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不動産所得は65万円控除できる?確定申告に必要な経費13個と手順を解説

2020 06.4この記事はPRを含みます

不動産所得とは

不動産所得とは、所有している不動産による収入を指します。

保有している土地や建物などの貸し出しや、地上権などの不動産上にある権利、船舶や航空機の貸し出しによる利益が該当します。具体的には、賃貸物件を貸し付けることによる家賃収入や駐車場の運営、所有する土地に建てた看板の使用料などです。

また、事業的な貸し付けだけでなく、知人などに一時的に自宅を貸して家賃を受け取った場合も不動産所得に該当します。

国税庁|不動産所得とは

不動産所得の確定申告が必要な人

不動産所得が年間20万円を超える場合には確定申告が必要です。

最近は節税対策として本業を別に持つ人でも不動産を所有するケースが多いですが、不動産による総収入から必要経費を引いた不動産所得が、年間20万を超える場合は誰でも確定申告が必要になります。

そのため、サラリーマンなどの本来は雇用主側で申告作業を代行してもらっている人でも、年間20万円を超えた場合は申告が必須です。

不動産所得に当てはまらないもの

不動産による所得でも事業所得や雑所得になる場合があります。

不動産の貸し付けによる所得は不動産所得ですが、その不動産所得が事業として行われている場合は事業所得になります。アパートなら10室以上、独立家屋なら5棟以上ある場合は事業所得だと認められます。

また、不動産による所得でも継続期間が短かったり、安定した設備が整えられていないなど不動産所得にあてはまらない場合、雑所得と判別される場合もあります。

国税庁|事業としての不動産貸付けとの区分

不動産所得の計算方法

不動産所得は「総収入金額-必要経費=不動産所得の金額」で算出されます。

不動産所得は、不動産に関わるすべての収入金額から必要経費を差し引いた残りの金額になります。総収入金額には、賃貸運営による家賃収入だけでなく、更新料や管理費、共益費、返還の必要がない敷金や補償金なども含まれています。

また、必要経費には、貸しつけている土地や建物の固定資産税や各種税金、減価償却費や修繕費などが該当します。

国税庁|所得の計算方法

不動産所得の申告に必要な13の経費

不動産所得の申告ではどのような項目が経費になるのでしょうか。

確定申告の際には、経費にできるものを経費として計上し、さらに控除を差し引くことで不動産所得を算出することができます。経費や控除を正しく計上しなければ、実際よりも所得が多くなってしまい、必要以上の税金を支払うことになってしまいます。

ここでは不動産所得の申告に必要な13の経費を紹介します。

申告に必要な経費1:租税公課

「租税」と「公課」をあわせた勘定科目である租税公課は、不動産の申告の際に必要な経費となります。

租税は国税や地方税などの税金、公課は国や公共団体などに対する交付金や会費などの公的な課金を意味します。

具体的には、印紙税や固定資産税、消費税や事業税などが租税の対象になり、印鑑証明書や住民票の発行手数料などが公課の対象になります。事業に関連しない税金や負担金は経費として認められません。

申告に必要な経費2:損害保険料

万が一の事故や災害などから事業を守るための損害保険料は、不動産の申告の際に必要な経費となります。

損害保険料は事業所の火災保険や地震保険、自動車保険、自賠責保険などが損害保険料に該当します。

保険を掛けている事務所が自宅と併用の場合は、水道費や光熱費、保険料などは事業に必要な支出とプライベートの支出を分けて、事業に必要な支出分のみを按分する必要があります。

申告に必要な経費3:借入金利息

毎月返済している借入金利息は、不動産の申告の際に必要な経費となります。

不動産購入のために金融機関から融資を受けた場合、毎月借入金を返済することになります。また、返済している借入金の何割かは元本ではなく利息となります。それらの利息や借入金に関する手数料などは、経費として計上可能です。

申告に必要な経費4:管理費

管理費とは賃貸物件を管理するための費用で、不動産の申告の際に必要な経費となります。

管理費は家賃とは別に、借り主からオーナーへの月々の支払金額が設定されているもので、具体的な使い道の決まりはありませんが、必要な設備の維持管理費として用いられます。

たとえば、アパートの清掃費用やアンテナなどの設備点検、敷地内の花壇の手入れや害虫駆除などの費用は管理費として扱われます。

申告に必要な経費5:広告宣伝費

事業の広告、宣伝にかかる広告宣伝費は、不動産の申告の際に必要な経費となります。

事業や商品の販促に使うポスターなどの印刷物、ダイレクトメールやテレビやラジオ、インターネット広告にかける費用などが該当します。広告宣伝費の消費税区分は課税となります。

広告宣伝費と接待交際費は切り分けが難しい部分がありますが、不特定多数に送る広告や宣伝は広告宣伝費、取引先の人を対象にする場合は接待交際費として処理します。

申告に必要な経費6:減価償却費

減価償却費とは建物の耐用年数により計上できるもので、不動産の申告の際に必要な経費となります。

建物には構造や素材などによって耐久年数が設定されており、建物の購入時の費用を耐久年数で割った金額を減価償却費として毎年計上することができます。

そのため、実際には初年度に全て支払い済みで実際には存在しない支出を経費として計上することで、帳簿上の利益を減らして節税することが可能になります。

国税庁|減価償却のあらまし

申告に必要な経費7:修繕費

修繕費とは賃貸物件の修繕をするための費用で、不動産の申告の際に必要な経費となります。

建物と同じく部屋も劣化するため、入居者が交代するタイミングなどで部屋の機能を回復させるためのクリーニング代やエアコンの交換費用などが発生します。

ただし、機能を向上させるための費用については修繕費として一括での経費計上はできず、固定資産と同じく耐久年数によって減価償却する必要があります。

申告に必要な経費8:新聞図書費

新聞図書費とは事業運営に必要になる新聞や書籍に関する費用で、不動産の申告の際に必要な経費となります。

新聞図書費には新聞や書籍、参考書、雑誌などが含まれています。雑誌は専門書や業界誌だけでなく漫画も含まれていますが、会社の経営や従業員のために購入する経費である必要があります。

また、定期購読は一括で費用を払うケースも多いですが、その場合は購読料を支払うタイミングで経費として計上します。

申告に必要な経費9:接待交際費

接待交際費とは得意先を接待するための費用で、不動産の申告の際に必要な経費となります。

接待交際費は得意先への接待を目的とした外食や、来社した得意先へのお弁当代、パーティなどの「飲食代」と、得意先へのお歳暮やお中元、ゴルフや旅行、タクシー送迎代などの「その他」に分けられます。

また、接待交際費は年間800万円まで経費として計上することが可能となっているため、中小企業であれば気をつける必要はないでしょう。

申告に必要な経費10:消耗品費

消耗品費とは耐久年数が1年未満や取得価格が10万円または30万円未満のものに支出した費用で、不動産の申告の際に必要な経費となります。

名前のとおり、消耗品や少額減価償却資産を購入した場合の経費です。たとえば、ディスプレイやキーボード、LANケーブルなどのパソコン用品、筆記用具やはさみやノートなどの事務用消耗品、コピー用紙やインク代などが消耗品費として計上できます。

申告に必要な経費11:交通費

交通費とは事業を行うための電車やバスなどで利用した費用で、不動産の申告の際に必要な経費となります。

交通費は個人事業主でもサラリーマンでも同じで、取引先や得意先などまでに出向く際にかかった交通費が経費として計上されます。また、サラリーマンの場合は会社への交通費は定期代などの名目で会社が負担します。

申告に必要な経費12:通信費

通信費とはインターネット使用料や電話料金などにかかる費用で、不動産の申告の際に必要な経費となります。

具体的には、インターネット料金、プロバイダ料金、固定電話や携帯電話の料金、郵便料金などがこれに該当します。また、事務所と自宅が兼用の場合は、水道料金や光熱費などを同じく按分することで、費用の一部を必要経費として計上可能です。

申告に必要な経費13:その他

他の経費には該当しない事業上の経費も、不動産の申告の際に必要な経費となります。

その他の経費は雑費として計上される経費で、他の経費にあてはまらないものであるため、原則として臨時の費用や少額な費用が発生した場合に計上されます。そのため、その他の経費があまりにも高額な場合は、税務署から調査が入る場合があります。

経費として計上できないものとは

住民税や所得税などは不動産投資の経費として計上できません。

不動産投資に関係なく発生するような費用は、必要経費として計上することはできません。たとえば、住民税は前年度の所得税をベースに決定されるもので、地方自治体による教育や福祉、行政サービスの資金のために用いられます。

また、所得税も不動産所得や事業所得など1年間の所得にかかる税金となっており、不動産に関係していないため経費にはあたりません。

修繕費と資本的支出の違い

資産の維持管理や修繕のための支出で、経費として計上できるものは修繕費になりますが、計上できないものを資本的支出と呼びます。

修繕費として計上できるものは、たとえば建物と移動もしくは解体移築した費用や、機械装置を移設するための費用がこれに該当します。一方、資本的支出は資産の価値を増すための支出が該当するため、建物のバリアフリー工事や増改築などがこれにあたります。

不動産所得は控除できるのか

不動産所得には控除はあるのでしょうか。

確定申告をする場合、どのような控除が受けられるのかは必ず知っておかなければいけません。控除できるものを知らずに申告してしまうと、必要以上に税金を納めなければいけなくなる場合もあります。

ここでは不動産所得で可能な控除について紹介します。

国税庁|青色申告特別控除

青色申告なら最大65万円控除できる

青色申告をすることで、10万もしくは65万円の控除が可能になります。

不動産投資が事業的規模だと認められる規模になる場合、青色申告で65万円の控除が受けられるようになります。不動産投資での事業的規模とは、アパートなどの場合は部屋数が10室以上、もしくは独立家屋の場合は5棟以上を所有していることが条件となります。

特別控除の条件

不動産売却時には3,000万円の特別控除を受けられる場合があります。

不動産売却でかかる税金の中でも、譲渡所得税は非常に額が大きいです。しかしマイホームなどの不動産なら特別控除を受けることにより、最高で3,000万円の特別控除を受けられます。特別控除を受けることで、3,000万円までは課税対象から除外することが可能になります。

不動産所得を控除する確定申告の手順

不動産所得を控除するためには、どのような手順が必要なのでしょうか。

不動産所得で控除を受けるためには、しっかりと控除関連の書類を含め必要書類を準備して、確定申告を行う必要があります。確定申告の手続き期間は毎年2月15日から3月15日までとなっていますので、直前になって慌てないように準備しましょう。

ここでは不動産所得を控除する確定申告の手順について紹介します。

国税庁|アパートや貸家の賃貸収入がある人

確定申告の手順1:必要な書類を用意する

不動産所得の確定申告で控除を受けるためには、まずは不動産売買や家賃収入、控除関連の書類を準備しましょう。

不動産関連の書類としては、不動産売買契約書や賃貸借契約書などがあります。不動産投資会社とやりとりをする中で必ず受け取るものなので、失くさないようにしましょう。

また、控除関連の書類は控除を受けるために必要なので、保管しておきましょう。

確定申告の手順2:青色申告決算書を提出する

不動産所得の確定申告で控除を受けるためには、青色申告決算書で確定申告を行いましょう。

青色申告では65万円もしくは10万円の所得控除を受けられるため、大幅な節税が可能です。青色申告をしたい場合には、事業を開始した2か月以内に開業届を提出し、さらに所得税の青色申告承認申請書を提出しましょう。

また、すでに事業を行っている場合、3月15日までに青色申告承認申請書を提出すれば、翌年からは青色申告が可能です。

国税庁|青色申告制度

確定申告の手順3:確定申告書を作成する

不動産所得の確定申告で控除を受けるためには、確定申告書を行いましょう。

青色申告も白色申告も、確定申告の際には「確定申告書B」という同じ申告書で手続きを行います。第一表には各項目ごとの集計金額、第二表には所得の内訳や社会保険料控除、生命保険料控除に関する内容を記入します。

また、3枚目は源泉徴収票と本人確認書類、4枚目は控除関係書類や保険料控除関係書類の添付用書類台紙となっています。

確定申告の手順4:申請の手続きを行う

不動産所得の確定申告で控除を受けるためには、確定申告の手続きを行いましょう。

申請手続きには、用意した書類を税務署に郵送、窓口で直接手渡し提出、インターネットで提出の3種類があります。

青色申告なら不動産所得の控除ができる

不動産所得で確定申告をする場合は、青色申告で特別控除を受けましょう。

不動産所得の確定申告を行う場合、提出する書類も多く必要になるため、事前にしっかりと準備をしておく必要があります。青色申告では最大65万円の控除が受けられるなど、節税効果も大きいです。

不動産所得の確定申告では、ぜひ青色申告を行うようにしましょう。

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