表面利回りと実質利回りの違い|利回りの計算方法とポイント2つ
2020 06.4この記事はPRを含みます
そもそも利回りとは?
投資や金融商品のことを調べていると、利回りという言葉を必ずといっていいほど目にします。一般的に利回りとは、投資した金額に対して1年間に出た儲けの金額がどのくらいの割合かを示す数値のことです。
100万円の投資をして、年間10万円の利益が出たならば、10万円÷100万円×100=10%で、利回り10%の商品になります。通常1年間の年利回りを指すことがほとんどで、物件などの投資に対する利益の目安です。
利回りの3種類
一口に利回りとは言っても、実は三つの種類があり、それぞれに内容が少しずつ違います。正しい意味を理解すれば、その投資物件に対する見極めができるようになるでしょう。
利回りの種類とは、表面利回り、実質利回り、想定利回りの3種類で、投資の場においてはよく聞かれる言葉です。
以下ではそれぞれの利回りの意味について、説明していきます。
表面利回り
表面利回りとは、単純な1年間の利益を投資金額で割った数値です。不動産の家賃収入でいうと、1000万円で買ったアパートの年間の家賃収入が100万円だったら、100万円÷1000万円×100=10%で、年の表面利回り10%になります。
この数値にはそのアパートを経営するための費用や取得するための費用などといった諸経費は含まれてはいないことがポイントです。
実質利回り
表面利回りに対する言葉として、実質利回りという言葉があります。実質利回りとは、1年間に出た利益からその不動産を経営するための費用や掛かった経費を引いて手元に残った利益を、投資金額で割った数値です。
不動産を経営するためには修繕費や登録費などさまざまな経費がかかり、単純な家賃収入がすべて利益なるというわけではありません。そのため、不動産の投資先を検討するときには実質利回りをよく考えることが大切です。
想定利回り
想定利回りとは、投資する物件が満室で運営できていると仮定したときの家賃収入を物件の購入価格で割った数値のことです。
不動産物件は空室が出るとその分家賃収入は減ってしまいます。ほとんどの投資物件では想定利回りを表示しているので、空室が出ると、予想していた利回りを下回ります。
不動産投資でアパート経営をするときは、いかに空室を出さず満室をキープできるかが運営していくうえでの重要ポイントです。
表面利回りと実質利回りの違い
表面利回りや実質利回りという言葉の理解は、不動産の投資を検討するうえではとても大切です。通常取引前の資料の段階では、主に表面利回りが表示されていることがほとんどで、その情報だけを頼りに投資先を決めてしまうと、後から問題が出てくる可能性が高くなります。
二つの違いは言葉通り、表面上の数値のみで求められる利回りなのか、実際にかかった費用を考慮した利回りなのかです。意味の違いに注意が必要です。
見かけか実質か
表面利回りは、書類の中にある数値のみではじき出される指標であり、いわば見かけの利回りと言うことができます。もちろんその数値どおりにアパートが経営できるのならば問題はありませんし、その表面利回り通りの利益が上がるのならば言うことはありません。
しかし、実際にアパートを経営するためには見えない費用が掛かります。その部分を見落としてしまうと、投資してからこんなはずではなかったという事態になります。
物件の表面利回りの計算方法の2ステップ
次に実際の表面利回りの計算方法について、順番に見ていきます。表面利回りの計算は単純ですので、投資の資料に示してある数値を基にすればすぐにでも出すことができるでしょう。
計算の方法は2つのステップを踏むと出すことができます。実際に自分でも計算してみて、資料と比較して確かめてみるのがおすすめです。
ステップ1:年間の家賃収入を算出する
まず、資料通りの家賃で、部屋を全部貸し出せたときに、1年間でどれだけの収入が見込めるかを計算します。求めるには、部屋数と1か月の家賃が分かれば計算できます。
例えば10部屋のアパートで、一部屋5万円の家賃であれば、10室×5万円×12ヶ月=600万円で、1年間の家賃収入は600万円です。これが純粋な1年間の家賃収入となります。
ステップ2:利回りを算出する
1年間の家賃収入が分かったら利回りを計算しましょう。計算方法は、1年間の家賃収入÷投資金額で求められます。
家賃収入が600万円で、その不動産の購入金額を1億円と仮定すると、計算式は600万円÷1億円×100=6%で、このアパートの表面利回りは6%ということになります。このように表面利回りは比較的簡単で、単純に計算することができるでしょう。
物件の実質利回りの計算方法3ステップ
表面利回りの計算ができたら、次は実質利回りについて考えてみましょう。実質利回りを考えるときは、物件に投資した金額や、投資のために要した経費、年間収入から差し引くべき費用などを考える必要があります。
以下で順を追って詳しく見ていきます。
ステップ1:年間の家賃収入から諸経費を差し引く
まず1年間の利益を求めるため、家賃収入を考えます。年間の家賃収入は表面利回りの計算と同じですが、実質利回りを計算するときはそこから諸経費を差し引いて考えます。
アパートの経営には建物のメンテナンス費用や、管理費用などさまざまな経費が掛かり、年間の家賃収入が600万円でも経費が300万円かかったと仮定すると、600万円-300万円=300万円で、実質的な利益は300万円となります。
諸経費に含まれるものは
物件を維持運営していく時に必要な出費は諸経費として計上できます。不動産の運営にはさまざまな経費が掛かります。
例えば、毎年の固定資産税や、火災保険の保険料、建物のメンテナンスにかかった費用などは諸経費として利益から差し引きます。年間の家賃収入から諸経費を引くことで、実際の儲けた金額が分かるのです。
ステップ2:物件の購入価格と購入時の諸経費を足す
次のステップは、投資物件を購入するためにかかった費用の計算です。物件を購入する場合、建物だけの価格だけではなく、登録費用や紹介料など購入するために使った諸経費があるでしょう。
表面利回りのときは物件そのものの金額だけを考えましたが、実質利回りを出すには、その物件を取得するためにかかった費用まで考える必要があります。1億円のアパートを買うために100万円の経費が掛かれば、足して1億100万円です。
ステップ3:実質利回りを算出する
2つの数字を出すことができたら、実質利回りが計算できます。計算式としては、(年間の家賃収入-諸経費)÷(物件への投資価格+諸経費)です。
1億円の物件で、購入時の経費が100万円、年間の家賃収入が600万円で、経費が300万円掛かると仮定すると、(600万円-300万円)÷(1億円+100万円)×100=約2.9%となり、この物件の実質利回りは2.9%となります。
不動産投資で利回りを考える上でのポイント2つ
不動産の投資においては、表面利回りと実質利回りをきちんと分けて考える事が大切です。不動産経営は物件を購入して終了ではなく、それを維持管理していく手間が発生します。
ポイントを押さえて、目利きしていくことが必要となります。
3つの利回りを計算する
まずは自分でしっかりと表面利回り、実質利回り、想定利回りについて計算してみるようにしましょう。投資の資料だけを見て判断すると、思わぬ経費が掛かり、結果としてあまり利益の出ない物件だったということもあります。
表面利回りはすぐに分かりますが、実質利回りは見えない経費が多くかかるとどんどん落ちてしまいます。見落としがないかもう一度考えてみましょう。
利回り以外の知識を身に着ける
アパート経営にはさまざまな知識が必要です。時には自分で物件の手直しを迫られることもあるでしょう。
新しい物件ならば必要ない費用でも、古い物件では必要になるケースもあります。その分購入価格の違いで利益が出せる可能性もあります。利回りだけにとらわれずに柔軟に考えられるように、さまざまな知識を身につけましょう。
表面利回りの相場を知る
さまざまな投資物件があるなかで、表面利回りは購入決定の一つの目安となります。広告や資料に載っている利回りのほとんどは表面利回りであると言えるでしょう。
飛びぬけて高い表面利回りでも経費がかさんで実質利回りは低かった、ということもありますから、地域の利回りの相場を把握し、見かけに騙されないようにする努力が必要です。
利回りを理解して不動産投資に活かそう
利回りは投資物件を決めるときの大切な情報の一つですが、同じ様に見えてその中身は異なります。特に不動産投資では、表面利回りと実質利回りの違いをしっかり把握しておくことが大切です。
表示されている利回りだけに振り回されず、さまざまな情報をもとに最適な不動産を選んでいきましょう。