カーポートと建ぺい率の関係は?建ぺい率の緩和措置が受けられる条件4つ
2020 10.21この記事はPRを含みます
カーポートとは?
カーポートとは屋根と柱で構成された簡易的な車庫です。
カーポートは自宅の敷地内に作る屋根と柱でできた車庫です。壁や扉が付いていないオープンタイプの車庫になるため、開放感があります。また、簡易的な車庫でも屋根は付いているため、紫外線や雨から車を守ることができます。
ここではカーポートと青空駐車場、ガレージとの違いについて解説していきます。
青空駐車場との違い
青空駐車場はカーポートと異なり屋根がありません。
カーポートも青空駐車場も自動車を停めておくための場所という点では同じです。ただし、カーポートには雨や日除けのための屋根を設置されていますが、青空駐車場には自動車を覆う屋根が付いていません。
ガレージとの違い
ガレージはカーポートと異なり、壁で囲まれています。
カーポートは柱と屋根によって構成された簡易的な車庫ですが、ガレージはシャッターや壁、ドアなどで四方が囲まれており、シャッターを締めれば自動車の周りを覆うことができます。
また、カーポートは柱をモルタルで固めて屋根を組むことで設置が可能ですが、ガレージは基礎工事や土間打ち工事が必要になるため、カーポートよりもガレージの方が工事代は高くなります。
建ぺい率とは
建ぺい率とは土地の面積に対する建築面積の割合を指す言葉です。
建ぺい率は、土地の面積に対してこのサイズまでの建築物なら作ってかまわないという建築時の指標として用いられます。たとえば100㎡の土地で建ぺい率が40%に制限されている場合、建築物の面積は40㎡以内になるように作る必要があります。
面積は建物を真上から見た場合の水平投影面積になるため、2階建てなどの場合は大きな方の面積で計算します。
第五十三条 建築物の建築面積(同一敷地内に二以上の建築物がある場合においては、その建築面積の合計)の敷地面積に対する割合(以下「建蔽率」という。)は、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める数値を超えてはならない。
容積率との違い
容積率は敷地面積に対する延床面積の割合を指す言葉です。
容積率も土地の面積に対してどの程度の建築物なら作ってかまわないというような指標として用いられるものですが、水平投影面積で計算する建ぺい率と異なり、土地に対する建物の延べ床面積の割合を指します。
そのため、100㎡の土地で容積率が80%の場合、2階建てなら1階が50㎡、2階が30㎡というように合計80㎡以下になるように作る必要があります。
第五十二条 建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合(以下「容積率」という。)は、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める数値以下でなければならない。ただし、当該建築物が第五号に掲げる建築物である場合において、第三項の規定により建築物の延べ面積の算定に当たりその床面積が当該建築物の延べ面積に算入されない部分を有するときは、当該部分の床面積を含む当該建築物の容積率は、当該建築物がある第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域又は準工業地域に関する都市計画において定められた第二号に定める数値の一・五倍以下でなければならない。
カーポートと建ぺい率の関係
カーポートと建ぺい率の関係についてご紹介します。
建築物を建てる場合、建ぺい率の制限を守る必要があります。しかし実はカーポートも建築物に含まれるため、カーポートを作る場合には建ぺい率を意識した設計を行わなければいけません。
また、建ぺい率は住んでいるエリアによっても異なるため、事前に調べておく必要があります。ここではカーポートと建ぺい率の関係をご紹介します。
屋根のあるカーポートは建築物
カーポートには柱と屋根があるため建築物に含まれます。
建築基準法2条によると建築物とは「土地に定着する工作物のうち屋根及び柱若しくは壁を有するもの」と定められているため、カーポートも特別なケースを除いて建築物扱いになります。そのため、建ぺい率を計算する際の「建物の面積」に含まれます。
一 建築物 土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、これに附属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨こ線橋、プラットホームの上家、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)をいい、建築設備を含むものとする。
原則は建ぺい率の加算対象
原則としてカーポートは建ぺい率の加算対象とされます。
建ぺい率は原則として、敷地内にある戸建てだけでなく、カーポートやガレージなども対象としています。そのため、カーポートが広すぎると戸建てを小さくせざるを得なくなり、逆に戸建てが大きい場合はスペースがあったとしてもカーポートを建てることができなくなります。
端から1m以内の部分は建築面積不算入の緩和がある
カーポートなどの開放性のある建築物は、建築面積の端から1m以内までは建築面積不算入の緩和があります。
建築基準法には、端から1mまでの部分は建築面積に不算入とすることができます。つまり、カーポートの場合は柱を基準とした面積よりも1m後退した部分の面積を建築面積とすることが可能です。
建ぺい率の緩和措置が受けられる条件4つ
カーポートが建ぺい率の緩和措置を受けるためには条件を満たす必要があります。
前述のとおり、高い開放性を持つと国土交通大臣が認めた建築物については建ぺい率の緩和措置が受けられます。この「高い開放性を持つ建築物」として認められるためには、4つの条件を満たす必要があります。
ここでは建ぺい率の緩和措置が受けられる条件4つをご紹介します。
1:柱の間隔が2m以上
建ぺい率の緩和措置を受けるためには、「柱の間隔が2m以上であること」という条件を満たす必要があります。
国土交通大臣が、高い開放性を有すると認めて指定する構造の建築物として指定している4つの条件の1つは柱の間隔です。そのため、カーポートを建てる際には柱の間隔を2m以上開けるように注意する必要があります。
2:天井の高さが2.1m以上
建ぺい率の緩和措置を受けるためには、「天井の高さが2.1m以上であること」という条件を満たす必要があります。
カーポートを建てる場合は屋根を設置しますが、高い開放性を有する建築物と認められるためには、屋根の高さが2.1m以上になるように設計する必要があります。
3:外壁のない部分が4m以上連続
建ぺい率の緩和措置を受けるためには、外壁を有しない部分が、連続して4m以上であることという条件を満たす必要があります。
高い開放性を有する建築物の条件には、外壁がない部分が最低でも連続して4m以上必要です。この条件に関しては、もともと外壁を設置しないカーポートは基本的に満たしているでしょう。
4:地階を除いて階数が1であるか
建ぺい率の緩和措置を受けるためには、地階を除き階数が1であることという条件を満たす必要があります。
この条件に関しては、敷地の1階部分にある建築物であれば条件を満たすため、カーポートなら基本的に条件を満たしているでしょう。
つまり、柱間隔が2m以上、屋根が2.1m以上の高さにある平屋のカーポートであれば、建ぺい率の緩和措置が受けるための条件を満たせます。
他にもあるカーポートのメリット
カーポートには他にもさまざまなメリットがあります。
ここまでご紹介したように、カーポートはガレージと違って柱と屋根から構成されているため、4つの条件を満たせば建ぺい率の緩和措置を受けることができます。
このほかにも、カーポートにはガレージと比較した場合、さまざまなメリットがあります。ここではカーポートのメリットについてご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
建築コストが安い
カーポートはガレージなどよりも建築コストが安く済みます。
ガレージの場合、四方を壁やシャッターなどで囲むため耐久性がありますが、基礎工事や土間打ち工事が必要になるため建築コストは高くかかります。
一方、カーポートは柱と屋根でできた簡易的な車庫なので、耐久性はガレージには及びませんが、建築コストは安く済みます。そのため、日差しや雨などから車を守りたいだけであれば、カーポートの方が良いでしょう。
ガレージより見通しが良い
カーポートはガレージよりも見通しが良いです。
車をガレージから出す際、他の車が近づいてきていないか、歩行者が飛び出したりしないかなど気を付けなければいけない点は多いです。また、バックで駐車する際もガレージは薄暗いため、後方確認が難しいです。
その点、カーポートは壁に覆われていないため見通しがよく、車の出し入れが簡単だというメリットがあります。
カーポートは建ぺい率の緩和対象になりうるのでおすすめ
日差しや雨から車を守る程度で問題なければ、ガレージよりカーポートが適しています。
カーポートやガレージなどを建てる場合に問題になる建ぺい率ですが、カーポートであれば特定の条件を見たすことで緩和措置を受けられます。
ぜひこの記事でご紹介した建ぺい率の緩和措置が受けられる条件を参考に、便利なカーポートを設置してみてはいかがでしょうか。