ローン残債がある不動産とは|抵当権があると売却しづらい理由4つ
2020 10.21この記事はPRを含みます
ローン残債とは
家や車など、金額の大きな商品を購入する際にローンを使ったことがある人もいるのではないでしょうか。ローンの返却中はローン残債が残った状態です。
ローン残債とは、ローンとして借り入れた金額のうち、まだ返済していない残高(元金)のことです。月々決められた金額を支払い続けることによって、ローン残債は減っていきます。すべてのローンの返済が終わるとローン残債はなくなります。
「ローン残債がある不動産」と「抵当権」
住宅ローンを借りる際には、住宅の土地と建物に金融機関が権利を設定します。これを「抵当権」と呼びます。抵当権は「担保」と同じような意味合いで、抵当権付きのローンは「有担保ローン」とも呼ばれます。
このため、ローン残債がある不動産には抵当権がついている場合があります。住宅ローンを返済中の人は、住宅に抵当権がついているかを確認してみましょう。
抵当権があると売却しづらい理由4つ
住宅の売却を考えている場合、抵当権があると売却しづらい可能性があります。さまざまな事情の中でできるだけ早く売却を完了したいと思っても、なかなかうまく進まない、立地はいいのに買い手がつかないといった例も考えられるでしょう。
ここではなぜ抵当権があると売却しづらいのか、主な理由となる4つを紹介します。抵当権がつけられた不動産ならではの理由をチェックしてみてください。
理由1:競売にかけられる不安
土地や住宅など不動産に設定された抵当権は、いわば支払いなどを補償する担保です。万が一ローンの支払いが滞った場合、ローンを貸している金融機関は抵当権によって土地や住宅を競売にかけることができます。
抵当権が残っている土地や住宅は、競売にかけられる可能性を拭いきれません。競売にかけられるかもしれない不動産は、売り手にとっても買い手にとっても売却・購入がしづらい物件になるでしょう。
理由2:購入のリスク
購入のリスクは、抵当権のある土地や住宅が売却しづらい理由のひとつとして挙げられます。せっかく購入した不動産が競売にかけられる可能性は、買い手の動きを鈍らせる理由になるでしょう。
抵当権が残っている土地や住宅の所有権を移すことは不可能ではありませんが、のちに失効する可能性はゼロではありません。抵当権がない物件の購入と違い、リスクが伴います。
理由3:金融機関の同意を得にくい
金融機関はローンとして土地や住宅の購入資金を貸し出すかわりに、抵当権を持っています。ローン残債が残っていて高値で売却することが難しい不動産の売却は、金融機関の同意を得にくいのが特徴です。
不動産をできるだけ高値で売却したい金融機関にとって、同意しにくいのは当然とも言えるでしょう。抵当権付きの不動産の売却は、金融機関の同意でつまずく可能性があります。
理由4:ブラックリストに載る
ローン残債が残っていて抵当権が設定されているのに売却を行う際は、個人信用に傷がつき、ブラックリストに載る可能性があります。売却の手続き中はローン返済が滞るため、延滞情報が残ってしまいます。
ブラックリストに載って記録が残った場合は、その後数年間は新たなローンやクレジットカードの作成は難しくなることを覚えておきましょう。
ローン残債があるときの対処手順4つ
土地や住宅にローン残債がある、それでもすぐに売却をしたいといった場合にはどのような対処手順があるのでしょうか。ここでは主な対処手順を4つ紹介します。
売却の前に査定依頼をするといったあまり負担をかけずに行える対処手順もあるため、残債があっても売却をしたいときにはチェックしてみてください。
対処手順1:売却の前に査定依頼
まずは売却する前に、不動産会社などに土地や建物の査定依頼をすることをおすすめします。不動産会社の査定によって、家の売却価格の見積もりを受け取れます。住宅ローンの残債と比較して、不動産の価格が上回っているかどうかを確認できます。
査定はできるだけ多くの不動産会社に依頼しましょう。不動産会社や担当者によっては、査定金額が異なる可能性があります。複数の不動産会社で査定をすれば、詳細な比較が可能です。
対処手順2:できるだけローン残債を減らす
ローン残債はできる限り減らしておきましょう。土地や建物の売却価格が、ローン残債を上回れば、通常の売却として手続きを完了できます。
ローン残債を減らすためには、まずは残っている残債について把握することが大切です。どれぐらいの残債があって、計画的に減らすにはどの程度の期間が必要なのかといった内訳を、自分自身でしっかりと見極めるようにしてください。
対処手順3:売却価格とローン残債の差額を現金で用意
不動産会社で査定をしてできるだけ高い価格で売却をした、残っていたローン残債を減らした、それでも売却価格とローン残債に差額が発生した場合のために、現金を用意しておくのも良い方法です。
まとまった現金をあらかじめ用意しておけば、売却価格とローン残債の差額を支払って通常の売却として手続きを進められます。現金の用意にはさまざまな方法が考えられますが、その後の返済に困らないように注意が必要です。
対処手順4:住み替えローンを活用する
ローン残債の残っている物件から新しい住宅へと住み替えるときには、「住み替えローン」を利用できる可能性があります。住み替えを考えている人は検討してみましょう。
住み替えローンを利用すれば、売却する不動産の残債と、新しい住宅の購入金額を合わせて借り入れ可能です。ローン残債は残っているけれど新しい住宅へと住み替えたい人にとって、使いやすいはずです。住み替えローンの詳細は金融機関などに確認してみてください。
ローン残債があるときの注意点
ローン残債がある場合は、抵当権が設定されていることに注意が必要です。土地や住宅は大きな買い物です。一括で支払える現金を用意しなくても、月々の支払いによって不動産を手に入れられるローンは頼りになるサービスでしょう。
しかし、ローンの返済中は金融機関への借り入れが残っていることを忘れないようにしてください。返済が滞れば金融機関は抵当権を行使する可能性があります。
他の金融機関からの借入は難しい
まだローン残債が残っているうちは、他の金融機関からの借入は難しいかもしれません。新たな住宅ローンを組みたいと思っても、金融機関からの許可が得られない可能性があります。
他の金融機関からの借入が難しいからといって、金利の高い業者などに手を出さないように注意しましょう。
ローン残債がある不動産の抵当権を外す方法
ローン残債がある不動産には抵当権が設定されています。計画通りに支払いを続けて完済すれば、抵当権を抹消できます。抵当権を外す方法としてもっとも単純なのは、通常の支払いによるローンの完済でしょう。
通常の支払いによる完済以外の方法では、どのようにして抵当権を外すのでしょうか。ここでは2つの方法を紹介します。
アンダーローンの場合は通常売却
アンダーローンとは、土地や建物の売却金額よりも、ローン残債が少ない状態のことです。この場合、土地や建物を売却した代金を使ってローンを完済できます。
ローン残債の完済によって抵当権が外れ、売却した不動産はそのまま買い手へと引き渡しができます。
オーバーローンの場合は任意売却
オーバーローンとは、土地や建物の売却金額よりも、ローン残債が多い状態のことです。残念ながら売却で得た金額ではローン残債を完済できないため、「任意売却」へと進むことになるでしょう。
任意売却では金融機関の同意を得て、抵当権を外す必要があります。
任意売却後の残債はどうなる?
オーバーローンによって任意売却へと進んだ場合、売却した不動産のローン残債があります。残ったローン残債は支払いが必要です。
金融機関との分割支払いの交渉などをしていくことになるでしょう。
ローン残債はできるだけ減らそう
抵当権が設定された不動産を売却したい場合は、ローン残債をできるだけ減らしておきましょう。土地や建物の査定金額にもよりますが、アンダーローンとして抵当権を外し、通常売却ができる可能性があります。
ローン残債の返済で、スムーズな売却を目指せるはずです。