家賃滞納者の裁判までの流れ|裁判にかかる費用と裁判の種類3つ
2020 06.4この記事はPRを含みます
家賃滞納者の裁判手続きとは?
家賃滞納された場合、早く新しい入居者に変えたいと考えるでしょう。大家は家賃滞納者に対し、強制退去させるための明け渡し請求訴訟を起こすことができますが、そういった裁判には、訴訟できる条件や手順があります。
ここでは、家賃滞納者へと起こす裁判の手続きやかかる費用、裁判を弁護士に依頼するメリット、また自分で訴状をおこす方法とその注意点などをご紹介します。
家賃滞納の督促から裁判までの流れ3つ
家賃滞納を解決するためには、家賃滞納者に滞納した分の家賃を支払ってもらうことが必要で、もし支払ってもらえない場合には退去してもらうケースもあります。
そのような場合には、家賃の督促状を送付してから明け渡し請求訴訟をするのが効果的です。ここでは、家賃滞納の督促から明け渡し裁判までの流れを3つご紹介しましょう。
家賃滞納の督促から裁判までの流れ1:強制退去の条件
家賃滞納の督促から裁判までの流れとして、強制退去を求めるためには3つの条件を満たす必要があります。
家賃滞納者への強制退去を求めるには、3か月程度の滞納が条件です。また、滞納者に支払いの意思がないこと、大家さんとの信頼関係も損なわれていることもその条件に該当します。
家賃滞納の督促から裁判までの流れ2:内容証明・督促状の送付
家賃滞納の督促から裁判までの流れには、内容証明・督促状の送付があります。滞納から半月以上経過しても支払いがない場合は、滞納者に督促状を送付しましょう。
督促状の送付は、何度か催促したをしたものの、滞納者に支払いの意思がみられなかったという証拠を残すため、必ず内容証明郵便で送ります。
また、督促状の文面に「家賃の支払」であることを明記し、本来の支払日や支払期日、期限内支払いがない場合は連帯保証人へと連絡する旨の警告を記載します。
家賃滞納の督促から裁判までの流れ3:裁判所に申請
家賃滞納の督促から裁判までの流れとして、裁判所に申請するということが必要です。滞納者に督促状を送付しても、支払う意思がない場合には、契約解除通知を行いましょう。それでも退去しないという場合には、不動産明け渡し請求を裁判所に申請します。
明け渡し請求では準備する書類も多いです。また、明け渡し請求のほかにも滞納家賃請求も可能とされています。そして、明け渡し請求に滞納者が応じない場合には、強制執行申し立てを行いましょう。
家賃滞納の裁判までにかかる費用3つ
家賃滞納されている場合の対応としては、滞納者に対して家賃支払の督促を行った後に、裁判を起こすという流れであることがわかりました。では、家賃滞納の裁判にかかる費用とはどの程度になるのでしょうか。
ここでは家賃滞納の裁判までにかかる費用を、裁判の流れに沿ってご紹介します。弁護士に依頼することも含めて確認していきましょう。
家賃滞納の裁判までにかかる費用1:弁護士費用
家賃滞納の裁判までにかかる費用として、弁護士費用があります。家賃滞納者への対応依頼で、まずは弁護士へ相談にいくことでしょう。相談料については30分から1時間で5,000円が相場です。
ただし、相談料については初回無料で行ってくれる弁護士事務所もあるなど、事務所ごとに金額設定が異なります。そういった無料相談を実施している事務所も多数あるので、活用してみるといいでしょう。
家賃滞納の裁判までにかかる費用2:着手金
家賃滞納の裁判までにかかる費用として、着手金というものがあります。正式に家賃滞納者への裁判依頼を依頼した場合には、着手した段階で着手金の支払いが発生します。1カ月の賃料が20万円以下という場合には、着手金の相場は10万円から40万円ほどになります。
着手金についても、弁護士事務所ごとに価格設定が異なるため、最初からひとつに絞らず複数の事務所を比較検討してみてもいいでしょう。
家賃滞納の裁判までにかかる費用3:報酬金
家賃滞納の裁判までにかかる費用に報奨金があります。家賃滞納者に裁判を起こして、家賃回収ができた場合には、弁護士に成功報酬を支払います。
成功報酬の相場としては、家賃として回収できた金額の10%ほどが大半となっていますが、これも事務所によって割合が異なっています。
弁護士に依頼する際の注意点やメリット3つ
家賃滞納者から支払いがされない際に、個人間でも強制退去してもらうための手続きをおこなうことは可能です。しかし、個人間でのそういった対応は、トラブルに発展する危険性があると十分に考えられます。
家賃滞納者への対応は弁護士に依頼すれば、最適な方法を提示してもらえ、余計な手間を省くことも可能です。ここでは、家賃滞納者への対応を弁護士に依頼することで考えられるメリットや注意点を3つご紹介します。
弁護士に依頼する際の注意点やメリット1:自分でやっても多額の費用がかかる
弁護士に依頼するメリットは、個人間で動くよりも、弁護士に依頼した方が余計な手間や費用がかからずに済むことです。
自分で家賃の督促状を書いたり、裁判の手続きをしたりする場合は、そういったこと関する知識を得るために、多くの本を読むなどして情報を得なければなりません。
弁護士費用を払いたくないという理由で個人でそういったことをしようとしても、結局多額の費用がかかります。どうせ費用をかけるのであれば、効率よく裁判の手続きをする弁護士に依頼すべきです。
弁護士に依頼する際の注意点やメリット2:勝っても滞納者に支払い能力がなければ結局赤字
弁護士に依頼する注意点に、たとえ裁判に勝っても滞納者に支払い能力がなければ結局赤字となるということです。弁護士に依頼しないということは、赤字を出さないためのリスクを減らすという意味でしょう。
しかし、家賃滞納者との裁判そのものに勝つとは限りません。そのため、負けてしまえば結局は赤字ですが、個人間で争うよりも法律の専門家である弁護士に依頼する方が裁判に勝つ確率が高くなります。
弁護士に依頼する際の注意点やメリット3:心持ち不安が解消でき安心して任せられる
弁護士に依頼するメリットに、心持ち不安が解消でき安心して任せられるということがあります。弁護士は法律の専門家であり、家賃滞納者への対応も慣れているために確実な方法をとってくれます。
個人では何か手違いがあったりすると、訴訟がうまくいかないことも考えられますが、弁護士に依頼すれば、心持ち不安が解消されるので、安心して家賃滞納者への対応を任せることができます。
自分で訴状を起こす方法と注意点3つ
家賃滞納者に対して訴訟を起こす場合には、弁護士に依頼する方がメリットが大きいと紹介しましたが、中にはどうしても自分で訴状をおこしたいという方もいらっしゃるでしょう。ここでは自分で訴状をおこす方法とその注意点をご紹介します。
弁護士などの専門家に依頼せずに、自分だけで訴状を起こしたい、弁護士費用など余計なお金をかけたくないという方は、ぜひ参考にしてみてください。ただし、手間暇は想像以上だと覚悟しておくべきです。
注意点1:訴状を提出する裁判所を調べる
自分で訴状を起こす方法の注意点としては、訴状を提出する裁判所を調べるというものがあります。弁護士に依頼しない場合には、家賃滞納者への支払督促や強制退去などの手続きは、自分で裁判所におこなう必要があります。
そのため、自分が訴状を提出する裁判所がどこの裁判所なのかを調べなくてはなりません。家賃滞納の支払督促は簡易裁判所に申し立てするので、お近くの簡易裁判所を調べてみましょう。
注意点2:訴状の書式をネットから入手する
自分で訴状を起こす方法の注意点としては、訴状の書式をネットなどから入手しなければならないということがあります。弁護士に依頼せずに自分で訴状を起こすとなれば、まずは訴状の書式を手に入れなくてはなりません。
いまは訴状の書式をネットから入手することが可能ですので、そのようにして手に入れましょう。訴状の書き方については、本を参考にしたりネットなどを駆使したりして書き漏れがないように記載する必要があります。
注意点3:無料法律相談を活用する
自分で訴状を起こす方法の注意点としては、無料法律相談を活用するということが挙げられます。弁護士に依頼しないのは、できるだけ費用をかけたくないからでしょう。
その場合には、無料法律相談を利用して、どんな手続きをするのか確認してみましょう。通常は弁護士には相談するだけで1時間5000円以上かかりますが、無料相談であればお金がかかりません。ただし、あまり聞き出そうとしつこくならないように気をつけましょう。
家賃滞納の裁判の種類3つ
家賃滞納の裁判は1種類だけでなく、いくつかの種類があります。また、滞納家賃を回収するための裁判をしても、滞納者に支払う意思が見受けられない場合は、強制執行が可能となるケースも考えられます。ここでは、家賃滞納の裁判について3つの種類をご紹介しましょう。
ただし、裁判すべてが強制執行できるわけではありませんので注意が必要です。強制執行したい場合には、少額裁判以外の選択肢を選びましょう。
家賃滞納の裁判の種類1:滞納金額が60万円以下は少額裁判
家賃滞納の裁判の種類として、滞納金額が60万円以下だと、少額裁判という民事訴訟を行います。また、少額訴訟のうち、通常の訴訟以外に60万円以下の金銭請求のみを訴訟できるものも存在します。
もし、家賃滞納の金額が60万円以下であれば、基本的に1回の裁判でその日に和解や判決を出し、解決できる少額訴訟をおこなうことが可能です。ただし、少額訴訟では部屋の明け渡しについては求めることができません。
家賃滞納の裁判の種類2:話合いによるトラブル解決は民事調停
家賃滞納の裁判の種類には、話し合いによるトラブル解決として民事調停があります。民事調停は、当事者同士の双方の言い分を裁判官と調停委員で構成される調停委員会が仲介する方法です。
この話し合いで和解ができれば、和解調書によって強制執行が可能となります。そのため、和解のときに滞納家賃の支払いと部屋の明け渡しについて強制執行できるようにしておけば、後に同じトラブルが発生したときにも強制執行が可能となります。
家賃滞納の裁判の種類3:支払督促による強制執行
家賃滞納の裁判の種類に、支払督促による強制執行があります。支払督促とは、家賃を払ってくれれば住んでもかまわないという場合に、滞納家賃の支払いを督促する手続きを簡易裁判所におこなうことです。
この手続きをおこなうと、裁判所書記官は、相手の言い分を聞かず内容を審査し、支払督促を行います。また、入居者が滞納家賃支払いへの異議を唱えなければ、支払督促は「仮執行宣言」の申し立てを経て、強制執行が可能となります。
家賃滞納のトラブル相談や裁判は専門化に依頼するのが無難
いかがでしたか。家賃滞納は大家にとっては死活問題で、できるだけ早くに支払ってもらうか、または退去してもらうことが必要になってきます。そのような家賃滞納への対応としては、裁判が有効であるということがわかりました。
家賃滞納の裁判は個人でおこなうことも可能ですが、トラブルに発展する危険性もありますので、できるだけ専門家である弁護士に依頼するのが無難です。