知っておきたい年金生活の基礎知識5つ|税金や確定申告について解説
2020 10.21この記事はPRを含みます
年金生活は難しい?
現役で働くことを終えて老後生活する場合、収入は途絶えますので年金のみで生活しなければなりませんが、年金だけで生活するのは厳しいといわれています。
実際に年金はどういった仕組みで、何歳から支給されて、いくらくらい支給されるものなのでしょうか。ここでは年金とはどのようなものなのか、また年金受給できる年齢は何歳か、老後にどの程度の金額があれば生活できるのかについてみていきます。
年金とは?
年金は日本に住む20~60歳未満の人が全員加入することになっています。年金は基礎年金と厚生年金の2階建てとなっていて、厚生年金部分は会社員や公務員などが受け取ることができます。
そのため、年金は厚生年金部分はどのくらいの年収をもらっていたかによって変わるので、個人個人の受給金額は変わります。また、年金保険料は60歳まで納付し、受給は65歳からが基本となりますが、受給時期を繰り上げたり繰り下げることができます。
老後はいくらあれば生活できる?
年金が支給される年齢が基本的に65歳ということがわかりましたが、老後の生活にはどのくらいの生活費が必要になるのでしょうか。
夫婦2人の老後の生活費として、2018年の総務省統計局の調査によれば、60~69歳では約29万円、70歳以上では約24万円となっています。この平均額を受給できる年金が上回れば問題ありませんが、下回る場合はゆとりのない、貯金を取り崩す生活になると考えられるでしょう。
生活費の内訳
老後の生活に必要な金額が60代で約29万円、70代以降が約24万円ということですが、生活費の内訳では現役世代と老後では内容が異なります。
たとえば、食費などの基礎的な支出では、老後も現役世代から比べると、若干減少するもののそれほど変わりませんが、教育費や交通費などは子供が自立したり通勤などがなくなった分、ほとんどかからなくなる傾向にあるでしょう。
知っておきたい年金生活の基礎知識5つ
年金生活が想定以上に厳しいということがわかってきましたが、年金生活を考える場合に、まずは知っておくべき基礎知識があります。
ここでは、年金生活において知っておきたい基礎知識を5つご紹介します。どれも、年金生活を送る場合に必要な知識ばかりですので、以下を確認しましょう。
年金生活の基礎知識1:年金の種類
年金の種類には、老齢基礎年金、老齢厚生年金、障害基礎年金、障害厚生年金、遺族基礎年金、遺族厚生年金、寡婦年金があります。国民全てが加入し受給する年金は老齢基礎年金で、会社員や公務員の場合、そこに老齢厚生年金分が加算されます。
また、障害がある場合は障害基礎年金と障害厚生年金、遺族には遺族基礎年金と遺族厚生年金が受給可能です。寡婦年金は特殊な年金で、条件がいくつかあってあてはまる場合のみ受給できます。
年金生活の基礎知識2:年金はいくらもらえる?
年金生活の基礎知識として、年金がいくらかを把握することも重要です。ただし、年金の受給額は個人ごとに異なりますので、ここでは標準的な年金を想定し紹介します。
現在の標準的な年金は、夫と妻が基礎年金67,017円と夫の報酬比例年金104,092円を足して、月額238,125円ほどを想定しています。もし、老後の生活資金がこれでは足りないという場合には、その差額×年数を貯蓄で賄うことになるでしょう。
年金生活の基礎知識3:年金にも税金がかかる
標準モデルにおける年金受給額がわかりましたが、実際に受け取る手取り額は、ここから税金を差し引いた金額となります。課税されるのは全ての年金受給者が対象ではなく、一定額以上の年金を受給している人になります。
一定額とは、65歳未満であれば108万円以上で、65歳以上であれば158万円以上になります。また、課税対象となる人でも社会保険料は控除され、扶養控除や配偶者控除などいろいろな控除の対象となります。
遺族年金と障害年金
年金に対しても一定額を超えれば課税対象となりますが、遺族年金や障害年金の受給者に関しては非課税となります。
年金といっても老齢基礎年金や老齢厚生年金の合算に対して課税対象となるものの、障害年金や遺族年金ならば課税されないため、以下にあるような確定申告対象となった場合でも障害年金や遺族年金の部分については非課税となります。
年金生活の基礎知識4:確定申告が必要な場合がある
年金生活の基礎知識として、年金受給者でも確定申告が必要になる場合があります。2か所から年金を受けている人や給与と年金を受給している人、年金以外の所得がある人、医療費控除や生命保険料控除を受ける人などの場合は、年金受給者であっても確定申告をする必要があります。
また、上記以外で年金のみ受給している人の場合は、特に確定申告は必要ありません。
年金生活の基礎知識5:老人扶養控除を活用できる
年金生活の基礎知識として、年金受給者でも老人扶養控除を活用できるということがあります。
老人扶養控除とは、70歳以上の老人を扶養する納税者が老人扶養控除を受けることができるという制度で、同居している場合のほか毎月仕送りしている、入居する施設の支払いをしている場合などに控除を受けることができます。
また、老人扶養親族の年間合計所得が38万円以下であることが条件となります。
年金生活で資金を補う方法5つ
年金がいくらくらい受給できるかについては、ねんきん定期便などで確認できますが、それだけでは生活するのが難しいという人は多いでしょう。では、年金生活で資金を補うにはどういった方法があるのでしょうか。
保険などを活用することで税制優遇を受けることができますので、こういった商品を活用していくのもおすすめです。ここでは、年金生活の資金を補うのに適した方法を5つ紹介します。
年金生活で資金を補う方法1:投資信託
年金生活で資金を補う方法に投資信託があります。老後の年金生活で資金を補う目的の場合、リスクが少なくコツコツと資金を育てることが重要になります。
投資信託は株式や債券など複数の商品を組み合わせたもので、プロが運用するので初心者でも始めやすいです。しかし、リスクはあるため購入前に商品内容をよく確認しましょう。
また、リスク分散商品を選択したり積立て投信にしたりして、できるだけリスクを抑えるようにしましょう。
年金生活で資金を補う方法2:定額年金保険
年金生活で資金を補う方法に定額年金保険があります。
定額年金保険とは毎月の積立額と年金受給額が決まっている商品で、加入するときに将来受け取れる年金額がわかっているため、資金計画を立てやすいというメリットがあります。
年金生活で資金を補う方法3:変額年金保険
年金生活で資金を補う方法に変額年金保険があります。変額年金保険とは、毎月の積立額は一定ですが、運用を株式や債券などで行うために運用効果によって受給額が変動する金融商品です。
経済動向や環境により影響を受けるためリスクがある一方で、運用益を狙うことができる商品になります。また、外貨建ての個人年金保険も変動するタイプの年金保険で、こちらの場合は為替リスクが発生します。
年金生活で資金を補う方法4:個人年金保険
個人年金保険とは生命保険会社が取り扱う年金保険で、60歳または65歳までに保険料を積み立てし、一定期間年金を受け取ることができるというものになります。
国の年金は強制加入ですが、個人年金保険は自分で選択して加入する必要があり、前述の変額年金保険と定額年金保険の2つのタイプにわかれます。そのため、加入する場合は自分に合うタイプの商品を選択するようにしましょう。
年金生活で資金を補う方法5:外貨投資
年金生活で資金を補う方法として、外貨投資があります。外貨投資とは日本円をドルやユーロなどの外貨で預金するという投資方法で、為替差益が期待できる投資方法です。
また、外貨定期預金は日本における定期預金に比べてはるかに高金利ですので、うまくいけばメリットも大きいでしょう。しかし、外貨投資にも為替リスクがあるため、円高のときに外貨を購入して円安のときに日本円にするということを意識して始める必要があります。
将来の年金生活について考えよう
ここまでみてきて、年金だけで生活するのが厳しいということがわかっていただけたでしょう。しかし、年金以外に個人年金保険をかけたり、外貨預金や投資信託で資金を作っておくなどの対策をすれば、老後の余裕ある暮らしも実現可能でしょう。
年金受給を先のことと放置していると、老後の暮らしが厳しいものになってしまいます。できるだけ余裕のあるうちに、ここで紹介した内容を参考にして将来の年金生活について考えましょう。