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境界明示義務とは?必要な場合4つや境界明示されている証拠の確認方法

2020 06.29この記事はPRを含みます

境界明示義務とは

境界明示義務とは隣接する土地との境をはっきりさせる義務を指します。

土地を売却する場合、売主は売買契約を結ぶ際に買主へ隣接する土地との境界を明示する必要があります。境界の明示を行わなければ、不動産売買の際に買主がトラブルに巻き込まれる可能性もあります。

また、売主も土地の売買後に買主が隣接する土地の所有者とトラブルにならないように、境界を確認し、明示してから契約を行うことが義務付けられています。

概要

境界明示義務とは売主が買主にその土地の範囲を知らせる義務です。

境界明示は売主が売買する土地の現地において、境界標や杭、ブロック塀などを基準として、隣地との境界、つまり土地の範囲を知らせることをいいます。

土地の売主には境界の明示義務があるため、売主は売却前に境界を明示できるように、隣地の所有者と境界を確認したり、表記されている土地面積が正確かという点も事前に確認しておく必要があります。

境界確定との違い

境界確定は隣地所有者の立会いや官公署の図面を元に、土地の境界を全て確定させることです。

境界明示は売却する土地に対して、売主が買主にコンクリート杭や金属プレートなどの境界標を使い、土地の範囲を示すことを意味します。

一方、境界確定は土地の境界を全て確定するということです。そのため、実際に土地の売買の際には、境界確定により各境界ラインの端点に境界標が打ち込まれてから境界明示ができるという流れになります。

境界明示の対応が必要な場合4つ

境界明示が必要になるケースは大きく分けて4つあります。

建物が建っていない土地の売却を含めて、境界明示の対応が必要になるケースは複数パターンあります。そのため、今後境界明示が必要になったときのために、境界明示が必要になるのはどのようなケースなのか事前に知っておきましょう。

ここでは境界明示の対応が必要な場合4つをご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

境界明示の対応が必要な場合1:土地や戸建ての売却

土地や戸建てを売却する場合、境界明示の対応が必要になります。

前述のとおり、土地を売却する場合に売主は買主に対して境界明示義務が発生します。土地が含まれていれば境界明示義務が発生するため、更地はもちろん戸建てを売却する場合であっても該当します。

ただし、戸建てではなくマンションの場合、マンションディベロッパーの境界が確定した状態でマンション用地を仕入れるため、境界明示義務は発生しません。

境界明示の対応が必要な場合2:店舗の売却

店舗を売却する場合、境界明示の対応が必要になります。

店舗を売却する場合であっても、土地が付随するため境界明示義務は発生します。ただし前述のとおりマンションであれば境界明示義務は発生しないため、店舗の場合もマンションに店舗が入っているケースであれば境界明示義務は発生しません。

境界明示の対応が必要な場合3:工場の売却

工場を売却する場合、境界明示の対応が必要になります。

工場を売却する場合もこれまでと同様で、工場が建っている所有地と隣接地との境界を確認し、境界確定を行って境界明示を行う必要があります。

こちらも「マンション以外の売主」という条件が含まれていますが、工場なのでこの場合はほとんど関係なく、工場の売却であれば境界明示が必要だと考えて良いでしょう。

境界明示の対応が必要な場合4:事務所の売却

事務所を売却する場合、境界明示の対応が必要になります。

事務所などの物件を売却することもあるでしょう。事務所として所有している物件を売却する場合であっても、土地が付随するため隣接する土地との境界明示義務は発生します。

ただし前述のとおり、マンションであれば境界明示義務は発生しないため、事務所の場合もマンションに事務所が入っているケースであれば境界明示義務は発生しません。

境界明示されている証拠の確認方法4つ

境界明示されている証拠として示すにはいくつかの確認方法があります。

境界明示されている証拠の確認をしたい場合、さまざまな測量図などの図面や境界標などをもとに証拠を確認することができます。

実際に境界明示をする場合、どのような確認方法があるのでしょうか。ここでは境界明示されている証拠の確認方法4つをご紹介しますので、境界明示が必要になった際にはぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。

証拠の確認方法1:測量図がある

測量図があれば境界明示されている証拠を確認することができます。

土地の測量図がある場合は、境界明示として使用することが可能です。ただし用意されている測量図の種類によっては、隣地所有者との立会いによる境界確定されていない可能性もあるため注意が必要です。

境界明示の証拠の確認に使える図面は、「確定測量図」「現況測量図」「地積測量図」の3種類があります。ここではそれぞれの測量図に関して説明していきます。

確定測量図

確定測量図とは、官有地も含め、全ての隣地所有者の立会いを得て境界確定された図面です。

確定測量図は民々査定や官民査定などをすべて完了している測量図のため、境界明示で使用する場合には確定測量図を使用するのが好ましいです。

買主も確定測量図がある物件を条件にして購入する土地や物件を探している人も多いです。そのため、土地を売る場合は確定測量図を準備しておくのがおすすめです。

現況測量図

現況測量図とは、確定測量図以外の実測図を指します。

確定測量図の次に好ましいとされているのが現況測量図です。現況測量図は隣地所有者の立会いのもとに作られた実測図で、確定測量図の中で官民境界の確定を省いた図面になります。

ただし現況測量図の中には隣地境界の立会いをせずに測量した図面もあるため、必ず立会いを経た「筆界確認書」という双方が実印で押印した書類がある現況測量図なのか確認しましょう。

地積測量図

地積測量図とは、登記所に申請書類として保管されている分筆登記等の際に添付される測量図です。

地積測量図の場合、特に古い図面には注意が必要です。平成17年より前の地積測量図は隣地所有者との立会いがないまま作られた測量図が多いため、地積測量図があっても境界が確定していないケースが多いです。

そのため、地積測量図は極力避けて、隣地所有者との立会いがあったことがわかる場合のみ利用するようにしましょう。

証拠の確認方法2:境界標が残っている

境界を明示するには境界標が残っている必要があります。

確定測量図が存在していれば境界は確定していますが、境界を明示するには境界を示す境界標がきちんと残っていることが必要です。

金属プレートなどの境界標は長い年月の中で紛失しているようなことがあるため、境界標が無くなっている場合は隣地所有者の立会いのもと、再度復旧させる必要があります。

境界標が残っていれば境界を明示することができるため、問題ありません。

証拠の確認方法3:境界明示の証拠が確認されない場合

境界明示の証拠が確認されない場合、境界確定を行う必要があります。

売買契約では売主に物件引渡義務が発生し、買主には代金支払義務が発生します。物件引渡義務には売主は完全な状態で土地などの目的物を引き渡す義務があります。

そのため、境界標が無くなっている場合は隣地所有者の立会いのもと復旧させる必要があります。また、測量図も境界標もない場合は境界明示の証拠が確認されないため、境界確定から行う必要があります。

証拠の確認方法4:境界が確定されたマンション

境界が確定されたマンションの場合は境界明示が不要です。

前述のとおり、売却するのがマンションである場合は、もともとマンションディベロッパーがマンション開発用地を購入する際に境界が確定した状態で購入しています。

そのため、マンションの売主には境界明示義務は発生せず、一般的には契約書にも境界明示に関する条文は記載されません。

そのため、マンションの売主は基本的に境界明示の対応は必要ありません。

境界明示義務が必要な理由

境界明示は不動産取引を行う上で必ず課されるものですが、境界明示義務が必要な理由があります。

土地や建物の売却を行う際に課される境界明示義務ですが、なぜわざわざ隣地所有者の立会いを行ったり、測量図から境界を確認したりしなければいけないのでしょうか。

それは、境界明示を行わなければさまざまな不都合が発生する可能性があるためです。ここでは境界明示義務が必要な理由について解説しますので、参考にしてみて下さい。

トラブルの防止

境界明示を行わなければトラブルが発生する可能性があります。

境界明示を行わなければ、土地を購入した買主が隣接する土地の所有者とトラブルになる可能性があります。これまでは特に問題がなくても、所有者が変わったことで問題が顕在化することもあります。

また、隣接する土地の所有者とトラブルにならなくても、実際に実測して販売時の表記よりも狭ければ買主と売主の間でトラブルになるでしょう。そのため境界明示は必須です。

確実に売却できるようにするため

境界明示を行うことで売却できる可能性が上がります。

土地の購入希望者は境界明示として確定測量図の用意がある土地に絞って探しているケースがあります。特に大きな土地を、マンションディベロッパーに売却する場合は、確定測量図が必須条件となっていることが多いです。

そのため、そもそも境界明示できなければ土地が売れない可能性があります。確定測量図が必須であれば、測量を依頼して確定測量図の作成を行いましょう。

境界明示の注意点

境界明示を行う場合は現状にあった境界を取り決めるようにしましょう。

土地境界が1cm違うだけで数十万円の差が発生することもあり、トラブルになる可能性もあります。そのため、境界線が確定していない隣地との土地境界を隣地の所有者の立会いのもと取り決める場合、現地の状況で境界を判断して適切な境界を主張しましょう。

また、測定方法の違いによる誤差についての許容範囲もあるため、押さえておきましょう。

境界明示義務を理解しよう

境界明示義務について理解を深めましょう

境界明示は土地やマンション以外の不動産の売却を行う場合、売主側に義務として課されるものです。境界明示をしなければトラブルに発展する危険があるため、不動産の売却を検討している場合は事前に境界明示をする準備の必要があるでしょう。

ぜひこの記事でご紹介した境界明示義務について理解を深め、土地や建物の売却を行う場合は境界明示ができるようにしっかり準備をしましょう。

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