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敷金トラブルとはもめる原因と対処法|修繕費用の負担区分例6つ

2020 06.4この記事はPRを含みます

目次

敷金トラブルは何故起こる?

賃貸物件の退去時に起こるトラブルのひとつが「敷金トラブル」です。敷金が返ってこないことや、さらにプラスで支払うことになった場合、退去時のトラブルでもっとも揉めるのが「敷金」ではないでしょうか。

なぜ「敷金トラブル」が起こるのか答えは簡単です。「敷金」というものを正しく理解していないからです。「敷金」がどういったものなのか理解していれば、多くの「敷金トラブル」は回避することができます。

敷金トラブルの原因2つ

賃貸物件を借りる際によく耳にするのが、「敷金」「礼金」などです。賃貸の際の諸経費で、借りる際には支払う程度の認識ではないでしょうか。もしくは、退去する際には返ってくるお金と認識しているかもしれません。

しかし、この認識は大家側と入居者側で大きく違ってきます。この認識の違いが敷金トラブルの原因になっています。では、敷金トラブルの大きな原因について説明しましょう。

敷金トラブルの原因1:原状回復の意味

原状回復とは、「物件を借りていたもともとの状態に戻す」ことをいいます。もともとの状態といっても、新築同様の状態に戻すということではありません。「自然な状態に回復すること」なので、日焼けや自然な汚れは回復する必要はないのです。

意図的な傷があったり、汚れがあったりする場合にのみ原状回復が求められます。つまり、原状回復の意味を知らないと、「敷金トラブル」に繋がってしまう可能性が高くなってしまうのです。

敷金トラブルの原因2:負担区分の理解

原状回復をするのにどこまでが入居者の負担で、どこからが大家の負担なのか難しい問題です。こういった負担区分も「敷金トラブル」の大きな原因と言えるでしょう。

キズひとつとっても、故意なのか自然にできたキズなのかで、どちらが負担するか変わってきてしまいます。たとえば、壁に指した画鋲の跡は生活する上で許容範囲とみなされ、入居者の負担にはなりませんが、ネジや釘穴は入居者負担となります。

敷金トラブルで大家が負担する修繕費6つ

「敷金トラブル」は原状回復や、その負担区分の理解の相違が原因で起こることが分かりました。ここからはさらに詳しく、どんな場合に大家側が修繕費を負担するのかを見ていきましょう。

詳しい状況を挙げて、大家が負担する修繕費の例を6つご紹介します。こんなときはどうなのかという疑問も、これを見ていただければ分かるのではないでしょうか。

敷金トラブルで大家が負担する修繕費1:入居者に渡す鍵

次の入居者のために鍵を取り替える場合や、セキュリティー向上のために新しい鍵へと付け替える場合は、修繕費は大家側の負担になります。入居者側の過失などではないため、敷金から修繕費をまかなうことはできません。

あくまでも、紛失でもない限り鍵の交換は大家側の都合です。敷金から費用を差し引いてしまうと、「鍵はきちんと変換したのに」とトラブルになりかねません。

敷金トラブルで大家が負担する修繕費2:耐用年数が過ぎた給湯器や設備

耐用年数が過ぎた給湯器や、その他の設備を交換する際の修繕費も大家側の負担になります。耐用年数を過ぎている設備の修繕費用は、入居者にはなんの過失も故意もありません。その物件を管理する大家側が、修繕費を支払うのが当然ということになります。

このように、入居者側に故意がない場合の修繕費用は敷金で負担することはできません。トラブルを避けるために、しっかり覚えておきましょう。

敷金トラブルで大家が負担する修繕費3:電気ヤケや日やけによるクロスの張替え

電気ヤケや日焼けなどでクロスの色が変色してしまうことがあります。そのため、クロスの張替えは特にトラブルになること多いです。次の入居者のために、新しいクロスに張り替えたいところですが、この費用は大家負担になります。

電気ヤケや日焼け跡は、普通に生活していても起こるものです。これは入居者の故意とはいえず、敷金で負担することはできません。壁に貼ったカレンダーやポスターの跡なども、この範囲に含まれます。

敷金トラブルで大家が負担する修繕費4:床にできた家具の設置跡

部屋に家具を置くと、家具の重みで床に設置跡が残る場合があります。家具を置いているときは気になりませんが、退去の時には意外と気になるものです。この家具の設置跡を理由にフローリングを張り替える際は、大家負担です。

建物を貸す以上、家具を置くことは当たり前と言えます。家具の設置跡は、普通の生活を送る上で致し方のないものです。よって、故意ではないので敷金を使っての修繕はできません。

敷金トラブルで大家が負担する修繕費5:災害による建具や窓の破損

地震などの災害で建具や窓に破損が生じた場合に、それらを修繕するのは大家負担になります。災害での破損は、誰の責任でもありません。誰も悪くはないのであれば、建物の管理者である大家が修繕費を支払うのが一般的です。

災害での修繕費を敷金から使ってしまっては、のちのトラブルにつながりかねません。災害などで建具や窓などに破損が合った場合は、大家負担と覚えておきましょう。

敷金トラブルで大家が負担する修繕費6:設置済みクーラーの水漏れによる壁の腐食

設置済みのクーラーの水漏れによって壁が腐食し、修理が必要な場合も大家の負担です。もともとある設備の不具合で起こった修理ですから、入居者側に故意はないとみなされ、大家が修繕費を負担することになります。

クーラーの故障ならを取り替えるだけで済みますが、壁が腐食してしまうと修繕費も高くついてしまいます。トラブルになる前に、何かあったら連絡をしてもらえるように日ごろから良好な関係を築いておきましょう。

敷金トラブルで入居者が負担する修繕費6つ

大家側が修繕費を負担する例を6つ紹介しましたが、ここからは入居者が修繕費を負担する事例を見ていきましょう。入居者が修繕費を負担しなければいけない場合も多く存在します。

自分の考える普通が、一般的な普通とは限りません。うっかりで修繕費を支払うことになる場合も考えられます。「敷金トラブル」を避けるためにも、ぜひ参考にしてください。

敷金トラブルで入居者が負担する修繕費1:不注意による鍵の紛失

入居者の不注意により鍵を紛失し、鍵を交換しなければならなくなった場合は入居者が修繕費を負担しなければなりません。これはあきらかに入居者側の不注意なので、大家側に負担を求めることはできません。

鍵を失くした場合は、誰かに拾われて犯罪に使われる可能性もゼロではありません。もし、そのままにしてしまえば、次の入居者がトラブルにあう可能性もあります。鍵を紛失した場合は、退去時にきちんと伝えましょう。

敷金トラブルで入居者が負担する修繕費2:間違った使い方による設備の破損

耐用年数を過ぎた設備や経年劣化で壊れた設備の修繕費は、大家側の負担になると説明しましたが、間違った使い方をして設備が破損した場合の修繕費は、入居者の負担になります。

正しく使っていれば壊れなかった設備を、間違った使い方をしたのは入居者です。それが故意でなかったとしても、入居者側に過失があることは明らかなので大家が負担するべきではありません。トラブルにならないように、正しい使い方をしましょう。

敷金トラブルで入居者が負担する修繕費3:放置によってできた結露のカビやシミ

生活していれば結露が起こることは仕方がないことですが、それを放置した結果、カビやシミが広がった場合は入居者が修繕費を支払うことになります。結露を放置したことは、入居者の落ち度です。

しかるべき処置をとっていれば防げたかもしれない場合、原状回復しなければならないでしょう。このようなトラブルを回避するためにも、結露対策などをしっかりしておくことをおすすめします。

敷金トラブルで入居者が負担する修繕費4:引越し作業などによる壁のキズ

引越し作業などの際、壁に家具をぶつけてキズを作ってしまった場合も、修繕費は入居者の負担となります。引越し作業などでついたキズは、普通の生活でついたキズとは認められません。敷金から修繕費が払われても文句は言えないでしょう。

引越し業者が作業の際に壁などを保護するのは、こういったトラブルを防ぐためです。自分で引越し作業をする際は、壁などにキズをつけないように慎重に行う必要があります。

敷金トラブルで入居者が負担する修繕費5:ペットによる破損やニオイ付け

賃貸物件にはペット可のものもあります。だからといって、ペットが汚した壁やニオイをそのままにしていいというわけではありません。ペットによる破損やニオイなどが残った場合は、入居者の負担となり敷金が使われます。

猫による壁や柱の引っかきキズや、犬によるフローリングのキズなどは修繕の対象になります。もちろんペット不可の物件であるのに黙ってペットを飼っていた場合は、さらに修繕費を請求されることもあります。

敷金トラブルで入居者が負担する修繕費6:クーラーの水漏れによる壁の腐食

クーラーの水漏れによる壁の腐食も、場合によっては入居者の負担になります。入居者には「善管注意義務」というものがあります。借りている物件に何かあった場合は、速やかに管理者に報告しなければなりません。

水漏れに気づいていたのにそのまま放置していた結果、壁の腐食が起こった場合は「善管注意義務違反」となり、入居者の負担となります。クーラーを設置したのが、大家であっても同じことです。

敷金トラブルのポイント2つ

大家側と入居者側が、修繕費を負担しなければならないパターンをそれぞれ見てきました。そこで分かったことは、「敷金トラブル」には大きなポイントが2つあるということです。「敷金トラブル」で悩んだら、まずはこの2つのどちらに当てはまるか考えてみてください。

敷金トラブルのポイント1:明らかな過失や故意による故障・傷は入居者

「敷金トラブル」のポイントのひとつは、明らかな過失や故意による故障・傷があるのかといった点です。そういったものが見受けられる際には、入居者が修繕費を払うのは当然のことです。

趣味のDIYで壁を壊したといったような場合は、悪意がなくとも故意によるものですから原状回復せざるを得ません。このような、普通の生活ではまずつかないキズがあった場合には、入居者に過失があり修繕費を負担します。

敷金トラブルのポイント2:通常損耗・経年変化などは大家

通常損耗や経年変化が原因のキズや修理費用は、管理者である大家が負担します。通常損耗や経年変化とは、床や壁の日焼け跡や、通常使用で起こったであろう汚れなどです。

これらは誰が使用しても起こってしまう仕方のない劣化です。その修繕費を入居者に求めることはできません。ただし、掃除などを疎かにしたことによる油汚れや水垢などは経年変化とはみなされませんので、注意が必要です。

善管注意義務

善管注意義務とは、民法第400条に規定されている「善良なる管理者の注意義務」を略したものです。簡単にいえば、取引をしたからには一般的な程度の注意をしなければならないという義務のことです。

賃貸でいえば、雨漏りがするとか水漏れがしているとか、そういったことには注意をしなければならないということです。また、分かっているのに放置した場合は、善管注意義務違反となります。

第四百条 債権の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、その引渡しをするまで、善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならない。(種類債権)

https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search…

敷金トラブルを防ぐには契約前に入居者に正しく理解してもらうことが必要

明らかな過失や故意による故障やキズは入居者、経年変化は大家が負担するものだと言葉では簡単に説明できますが、実際はどちらに責任が生じるのか難しい判断になるでしょう。だからこそ「敷金トラブル」が起こってしまうのです。

「敷金トラブル」を防ぐためには、契約前にしっかりと理解してもらうことが大切です。不明な点などは契約の時点で、しっかりと確認しておくようにしましょう。

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