実損填補とは?実損填補型の医療保険やがん保険を理解するポイント9つ
2020 10.21この記事はPRを含みます
実損填補とは?
実損填補とはいったい何のことなのか、保険に詳しい方ならご存じでしょう。デジタル大辞泉によると実損填補(じっそんてんぽ)は、「損害保険会社が保険金を支払う形式の一つ。保険会社が限度額の範囲内で、実際の損害額を保険金として支払うもの。」と定義されています。
上記の通り実際の損害額が保険金として支払われるものが、実損填補型の保険です。以下で実損填補型の保険について解説します。
損害保険会社が保険金を支払う形式の一つ。保険会社が限度額の範囲内で、実際の損害額を保険金として支払うもの。
どんな保険に実損填補型があるのか
実損填補型の保険は性質上、損害保険会社で販売されています。したがって火災保険は実損填補型保険の代表です。
長らく保険業法による規制の関係で、損害保険会社は損害保険商品のみ販売していました。しかし1996年の改正保険業法施行によって、いわゆる損保系生命保険会社(損害保険会社の子会社)を通して生命保険商品の販売が可能になりました。
今では損害保険会社を通して、医療保険、がん保険などの実損填補型保険が販売されています。
実損填補型の保険を取り扱う会社は?
実損填補型の保険は損害保険会社から販売されています。現時点では生命保険会社では販売されていません(一部の特約を除く)。
実損填補タイプの保険は、入院や手術、通院などでかかった費用の実費が支払われるものです。損害保険会社には実損填補のノウハウが豊富にありますので、損保の特徴を活かした保険と言えるでしょう。
実損填補型の医療保険やがん保険を理解するポイント9つ
実損填補型保険は損害保険会社で販売されてる実費補償タイプの保険ですが、その具体的な実損填補型保険の特徴について詳しく見ていきましょう。
実損填補型の医療保険や、がん保険を理解するうえでのポイント9つを解説しますので、参考にして下さい。
実損填補型保険のポイント1:終身型はない
実損填補型の保険に終身型はありません。
保険には大きく分けて終身型と定期型(更新型)があります。終身型は保険料を支払えば一生涯保障が続きますし、保険料も上がりません。一方、定期型は満期や更新の時期があり、保険料も変わっていきます。
定期型は更新の時期を迎えるたびに、保険料が上がっていくので、当初は保険料が割安だとしても、高齢を迎えたときに保険料が割高になるというデメリットがあるでしょう。
実損填補型保険のポイント2:若い時期は保険料が安い
実損填補型の保険は、若い時期の保険料が安いという特徴があります。
実損填補タイプは定期型のみですが、若い時期の保険料が安く設定されているため、若年層は比較的大きな保障内容の保険に安く加入することができます。
ただ更新のたびに保険料が上がりますので、前述のとおり年齢と共に保険料が上昇する心配がありますが、更新のときに保障の見直しをして保険料を抑えることもできるでしょう。
実損填補型保険のポイント3:治療のためにかかった費用をすべて保障
実損填補型保険では、治療のためにかかった費用をすべて保障してもらうことができます。
医療保険や、がん保険は主に生命保険会社で販売されていますが、定額タイプ(日額型)が主流で、入院日数と手術の種類によってあらかじめ給付金額も決まっています。
一方、実損填補型は上限が設定されている場合もありますが、実際にかかった費用が保障されます。そのため、高額な治療も安心して受けることができるでしょう。
実損填補型保険のポイント4:入院しない場合も保障される
実損填補型のメリットには、入院しない場合も保障される点が挙げられます。
日額型では入院しなければ給付金を受け取れないタイプがほとんどです。一方、実損填補型では通院治療や健康保険の自己負担分、そして差額ベッド代でも給付金を受け取ることができます。
かかった治療費の実費を保障することは、実損填補型の強みと言えるでしょう。
実損填補型保険のポイント5:自由診療も保障
実損填補型保険の大きなメリットの1つは、自由診療も保障の対象になるという点です。
病院で行われる治療には、大きく分けて保険診療と自由診療があります。保険診療は公的な健康保険が使えますが、自由診療には使うことができず全額自己負担です。
しかし、高額になりがちな自由診療を実損填補型の保険で賄うことができるのは、治療の幅も広がり、自由診療が保障の対象外である日額型の保険と違って大きなメリットでしょう。
実損填補型保険のポイント6:保障上限額について
実損填補型保険には、保障の上限額が設定されている場合があります。
がん治療には、重粒子線治療や陽子線治療のように数百万円を要する先進医療がありますが、自由診療にも高額な治療費を要するものがあり、実損填補型保険はこれらを保障の対象としています。
そのため給付金額が無制限に膨らむことを防止するために、保障の上限を設けているのです。
実損填補型保険のポイント7:上限額があればその分保険料は安い
実損填補型保険に上限額の設定があれば、その分保険料は安くなります。
基本的に実損填補型保険は実費を支払ってもらえますが、中には上限が設定されている保険も存在しているため上限額の確認が必要です。そして、上限額のあるタイプの保険料は安くなっていることが多くあります。
実損填補型保険のポイント8:定期型であるため更新のことを検討する必要がある
定期型であるため更新時のことを検討する必要があります。
実損填補型保険に終身型はなく、5年満期や10年満期といった定期型のみです。そのため、満期を迎えたときに、更新するか終了するかを検討する必要があるでしょう。
通常は更新のたびに保険料は上がりますので、高齢になったときに保険料が高額になるというデメリットが考えられます。
実損填補型保険のポイント9:ネット専用商品が多い
実損填補型保険にはネット専用商品もあります。
インターネット限定で販売することで、代理店などの中間コストが抑えられるため、ネット専用の商品は保険料が安い傾向にあります。ただし申込時に不正確な告知をしてしまうと、給付が出ないケースがありますので注意しましょう。
実損填補型の医療保険やがん保険が注目される理由3つ
これまで見てきたように、実損填補型の保険にはいろいろなメリットがあります。保険の商品としての数や加入者数はまだまだ少ないですが、今後の注目株とも言えるでしょう。
ここからは、実損填補型の医療保険やがん保険がなぜ注目されるのか、その理由について3つ解説します。
実損填補型保険が注目される理由1:かかった費用が保証されるため無駄がない
実損填補型保険は、かかった費用が保障されるため無駄がありません。
たとえば、日額型の医療保険では給付金額があらかじめ決まっているので実際の入院費用と比較して多かったり少なかったりします。反対に実損填補型医療保険では、入院日数に関係なく実費保障されるため安心です。
必要な費用が保障されている分、しっかり治療に専念できるでしょう。
実損填補型保険が注目される理由2:医療技術が多様になったこと
実損填補型保険が注目される理由には、医療技術が多様になった点も挙げられます。
従来の保険診療(公的健康保険を使用する診療)に加え、最近は先進医療や自由診療も充実してきました。一方、この保険外診療は、総じて治療費が高額です。先ほど触れた重粒子線治療などのように数百万円の自己負担が求められる治療も増えてきました。
お金の心配をせずに治療に専念したい人が、実損填補型保険を選んでいると考えられます。
実損填補型保険が注目される理由3:高齢化のライフスタイルに合っている
実損填補型保険は、今の日本人のライフスタイルに合った保険と言えます。
若くても、がんなどの重い病気にかかるリスクと無縁ではありません。一方、保障の充実した終身タイプは保険料が高額です。このことから、更新型で若年層にも保障が手厚く保険料も安い実損填補型保険は合理的な選択でしょう。
もちろん高齢になると更新時の保険料が心配ですが、選択肢は準備されていますので保険会社の説明をしっかり確認するとよいでしょう。
実損填補型の医療保険やがん保険について知ろう
実損填補(じっそんてんぽ)型保険は、治療にかかった実費が給付される合理的な保険です。
現時点では損害保険会社からのみ発売されていますが、例外的に一部の生命保険会社は診療報酬の点数に応じて給付金を支払う実損填補特約を販売しています。今後の治療の進歩によっては医療関連保険の主流になる可能性も秘めています。
これからの実損填補型の医療保険、がん保険に注目していくのもいいでしょう。