場合の分割方法:換価分割

換価分割は、遺産を売却して現金に換えてから相続人間で分割する方法です。

 

不動産相続の場合は分割が難しいため、現金化することで相続分が明確になる、不公平感が無くなるといったメリットがあります。

 

デメリットとしては、「売却の際に手間とコストが掛かる」、「相続できる遺産金額が減る」、「すぐに買い手がつくか分からない」などが挙げられます。

不動産相続の注意点7つ

不動産相続に気を付けなければならない点がいくつかあります。

 

相続は煩雑な手続きや費用が発生する上、相続人間での調整も必要です。スムーズな相続のためにも、ポイントをふまえて行うことが重要です。

 

ここでは、不動産相続における注意点を7つご紹介します。

不動産相続の注意点1:相続で発生する費用を計算する

相続では、相続税をはじめとする税金や費用が発生します。

 

相続税は、遺産総額より基礎控除額を引いたものに対して課されます。基礎控除については後述します。

 

不動産を相続した場合は、固定資産税と都市計画税が発生します。これらは毎年1月1日現在に所有者として登録されている者に課される税金です。

 

そのほかに、相続手続きを税理士に委託した場合は税理士報酬が、換価分割の場合は売却に際して費用が発生します。

不動産相続の注意点2:分割方法に注意

相続人が複数いる場合の分割方法として、「代償分割」、「現物分割」、「共有分割」、「換価分割」の4つをご紹介しました。分割方法の選択には注意が必要です。

 

遺産に不動産が含まれる場合、価値が目に見えにくく、誰がどのように相続するかで難航するケースがあります。

 

特に共有分割は、後々のトラブルに発展する可能性が高いと言われています。リスクをふまえ、相続人同士の都合に合った分割方法を選びましょう。

不動産相続の注意点3:基礎控除がある

相続税には基礎控除があります。

 

基礎控除とは、納税義務者が課税標準額から一律で差し引くことができる金額をいいます。遺産総額が基礎控除を超えなければ相続税はかかりません。

 

相続税の基礎控除は「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」から算出します。法定相続人が多いほど、基礎控除額が増えることになります。法定相続人には、相続放棄をした人も含まれます。

不動産相続の注意点4:名義変更にも税金が発生する

不動産相続により名義変更を行う場合、登録免許税が発生します。

 

登録免許税は登録免許税法に基づき、不動産や会社などの登記や登録に対して課せられる国税です。相続の場合は「不動産の固定資産評価額×0.4%(100円未満切捨)」が課税されます。

 

司法書士に手続きを依頼した場合は、別途報酬が発生します。

不動産相続の注意点5:取得費加算の特例を利用出来る

相続した不動産を譲渡した場合、要件を満たすと「取得費加算の特例」を受けられます。

 

不動産の譲渡益が発生すると、税金が課されます。不動産の取得費は譲渡益から控除可能です。この特例は、相続税額の一部を取得費に加算することで、譲渡益への課税金額を抑えるものです。

 

特例を受けるためには、相続開始から3年10カ月以内に相続した不動産を売却していることが必要です。

不動産相続の注意点6:トラブルを防ぐために遺言書作成しておく

自分の死後に相続人間のトラブルが予想される場合は、遺言書を作っておくと良いでしょう。

 

特に、子供がいない、相続人が一人もいない、法定相続人以外に財産を渡したい、後継者に家業を継がせたい場合などに有効です。自筆で作成する「自筆証書遺言」のほか、公証役場を利用する「公正証書遺言」、「秘密証書遺言」があります。

 

遺言書の種類それぞれにメリットデメリットがあるため、自分にあった形式を選びましょう。

不動産相続の注意点7:小規模宅地等の特例が利用出来るか確認

被相続人と同一生計の親族が土地を相続した際、「小規模宅地等の特例」が適用される場合があります。

 

この特例は、一定の要件を満たした場合に相続税評価額を50~80%減額できるものです。対象となるのは、被相続人が「貸付用」、「居住用」、「事業用」のいずれかの用途で使用していた土地です。

 

それぞれで減額率・適用される限度面積・適用条件が異なります。

貸付用

被相続人が第三者に貸していた土地(貸付事業用宅地等)に適用されます。

 

アパート・マンションなどの賃貸物件の敷地のほか、駐車場・駐輪場も該当します。減額率は50%・限度面積は200㎡です。

 

被相続人が亡くなる前3年以内に新たに貸し付けた土地の場合、特例が適用されないケースがあるので注意が必要です。

居住用

居住用(特定居住用宅地等)は、被相続人が住んでいた宅地を指します。

 

減額率は80%、限度面積は330㎡です。被相続人の配偶者または同居人が土地を相続した場合に適用されます。

 

また、被相続人に配偶者・同居人がいない場合、「家なき子特例」によって「3年間賃貸住宅に住んでいる相続人」が取得者要件を満たします。

事業用

事業用(特定事業用宅地等)は、被相続人や同一生計の親族が事業に使っていた土地のことです。

 

減額率は80%、限度面積は400㎡です。被相続人の生前から相続税の申告期限(相続開始後10カ月)まで、被相続人が行っていた同一事業を継続していることが要件となります。

 

そのほかに、被相続人の同族会社の事業用土地にも特例が適用される「特定同族会社事業用宅地等」もあります。

いざという時のために不動産相続の流れを把握しておこう

不動産はその性質上、相続人同士で平等に相続することが難しいとされています。相続分を巡ってトラブルになることも多々あります。

 

また、様々な法律が関係するため良く理解することが必要です。

 

不動産相続の流れを把握し、いざという時にスムーズに対応できるよう備えておきましょう。

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