土地の生前贈与は本当にお得?メリット8つとデメリット6つを紹介!
2020 10.21この記事はPRを含みます
生前贈与とは?
できるだけ財産を遺してあげたいと思うのが親ごころですが、「財産を遺したら余計な争いが起こるのでは?」「財産を遺すことで余計な相続税がかかり、かえって負担になるのでは?」と心配する人も多くいるでしょう。
財産を遺す方法は相続だけでなく生前贈与という方法もあります。
文字通り、生きている間に祖父母や父母などの個人から子や孫などの個人へ財産を贈与するというものです。現金や家屋、土地などを生前贈与することができます。
生前贈与と相続の違い
では、生前贈与と相続の違いについて見ていきましょう。
双方の違いは財産を渡す人が生きているか亡くなっているかという点だけではなく、意思にも違いがあります。
生前贈与は財産を渡す側の意思だけでなく、受け取る側が受け取りたいという意思を示すことで発生します。ですが、相続は法律でどちらの意思も関係なく死後に発生します。
相続を拒否することはできるものの、自動的に発生している点では生前贈与と大きな違いがあります。
土地の生前贈与のメリット8つ
土地も生前贈与することができますが、土地を生前贈与するためにはメリットを理解しておくといいでしょう。
メリットを理解することで、生前贈与の得する部分を大きく活かすことができます。ここからは、土地の生前贈与の8つのメリットを紹介していきます。
土地の生前贈与のメリット1:贈与したい相手を選べる
土地を生前贈与するメリットには、贈与したい相手を贈与する側が選ぶことができることもあります。
相続でも遺言を残すことで誰に土地を渡すかを決めることはできますが、確実に希望する人に相続させられるわけではありません。
ですが生前贈与であれば、相続よりも簡単な手続きで贈与したい人に贈与できます。親族以外の人に土地を贈与するということも可能で、確実に渡したいという人には大きなメリットです。
土地の生前贈与のメリット2:短期間で財産を渡せる
土地を生前贈与するメリットには、相続よりも短期間で財産を渡すことができるということもあります。
相続の場合、相続人全員と分割協議をする必要があり、名義を変更するために様々な書類を集めなくてはいけません。
生前贈与であれば、贈与契約を交わして法務局で土地の名義変更を行えばいいので1ヶ月程の短期間で贈与することができます。時間をかけたくない人には大きなメリットです。
土地の生前贈与のメリット3:贈与のタイミングを選べる
土地を生前贈与するタイミングは自分で選ぶことができます。贈与するタイミングを選べることもメリットの1つです。
相続は亡くなった時点で開始され、土地など価格が変動するものはその時点の時価になります。価格が上昇している時期だと相続税が高くなってしまいます。
生前贈与であれば土地の価格が下がっている時期を選んで贈与することもできます。負担軽減を考えるとタイミングを選べることは大きなメリットです。
土地の生前贈与のメリット4:遺言より手続きが簡単
生前贈与というと手続きが難しいといったイメージをされますが、遺言よりも手続きが簡単にできるというメリットがあります。
遺言は1か所でも不備があると無効になってしまう可能性があるので、弁護士や司法書士などに依頼したり、公正証書にしたりと面倒な手続きが必要です。
一方で生前贈与は、贈与契約を交わし名義変更するだけですから、遺言よりも手続きが楽でしょう。手間を省けるということは、時間がない人には大きなメリットです。
土地の生前贈与のメリット5:相続争いが起こるリスクを減らす
生前贈与にすれば、相続争いが起きるリスクを減らすことができるというメリットがあります。
土地の相続では、「どう分割するか」「引き継ぐのは誰か」で争いが起こる可能性があるというデメリットがあります。
生前贈与であれば受け取る人の合意も必要なので、誰がどの財産を受け取るかを事前に話し合いで決めることができます。
そのため、事前の話し合いでいざ相続となった場合のトラブルを回避することができます。
土地の生前贈与のメリット6:相続税の負担を減らす
土地を生前贈与するメリットには、将来かかるであろう相続税の負担を減らすことができるというものもあります。
相続となった場合、相続が開始されてから10か月以内に現金一括で相続税を納付しなければなりません。相続する財産が多い場合、相続税が負担になり家計を圧迫することもあります。
事前に生前贈与しておくことで相続する財産を減らし、相続税の負担を減らすことができます。財産が多い人には大きなメリットです。
土地の生前贈与のメリット7:贈与税の配偶者控除を利用できる
土地を生前贈与するメリットには、贈与税の配偶者控除を利用できるということもあります。
贈与税には年間110万円の基礎控除が用意されていますが、土地は高額なものですからその枠の中に納まらないことも多いでしょう。夫から妻への土地の贈与であれば配偶者控除を利用することができます。
配偶者控除は2000万円で基礎控除と合わせて2110万円までは贈与税なしに土地を引き継ぐことができます。
土地の生前贈与のメリット8:土地の利用方法を話し合える
先祖代々続いてきた土地だからどうしても手放したくないなど、土地を利用する方法は財産を渡す側から遺言書などで希望を伝えることはできても、それを叶えてもらうことは相続ではなかなか難しいです。
生前贈与ではそれが可能になります。自分の願い通りに使ってほしいという意思を相手に確実に伝えることができ、契約を交わすなどして実行に移すことができます。
土地の利用方法を話し合えることも生前贈与のメリットです。
土地の生前贈与のデメリット6つ
渡したい相手に贈与することができるなど生前贈与することで得られるメリットはたくさんあることがわかりしましたが、生前贈与にはメリットだけでなくデメリットも存在します。
デメリットを理解して生前贈与しなければ後から後悔することになりますし、贈与した相手に迷惑をかけてしまうこともあります。
ここからは生前贈与で考えられるデメリットを紹介していきます。
土地の生前贈与のデメリット1:名義変更等の費用が発生する
土地を生前贈与すると土地の名義を変更するために費用が発生するというデメリットがあります。
土地を名義変更するための登録免許税は、贈与の場合、土地の固定資産税額の2%かかります。相続の場合は0.4%なので贈与の方が登録免許税がかかってしまいます。
また、不動産を取得したときにかかる不動産取得税は相続の場合はかかりませんが、贈与では軽減措置などもありますが、不動産取得税がかかってしまいます。
土地の生前贈与のデメリット2:相続税より贈与税が高い場合がある
相続税を軽減させる目的で土地を生前贈与しても、相続税よりも贈与税の方が高くなってしまうことがあります。
相続税も贈与税もどちらも最大税率は55%と同じですが、適用される額に違いがあります。最大税率55%が適用されるのは相続税の場合は6億円超なのに対して、贈与税は3000万円超です。
基礎控除などはありますが3000万円を超える土地を贈与した場合、税金で半分も取られるということを理解しておきましょう。
土地の生前贈与のデメリット3:定期贈与とみなされる可能性がある
土地を生前贈与する場合に、定期贈与とみなされる可能性があるというデメリットがあります。定期贈与とは、毎年一定の金額を贈与することを取り決めることです。
定期贈与とみなされてしまうと贈与の総額に対して贈与税が課されることになり、毎年受けられる基礎控除の恩恵を受けることができません。
定期贈与とみなされないために、贈与する財産をどう贈与していくかを考える必要があります。
土地の生前贈与のデメリット4:維持費がかかる
土地などの不動産には、毎年固定資産税がかかります。
贈与により土地の所有権が移れば、贈与を受けた人が固定資産税を払わなければなりません。また都市計画区域にある土地ですと、都市計画税も発生します。
住宅が立っている土地だと軽減措置がありますが、更地だと税金が高くなります。
土地を生前贈与すると、贈与を受けた人が固定資産税など維持費を支払い続けなくてはならないというデメリットがあります。
土地の生前贈与のデメリット5:土地が値下がりする可能性がある
土地の価格は現金のように一定ではなく変動するものです。
生前贈与した後に土地の価格が下がることもあり、下がってから贈与すればよかった、贈与せずに相続まで待てばよかったという結果になることもあります。
土地を贈与するということはタイミングが重要になります。
土地の価格が値下がりする可能性があるということも、土地の生前贈与のデメリットとして覚えておきましょう。
土地の生前贈与のデメリット6:相続開始前3年以内の贈与は相続税の対象
土地を生前贈与するときに、相続開始前3年以内の贈与は相続税課税の対象になるというデメリットがあります。
生前贈与加算というルールで、相続開始日からさかのぼって過去3年以内に贈与された財産は、相続開始時点の財産に加算されて相続税を支払うことになります。
生前贈与加算は相続や遺贈により財産を取得した人が対象になり、それ以外の人は対象になりません。
土地の生前贈与を行うときの手順3つ
生前贈与は贈与契約書を作成するなどしっかりした手順で行わないと贈与と認められない恐れがあります。
また、土地を生前贈与する場合には不動産登記の名義変更を行う必要があるので、金銭を贈与する場合よりも手続きが難しくなります。
ここからは、土地の生前贈与を行うときの手順を説明していきます。
手順1:贈与契約書の作成
贈与があったということを明らかにし相続の時にトラブルになることを避けたり、贈与を否認されることを防ぐために必ず贈与契約書を作成します。
贈与契約書には、贈与する日付・誰から贈与したか・贈与したもの・贈与者と受贈者の住所や所在・実印を記載します。
土地の場合には、所在や地積、地番を記載する必要がありますので、法務局で登記事項証明書を取得し正確に記載するようにしましょう。
手順2:登記の申請
贈与契約書を作成したら法務局で登記申請を行います。
申請書と添付書類を添えて、持込・郵送・オンラインのいずれかの方法で申請します。
添付書類は、贈与者の印鑑証明書(3ヶ月以内のもの)・贈与対象不動産の登記済権利証・贈与対象不動産の固定資産評価証明書・受贈者の住民票です。
法務局に申請して1週間から2週間で手続きは完了します。
手順3:贈与税の申告
年間で110万円を超える贈与を受けた場合、贈与を受けた人は贈与税の申告をしなければなりません。
さまざまな制度を活用して控除を受け、税額が0になった場合も申告をする必要があるので気をつけましょう。
申告時期は贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日までで、贈与を受けた翌年の3月15日までに納付します。
土地の生前贈与のメリットとデメリットを理解しよう
ここまで土地を生前贈与することが本当にお得になるかを見てきました。
土地を生前贈与することで相続よりもお得になることもありますが、場合によっては贈与することで損をしてしまうこともあります。
土地を生前贈与するときのメリットとデメリットをしっかりと理解し、生前贈与するかどうかを決めていきましょう。