住宅ローンを繰り上げ完済したら?完済後の手続き3つと抵当権の抹消について紹介
2021 12.9この記事はPRを含みます
住宅ローンは何年で組んでいる?
2018年度における住宅金融支援機構による調査結果では、住宅ローンの平均貸出期間は単純平均で26.7年です。また、全体の63.5%は25年以上のローンを組んでいることが分かります。
本記事では、繰り上げ返済による完済と完済後の手続き3つについて紹介します。完済するだけで終わらないのが住宅ローンです。完済後のトラブル防止のためにも、ぜひご覧ください。
住宅ローン完済までの期間
同調査によると、住宅ローン完済までの平均期間は15.7年であり、2015年度以降は毎年伸長している状況です。
貸出期間と完済期間を比較すると、多くの場合は25年以上の期間で借入するものの、約10年短縮して完済していることが分かります。これは、繰り上げ返済したことで完済期間が短くなっています。この調査結果から、長期間で借入し短期間で返済している状況が読み取れます。
繰り上げ返済で住宅ローン完済
前記のとおり、住宅ローンを早く完済するために多くの方が繰り上げ返済しています。
繰り上げ返済とは、毎月の決められた金額以外に任意で返済することで、元金全部又は一部を返済することです。繰り上げ返済は元金に充当されることから、毎月の返済額が少なくなることや返済期間が短縮されるメリットがあります。
一方で、無理に繰り上げ返済することにより、手元の現金がなくなる場合があるので注意が必要となるでしょう。
住宅ローン完済後の手続き3つ
住宅ローンは完済するだけで終わりではなく、完済後には各種手続きが必要です。手続きをしないとデメリットが生じる場合があるので、完済後の手続きを3つ紹介します。
必要な手続きはローン返済、抵当権抹消・質権解除になります。
それぞれの手続きのポイントを理解することで、住宅ローン完済後のトラブルを未然に防ぎましょう。
住宅ローン完済後の手続き1:金融機関
住宅ローンを完済する場合、約定金額を返済することで完済する方法と繰り上げ返済による完済方法があります。
繰り上げ返済による完済の場合、金融機関による手続きがあることからも、約定返済日の数週間前に金融機関へ申し出ることで事前に準備しましょう。なお、繰り上げ返済における最低返済金額の単位や手数料は、金融機関により異なります。
住宅ローン完済後の手続き2:法務局
法務局では抵当権抹消登記の手続きをおこないます。
抵当権とは、住宅ローンの支払いが滞った際に、貸主である金融機関はその建物や不動産を担保として処分することで、金融機関の貸出リスクを回避するために設定されているものです。住宅ローンが完済すれば担保の設定が不要になることから手続きが必要となります。
手続きの必要性とポイントについて説明します。
不動産売却
住宅ローンが完済したにもかかわらず、抵当権抹消登記の手続きをしなかった場合のデメリットについて紹介します。
抵当権が残っていると、該当する不動産や建物は金融機関の担保になっている状態と判断されます。これにより、住宅ローン完済後に不動産等売却の手続きをしても、思うように買い手が見つからないでしょう。
このように、住宅ローンは完済すればすべてが終わることではありません。
新規の住宅ローン借り入れ
抵当権抹消登記の手続きをしない限り、登記簿謄本には抵当権が残ります。これにより、新規に住宅ローンを組むことが困難になるので注意が必要です。
登記簿謄本で住宅ローンの返済状況が分からないことからも、抵当権を抹消することで完済しているとみなされます。そのため、抵当権が残っている限り、金融機関における新しいローンの審査は困難を極めることになるでしょう。
不動産相続
抵当権抹消登記が必要な理由の最後は、不動産相続に関連する内容です。
住宅ローン返済中に所有者が亡くなると、多くの場合は団体信用生命保険により住宅ローンが完済されます。この場合も、前述同様に抵当権抹消の手続きが必要です。
不動産を相続しても自動で抵当権抹消とはなりません。前項同様に、抵当権抹消登記しない場合は、不動産売却及び新しいローンを組むことが難しくなります。
住宅ローン完済後の手続き3:保険会社
最後に紹介する住宅ローン完済後の手続きは、火災保険の質権解除についてです。
火災保険の質権とは、住宅ローン借入時の担保として、金融機関が火災保険金を請求する権利を持つことです。住宅ローン完済に伴い、火災保険の質権を解除することで万が一の被害があった場合は自分で受取れます。
こちらも抵当権抹消登記同様に、住宅ローン完済後は自ら各種手続きをする必要があります。
住宅ローン完済による抵当権抹消手続きの手順
住宅ローンを完済しても、抵当権は自動的に外れることがないため、法務局において抵当権抹消登記の手続きをする必要があります。
手続きに必要な書類は住宅ローン完済後に金融機関から送付されます。これらの提出すべき書類が準備出来次第、自分でおこなうか司法書士に依頼するかを決めます。
それぞれの必要書類及び手順について紹介しますので参考にしてください。
住宅ローン完済後の抵当権抹消の手順:自分で行うか司法書士に依頼
抵当権抹消登記の手続きは自分でおこなうか、司法書士に依頼するかのどちらかになりますが、ここでは違いについて説明します。
手続きに必要な書類や用語が難しいことから敬遠しがちになりますが、自分でおこなうことは十分可能です。ただし、時間の確保ができない場合は無理せず司法書士に依頼するようにし、手続きにかかる費用や時間を考慮したうえで、自分の状況にあった方法を選びましょう。
自分で行う場合
抵当権抹消登記の手続きを自分で行う場合、まずは法務局において抵当権抹消登記申請書を準備します。なお、抵当権抹消時申請書は法務局で受取るほかに、法務局ホームページからダウンロードできます。
自分で手続きする場合、抵当権抹消時申請書及び住宅ローン完済後に金融機関から送付される書類を用意したうえ、法務局で手続きをすすめましょう。
司法書士に依頼する場合
抵当権抹消登記手続きは、司法書士に依頼することも可能です。
司法書士に依頼する場合は、前記の書類を司法書士へ渡すだけで手続きができます。自分で行うには難しいと判断した場合や、時間確保が困難な場合に活用しましょう。ただし、司法書士に依頼する場合は1万円前後の依頼費用がかかります。
全ての手続きが完了すると、登記完了書類が交付されますので大切に保管しましょう。
住宅ローン完済後の抵当権抹消の手順:必要書類の準備
抵当権抹消登記手続きに必要な書類はさまざまあります。
住宅ローン完済後、金融機関から登記済証もしくは登記識別情報、登記事項証明書、弁済証書及び委任状が送付され、これに加え、自分で用意した抵当権抹消登記申請書が必要です。
手続きは郵送でおこなうことも可能ですが、不備があった場合は返送されます。一方、直接訪問した場合、すぐに訂正できる内容であればその場で手続きが完了します。
住宅ローンを完済した場合には手続きをしっかりと行おう
これまで紹介したとおり、住宅ローン完済後の抵当権抹消登記手続きは速やかに実施します。
抵当権抹消登記手続きを後回しにすることによるメリットはありません。別のローンが組みにくくなることに加え、住宅売却及び住宅相続が発生した際は、より面倒な事態となるばかりです。
住宅ローンは完済することが目的ではありますが、思わぬトラブルを未然に防ぐためにも、完済後の手続きはしっかり行いましょう。