立ち退きとは|立ち退きの進め方の4ステップと立ち退き料の相場を紹介
2020 06.29この記事はPRを含みます
立ち退きとは
立ち退きとは、賃貸借契約においてオーナーがテナントに対し、契約期間の更新を拒絶したり解約申し入れを行ったりして、物件からの退去求めることです。
賃貸契約最中にトラブルがあると最悪の場合立ち退きを要求され、支払請求なども生じる可能性があるため、できるだけ避けたいものです。
立ち退きには正当事由が必要
立ち退きにおける「正当事由」とは、立ち退きを要求することにもっとも相応しい、適した理由を意味します。
オーナーが物件を使用しなくならなければいけなくなった際も、正当な理由であれば立ち退きをさせることができるのです。
求めることができても、やはり借主が拒否すれば、スムーズに納得してもらえるため交渉の必要があります。強制退去は裁判で争い命じることがない限り、よほどのことでなければ不可となっています。
立ち退きに必要な正当事由とは
建物の老朽化で建て替え工事が必要なため、賃借人に立ち退いてもらう場合や貸主がやむを得ず使用しなければいけないため、どうしてもその物件が必要になった、などの理由であれば正当とみなされます。
立ち退きの要求が正当であるかということは、借地借家法でもあらゆる事情を考慮して判断されます。正当な事由として立ち退きを求めるため、立ち退き料を支払う場合もあります。
立ち退きの進め方ステップ4
立ち退きの申し出があったとしても、今すぐ退去ということではない場合もありますので、弁護士やオーナーと交渉しできるだけトラブルがないよう進めていきましょう。
オーナー側の理由である場合と、賃借人側が理由の場合とで対応方法も変わりますが、いずれにしても非常に難しいケースもあります。円満に話し合いが進められるよう、今回は立ち退きまでのスケジュールやどのように進め方たらよいのかをご紹介していきます。
ステップ1:解約申し入れ
賃貸借契約の終了(更新拒絶、解約申し入れ)においては、正当な理由が必要であります。
賃借人の信頼関係破壊に相当する契約違反(3ヶ月分程度以上の賃料滞納など)があれば、正当理由は通常不要です。また、目的物滅失であれば正当理由はなく、契約終了になります。
解約の申し入れはオーナーまたは弁護士によるもので、その他からの申し入れは不可となっています。
ステップ2:話し合い・和解
多くの場合は落ち度のない賃借人に出て行ってくれと伝える場合ですので、借主のほうが強い立場であるため、納得してもらえる交渉が必要になります。
そうなると、やはり立ち退き料は必要だということになりますが、金額は相手次第という要素が強いです。交渉次第ですが、落ち度がない場合にはそれなりのリスクに見合った金額提示が必要となってきます。
ステップ3:転居先の斡旋
入居者が退去を了承しても、その後の入居先が決まらない場合は、入居先を一緒に探す必要があります。
ましてオーナー側の理由から立ち退きを命じる場合は精一杯誠意を見せるといった意味でも、新居をさがすことをお勧めします。
もちろん義務ではありませんが、スムーズに退去してもらえないと新たなトラブルを招くことがありますので、双方においてデメリットも大きくなります。できるだけオーナー側や不動産会社は斡旋するほうが無難でしょう。
ステップ4:明け渡し
明渡しの場合、別の切り口から任意交渉を容易に進めることが可能な場合もあります。
家賃の滞納など、あらかじめ決められている条件に違反した場合、オーナーは賃貸借契約を解除することができます。
オーナーが明け渡しを求められる場合として、支払われていない家賃などがある、これを回収することはともかく立退料は支払わないで、賃貸借契約が解除できます。原状と大きく変わっていたり、壊れている部分は修復費用も請求することができる可能性があります。
立ち退き料とは
立ち退き料とは、オーナーの要請に応じて借主が物件を明け渡す場合に、代償として発生する費用です。
賃貸人は、立ち退き料を支払うことを賃借人に打診し、同意してくれるのを期待してのことです。
立ち退き料も必須ではなく任意でありますが、借地借家法28条には正当事由の中に立退料の記載がありますので、円満に交渉を進めるためには大抵の場合は必要です。
ただし、立ち退かせる理由が賃借人にある場合はもらえないものです。
立ち退き料に含まれる費用4つ
立ち退き料といってもさまざまな種類の費用があり、ケースによっても金額はさまざまで大きく変わってきます。
では、どのような種類の費用が発生し、どういった場合に立ち退き料を求められるのか。ケース別に以下で紹介していきます。
1:新居の費用
新居にかかる費用は、オーナーに法的な支払い義務が定められているわけではありません。
しかしトラブルとなりやすい為、立ち退き料として新居にかかる初期費用と家賃の数ヶ月分は支払うケースがあります。ただし、オーナー側も支払期限や金額の上限などはきちんと決めておいたほうが良いでしょう。
2:引越し費用
引越し費用もオーナー側は必ず支払い義務があるわけではないので、交渉次第といったところになるでしょう。
同じくオーナーは最初に金額を設ける場合は、条件提示をしておいたほうが良いでしょう。敷金礼金等の初期費用は、考慮する必要がある場合がほとんどです。
3:電話やインターネットの環境の費用
インターネットや電話回線は撤去作業が必要になり、原状復帰の対象となってしまうことも多いです。
撤去費用に関しては通常3~5万円ほどかかってしまうため、工事会社を呼ぶ手間もあり、決して安いと言える金額ではありません。しかしオーナーに交渉次第では、除去工事が必要なくそのままでも許可をもらえることもありますので、一度相談してみるのもよいでしょう。
4:慰謝料・迷惑料
オーナーの都合で移ってもらう場合には、新居へ移る際にかかる費用とは別に、迷惑料というものが支払われることがあります。
新居を探すための負担や環境の変化によるストレス、小さな子供の幼稚園や学区なども考慮した上で、立ち退き料を考慮しなければなりません。
立ち退き料の相場
立ち退き料も具体的に法律で決められていないので、双方の合意のもと交渉次第です。
初期費用以外に、新居のほうが家賃も高くなる場合も考慮し、通常過不足なく支払金額を決めるのが一般的です。合意に至らない場合は、裁判で争うことも考えられるため、穏便に立ち退きが進められるよう考慮する必要があります。
立ち退き料は家賃の6カ月が相場
一般的には現在の賃料の6~10カ月分となっていますが、中でも6カ月分が傾向としては多いです。
今住んでいるのと同じ家賃の物件に引っ越し、なおかつ敷金や礼金、引っ越し業者も手配できる金額というのがだいたい6カ月分です。
現在の物件に住み続けることができれば、賃借人は支払わなくて済んだ金額です。
法律上明確な規定はない
家屋の賃貸に関する立ち退き料については法律で定められているわけではなく、支払い義務もありません。
金額の提示も非常に難しくトラブルになりやすい部分ではありますが、きちんと交渉できるとスムーズに退去も進めることができるきっかけになります。
オーナーが立ち退きを命じる代わりに、賃借人に対して最大の配慮をするという意味で支払うものが立ち退き料であります。
立ち退き料を払う必要がない場合
1:借主に問題がある場合
迷惑行為を繰り返したり住民からの苦情が絶えないなど借主が原因である場合、なおかつ賃貸契約書に違反していると判断できる場合は、賃貸契約の解消ということで立ち退きを命じることができます。
この場合迷惑料やその他違約金なども請求できる場合があります。
2:定期借家契約の場合
中途解約できる定期借家契約であっても、契約期間中やむを得ない事由がない限りは、オーナーが退去を申し出ることはできません。
定期借家契約において、入居者はいつでも解約を申し出ることができますが、大家側はそういうわけではありません。
仮に大家側からの解約がいつでも認められると、入居者は短期間で次の部屋を見つけて引越さなければならず、かなりの不利益を被ります。これは定期借家契約に限った話ではなく通常の賃貸契約でも同様です。
3:取り壊し予定の建物の賃貸借契約の場合
日本は入居者の権利が強く、取り壊し建て替えるからといって、納得していない入居者を簡単に退去させることはできません。
アパートの解体は入居者がいる状態ではできないため、解体までに退去してもらう必要があります。この場合も大家の都合で立ち退きを命じる場合であります。
立ち退き料を支払うことが通常の流れとなっていますが、必須ではなく、あくまで任意ということになります。
4:一時使用目的の賃貸借契約の場合
建物賃貸借契約が「一時使用のための賃貸借契約であることが明らかである場合」には、借地借家法第28条は適用されず、立ち退き料も発生しません。
一時使用目的の賃貸借契約であると認められるためには、単に契約書に「一時使用」と記載されているだけでは足りず、賃貸借契約の目的や性質・動機等の事情からみて、客観的に一時使用目的であると認められる必要があります。
立ち退きを拒否された場合の対応方法
オーナー側にたとえ正当な理由があったとしても、借主からすれば今の住居を失い新しい住居を探さなければならなくなるという不利益があるため、立ち退きを拒否するケースが出てきます。
そのため、スムーズに立ち退きを行ってもらえるよう、立ち退き交渉をする必要があります。オーナー側や不動産会社にとっても負荷のかかる仕事ですが、トラブルを避けるべく慎重に進める必要があります。
ポイントをおさえ立ち退きを進めよう
立ち退きの交渉によってオーナーと賃借人が揉めてしまったり、裁判になることは金銭的にも苦しく、時間も浪費しますので避けたいことではあります。円満かつ穏便に済ませるよう互いに務めることが大切です。
一緒に転居先を探すことや引越しを手伝うなど、退去しなければならない賃借人とトラブルにならない最大限の親身な態度で臨みましょう。