家賃収入にも確定申告は必要!家賃収入の確定申告に必要な書類12枚
2020 06.4この記事はPRを含みます
家賃収入の確定申告は必要か?
家賃収入を主にしている人や、会社員のかたわら副業的にアパート経営などをしている人もいるでしょう。
家賃収入に税金はどのくらいかかるのか、確定申告する必要はあるのだろうかなど、悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
専業でも副業でも、家賃収入が20万円以上ある場合は、確定申告が必要です。20万円未満であっても確定申告したほうが良い場合があります。また、家賃収入には必要経費を除いた所得に対して課税されます。
家賃収入の税金
家賃収入には、他の給与収入などと合わせた収入から必要経費を除いた所得に対して課税されます。家賃収入には礼金や更新料、管理費なども含まれ、必要経費には固定資産税や修繕費、損害保険料などがあります。
家賃収入による所得は不動産所得になり、他の給与所得などと合算されたうえで総合課税されます。所得税率などは下表に示すとおりです。
例えば所得総額が600万円の場合の税額は、600×0.2ー42.75で77.25万円になります。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
住宅ローンの控除
家賃収入を目的とする住宅に対しては、住宅ローンの控除を受けることができません。住宅ローン控除には、自身で新築あるいは購入する住宅で、かつそこに居住するものという基準があるからです。
第三者に貸し出して家賃収入を得るという目的の場合は適用されません。ただ、その一部を自宅として使用する場合は、その使用する面積に応じて住宅ローン控除を受けることができます。
家賃収入の確定申告をする基準
家賃収入に限りませんが、給与以外の所得の合計が年間20万円を超えた場合は確定申告が必要になります。
極端に安い家賃の場合でも年間で20万円は超えるでしょうから、ほとんどの場合で、家賃収入は確定申告をしなければならないと言えるでしょう。
確定申告を忘れたり、故意にしなかったりしてそれが発覚した場合には、重加算税や延滞税などの追徴課税が課せられますので注意しましょう。
不動産所得とは
家賃収入は、所得税法では不動産所得に分類されています。不動産所得は家賃などの不動産収入から必要経費を差し引きしたものです。必要経費には修繕費や管理費などの不動産賃貸に必要な費用が含まれます。
不動産所得の家賃収入には月々の家賃の他、礼金や更新料、共益費・管理費、駐車場利用料などが含まれます。敷金は預かっているだけのものなので、収入には含まれません。
家賃収入の確定申告に必要な書類12枚
家賃収入の確定申告にはさまざまな書類が必要になりますが、その中から12種類の書類を紹介します。
税務署などで入手して自ら作成する書類や、会社員の場合は勤務先から入手する書類、不動産会社などの管理会社から入手する書類の他、修繕費用や損害保険費用など必要経費を証明する書類などがあります。
2月中旬から3月中旬までの確定申告の期間に間に合うように用意しましょう。
確定申告に必要な書類1:確定申告書B
確定申告書には、確定申告書Aと確定申告書Bの2種類がありますが、家賃収入の所得がある場合は確定申告書Bを使用します。様式は税務署か国税庁のホームページからダウンロードできます。
確定申告書Bには第一表と第二表があって、第一表には収入、所得、所得控除、納税額などを記入します。
配偶者控除や保険控除の他、基礎控除や青色申告特別控除なども忘れずに記入しましょう。第二表には源泉徴収票の内容や医療費控除などを転記します。
確定申告に必要な書類2:不動産所得用の青色申告決算書
不動産所得用の青色申告決算書というのは、確定申告のために計算した不動産所得の明細を示すものです。
確定申告書Bは、所得の種類ごとの収入金額とそこから必要経費を差し引いた後の所得金額を記載するだけなので、その内訳までは分かりません。青色申告決算書で収入や必要経費の内訳を示して確定申告書類の一つとして添付します。
さらに不動産所得の明細を示すものとして「不動産収支内訳書」も添付して提出する必要があります。
確定申告に必要な書類3:源泉徴収票
会社や役所に勤めている人、あるいは公的年金を受給している人で家賃収入がある人は、給与・年金などの所得と家賃収入の不動産所得とを合算して確定申告をする必要があります。
確定申告Bの書類に、給与や年金の所得としてそれぞれの源泉徴収票に記載されている「給与所得控除後の金額」などを記入する必要があります。源泉徴収票は会社の場合は年末調整が終わってから発行されます。
確定申告に必要な書類4:不動産売買契約書
確定申告に必要な書類の一つに不動産売買契約書があります。不動産売買契約書には、家賃収入を得る住宅などの住所、住宅の構造、契約代金、引渡時期などが記載されています。
確定申告の青色申告決算書や不動産収支内訳書に記載する貸付不動産の住所や構造、面積、減価償却費の計算などを証明する書類になるので、提出が必要になります。
確定申告に必要な書類5:売渡精算書
売渡清算書も確定申告に必要な書類として注意しましょう。売渡清算書は、不動産を購入する時に実際にかかった費用の明細書で、不動産会社から得ることができます。
不動産売買契約書に契約代金の記載がありますが、売渡清算書では実際の細部の費用明細が分かります。
なお、不動産売買契約書や売渡清算書は最初の確定申告の時に必要で、次年度以降は前年度の確定申告書類で済ますことができます。
確定申告に必要な書類6:譲渡対価証明書
確定申告に必要な譲渡対価証明書は、家賃収入のある不動産の建物と土地の割合を示す書類です。
家賃収入に関わる確定申告では、不動産の減価償却費を申告しなければなりません。土地は減価償却の対象外なので、譲渡対価証明書での建物の比率をもとに減価償却費を算定します。
この書類も不動産会社から入手できますが、最初の確定申告の時に提出するだけで次年度以降は前年度の確定申告書類を参考にして申告ができます。
確定申告に必要な書類7:賃貸契約書
賃貸契約書は、不動産を賃貸していることを証明する書類で、確定申告の収支内訳書で申告する賃借人の住所・氏名、契約期間、賃貸料、礼金などを証明する書類になります。
家賃保証などのサブリース会社と契約をしている場合は、賃借人欄にその管理会社の法人名を記載します。確定申告の年度の賃貸契約書を用意しましょう。
確定申告に必要な書類8:家賃送金明細書
家賃送金明細書は、賃貸管理会社を通して家賃を得ている場合、賃貸管理会社から振り込まれる家賃の明細です。
不動産所得の家賃収入を証明する書類です。家賃送金明細書ではなく、1年間の家賃振り込みされた通帳の履歴などでも代用することが可能です。
確定申告に必要な書類9:借入金の返済予定表
借入金の返済予定表は、確定申告の収支内訳書で申告する必要経費のうち借入金利子を裏付ける書類になります。
家賃収入などの不動産所得での確定申告では、借入金の利息の一定割合を必要経費として計上することが認められています。
借入金返済予定表は、金融機関から半年に一度送られてくる返済予定表、あるいは1年間の返済実績表などでの対応ができます。
確定申告に必要な書類10:修繕の見積書・請求書・領収書
修繕の見積書・請求書・領収書は、確定申告の収支内訳書で申告する必要経費のうちの修繕費を裏付ける書類になります。
家賃収入などの不動産所得での確定申告では、修繕費を必要経費として計上することが認められています。
収支内訳書では修繕費の内訳として、支払先の住所・氏名、工事名又は資材の品名、支払い年月日、支払い金額などを申告しなければなりません。
確定申告に必要な書類11:固定資産通知書
固定資産通知書も確定申告に必要な大切な書類です。
家賃収入などを得るための不動産は、毎年固定資産税がかけられますが、確定申告の収支内訳書で「租税公課」という名目で必要経費として計上できます。固定資産通知書あるいは納税した領収書などは、失くさないように保管しておきましょう。
不動産を取得した時に初年度だけ課せられる不動産取得税も租税公課の対象になりますので、初年度には申告を忘れないようにしましょう。
確定申告に必要な書類12:火災保険・地震保険などの領収書
火災保険や地震保険などの領収書も、確定申告に必要な重要な書類です。
家賃収入などの不動産所得の確定申告では、その不動産にかけられた火災保険や地震保険の保険料が、収支内訳書の必要経費の損害保険料として計上できます。毎年10月過ぎに損保会社から送付される保険料控除証明書などを添付しましょう。
家賃収入における確定申告の5つの手順
家賃収入などの不動産所得を確定申告するのには、5つの手順を経る必要があります。
確定申告に必要な書類を備えて、手順に沿って確実な申告をしましょう。ここからは、5つの手順について詳しく説明していきます。
家賃収入の確定申告の手順1:青色申告書の提出
不動産所得の確定申告を青色申告で行なう場合には、不動産事業を始めてから2カ月以内に「青色申告承認申請書」を提出しなければなりません。
白色申告の事前申請は不要ですが、所得控除を受けることができませんので申告するなら作成する書類は多いですが青色申告のほうが有利です。
申請が承認されると「所得税の青色申告決算書」と「所得税の確定申告書」の記入用紙が郵送されてきます。
家賃収入の確定申告の手順2:提出書類の準備
確定申告の時期が近付いたら、提出書類の準備を進めましょう。
家賃収入などの不動産所得の確定申告に必要な書類はここまで紹介してきたとおりですが、不動産所得に関連するもの以外でも申告できるものがありますので準備しましょう。例えば、生命保険や医療費の控除に関係する書類です。
確定申告関連書類の保存期間は7年間です。税務調査が入ることもありますので、しっかりと保管しておきましょう。
家賃収入の確定申告の手順3:決算書の作成
必要な書類がそろったら、不動産所得用の青色申告決算書を作成しましょう。
収入と経費を記入して、損益を計算します。青色申告決算書は、国税庁のWebサイトでも作成することができます。準備した書類に記載されている金額を入力していけば、その数値や損益が計算された書類ができあがります。
家賃収入の確定申告の手順4:確定申告書作成
不動産所得用の青色申告決算書ができたら、確定申告書Bを作成しましょう。
不動産所得関係以外の給与収入や配偶者控除、生命保険料、医療費などの金額を記載して完成させます。確定申告書Bも国税庁のWebサイトで作成すると便利です。画面の指示に沿って順に入力すれば確定申告書Bが完成します。
家賃収入の確定申告の手順5:税務署へ提出
不動産所得用の青色申告決算書や確定申告書Bなどが完成したら、税務署に提出しましょう。
提出はe-Taxというシステムを使ってインターネット経由でもできますが、マイナンバーカードを読み取るICカードリーダライタが必要になります。
税務署に直接提出するのは手間がかかって面倒ですが、間違いなどの手直しを直接してもらえるメリットがあるのでおすすめです。
確定申告が簡単にできるソフト
確定申告は収入や経費などを整理して計算しなければならなくて大変な作業ですが、簡単に処理できる会計ソフトを使うのも良いでしょう。
個人事業の場合はそれほど大変ではありませんが、事業規模が大きい場合は会計ソフトの利用が必須です。毎月の収入や費用などの入力で、確定申告に必要な書類がそのまま完成します。
家賃収入も確定申告は必要なのでルールを把握しておこう
家賃収入などの不動産所得を得ている人は確定申告が必要なので、そのルールを把握して確実な確定申告を行いましょう。
確定申告に必要な書類や手続きなどはここまで紹介したとおりですので、2月中旬から3月中旬の確定申告時期までにはそれらの書類を入手して整理しておきましょう。
初めて確定申告を行う場合は、いろいろなアドバイスなども得られますので税務署に直接出向いて申告することをおすすめします。