サブリースの契約書とは?契約書の確認事項と注意点|交渉ポイント6つ
2020 06.4この記事はPRを含みます
サブリース契約書とは?
「サブリース契約」というのは、不動産の持ち主であるオーナーから一括で借り上げを行う契約のことで「家賃保証制度」とも呼ばれています。このサブリース契約、家賃保証制度として人気はあったのですがさまざまなトラブルが発生しています。
サブリース契約書はサブリース契約を文書にしたものですが、その内容によって契約におけるトラブルをある程度は予測して対策しておくことも可能になるでしょう。
サブリースの特徴2つ
不動産の「転貸借」と呼ばれるサブリースを選択する人は多いのですが、それはなぜなのかサブリース契約の特徴について見ていきましょう。
サブリースは「転貸借」、つまりオーナーが入居者を探すのではなく、サブリース契約書を交わした相手が入居者への対応を受け持っています。不動産投資としてアパート経営やマンション経営をしている、あるいはしてみたい方はとくに、サブリース契約について知っておきましょう。
サブリースの特徴1:経営が安定しやすい
サブリースの特徴として、家賃保証制度と呼ばれているように物件の空室率に左右されることなく毎月の家賃収入額が入ってくるというものがあります。
サブリース契約書では「賃料固定型」と「実績賃料連動型」があります。賃料固定は家賃相場がどう動いても固定された賃料の支払いをする契約で、連動型は相場に合わせた賃料の支払いが行われる契約です。
どちらでも実際に入居者がいるいないに関わらず、一定の家賃収入が見込めます。
サブリースの特徴2:自分の時間ができる
サブリースでは一括借り上げなので物件の管理業務も相手に委託することになり、不動産のオーナーは管理をする必要がなく自分の時間をもちやすくなる特徴があります。
サラリーマンの方が副業で不動産投資をするような場合に、サブリース契約書を交わしていれば物件の維持管理や家賃について自分で何かをする必要がないため、サブリース契約は人気があります。不動産投資や管理に慣れていない方でも、利用しやすいでしょう。
サブリースの注意点4つ
アパートやマンションのオーナーにとってサブリースは非常に魅力的に見えるでしょう。
しかし、サブリース契約はけっしてメリットしかないというものではありません。ニュースになったような有名なものだけでも「かぼちゃの馬車」、「レオパレス21」でサブリース契約が問題になっています。
ここからは、どうしてサブリースでトラブルが起こってしまうのか、サブリース契約をする上でどんな注意点があるのかについて紹介しましょう。
サブリースの注意点1:家賃収入が下がる
サブリースの注意点である家賃収入が下がるというのは、入居者が支払った賃料がそのままサブリースの会社に入り、そこからオーナーに支払われるまでの間にサブリース会社にいくらか支払われてしまうためです。
当たり前の話ではあるのですが、サブリースをしている会社は入居者から受け取った賃料とオーナーに支払う賃料の差額で利益を得ています。そのため、実際の賃料よりもオーナーが受け取る家賃収入は下がってしまうのです。
サブリースの注意点2:賃料の減額や中途解約の可能性がある
サブリースは家賃保証制度とも呼ばれるのですが、たとえサブリース会社が「XX年間XX万円支払います」と言っていたとしても、途中で賃料の減額をしたり中途解約されたりするリスクがあるということにも注意しましょう。
サブリース会社は借主ですので、家賃減額を求めてきた場合はたとえ契約書にその旨記載があったとしても、それが認められる可能性が高いです。また、契約書に賃料見直しすることがある、などの記載があります。
サブリースの注意点3:契約終了後にトラブルが発生しやすくなる
サブリースの注意点として、サブリース会社が物件の維持・管理を適切に行うとは限らず、契約終了後に、貸していた建物に多額の修繕費が発生するというようなトラブルが起こる可能性があります。
サブリース会社が物件の維持や管理を行っているため、維持・管理を最低限にしておけばそれだけサブリース会社に費用はかかりません。契約後のことを無視してずさんな管理をされた物件にトラブルが発生しやすくなります。
サブリースの注意点4:契約前に契約内容を確認する
サブリース契約を選択するオーナーは、物件の管理などを他の人に任せたいというほど多忙な人や、不動産について詳しくない人が多いので契約前に契約書の内容についてきちんと確認するようにしましょう。
もし自分1人では心配ならば、不動産契約書やサブリースに詳しい弁護士に相談するというのも一つの手です。サブリースで起こるトラブルをある程度で防ぐ契約書の作り方など、助言を得ることが可能になるでしょう。
サブリースの契約書の交渉ポイント6つ
実際にサブリースの契約書を結ぶことになった場合は、どんな交渉ポイントがあるのか、6つのポイントについて紹介します。
サブリースにはトラブルが多い、ということを解説してきました。あらかじめどんなトラブルが起こるのかを把握しておき、なるべく事前にそれを防ぐように契約書を作成することをおすすめします。そのために、サブリース会社と交渉できるポイントを押さえておきましょう。
サブリースの契約書の交渉ポイント1:中途解約権を入れてもらう
もしも契約したサブリース会社がよくなかった場合は、契約書に中途解約権を入れてもらうようにオーナー側から交渉しましょう。
通常、貸主であるオーナー側からサブリース契約を中途解約するのは難しいです。借主であるサブリース会社からなら契約書の記載に関わらず中途解約しやすいのですが、オーナー側は不利になっています。そこで、契約書に中途解約事項を認める記載をするよう交渉しましょう。
サブリースの契約書の交渉ポイント2:解約予告期間は長めにしてもらう
サブリース契約書の中には解約予告期間が短く、オーナー側の対応が難しいうちに解約にいたってしまう場合もあるため、解約予告期間は長めに、一般的には「6ケ月」に設定するよう交渉しましょう。
これはオーナー側からの中途解約権でも同じくらいの期間を設定します。交渉をすることにより、サブリース会社が一方的に解約を告げてきて、すぐさま解約を実施することを防ぎ対応する時間を稼ぎます。
サブリースの契約書の交渉ポイント3:賃料額の詳細を明確に提示してもらう
サブリース契約を結ぶための契約書では、物件の賃料額の詳細を明確に提示してもらい、オーナー側にも賃料について詳しい内容が把握できるように交渉しておきます。
サブリース会社の中には取り分を増やそうと、実際の家賃額に対して8割~9割以下の借り上げ家賃にしていることがありますが、サブリース会社の取り分が増えるということはオーナーの取り分が減ってしまいます。賃料の詳細を記載し、確認できるようにしましょう。
サブリースの契約書の交渉ポイント4:新しい入居者の礼金の行方を確認する
物件に新しい入居者が入る際には現在でも礼金や敷金を受け取ることが多いのですが、サブリース契約を結んだ場合の礼金はサブリース会社の受け取りになるため、礼金の行方も契約書で確認しておきましょう。
基本的には、契約書で何も交渉しなければ礼金はそのままサブリース会社に入ってしまうようになっていることがほとんどでしょう。礼金のすべては難しいでしょうが、一部であってもオーナー側にも入るよう交渉することは可能です。
サブリースの契約書の交渉ポイント5:賃料改訂は4年で交渉してみる
サブリース会社は借主側なので家賃減額の交渉を行うことができます。契約書で2年ごとに賃料の見直しをする、となっていた場合は2年ごとに家賃を減額される可能性があるため、できればその期間を4年に延ばすよう交渉しましょう。
この場合、指定する年数の期間は家賃減額交渉をしません、という文言を契約書に記載するという方法もあります。サブリース会社は家賃の減額を求めてくる可能性が高いため、あらかじめ手を打っておきましょう。
サブリースの契約書の交渉ポイント6:修繕費用の積み立ての有無を確認する
サブリース契約を終了すると途端に修繕が必要になるといったケースが多発しているため、サブリース会社がどこまで修繕を担当するのか、オーナー側の負担になるケースや修繕費用の積み立てを行うよう交渉します。
一般的には、物件の経年劣化による補修はオーナー担当となっています。もしもサブリース会社があまり修繕を行わないような場合は、オーナーの取り分を増やすように交渉をして自ら大規模修繕に備えておきましょう。
サブリース住宅原賃貸借標準契約書とは?
サブリース契約の際の契約書として使うことのできる「サブリース住宅原賃貸借標準契約書」は、国土交通省が作成した契約書のことです。
国土交通省が作成したとはいえ、必ず「サブリース住宅原賃貸借標準契約書」を使って契約しなければならない、ということではありません。サブリース契約をめぐっては数々のトラブルが多発していたため、当事者間のトラブルの防止を目的として作成された契約書です。
サブリース住宅原賃貸借標準契約書1:最低限の事項を規定した雛型
「サブリース住宅原賃貸借標準契約書」は、国土交通省が最低限これだけは必要だという事項を規定した雛型の契約書です。
「サブリース住宅原賃貸借標準契約書」で記載する必要がある事項は、将来のトラブルを未然に防ぐために最低限これだけ要すると国土交通省が考えた内容です。そのため、こちらの契約書をそのまま本来の契約書として利用するのではなく、雛型としての利用が理想でしょう。
サブリース住宅原賃貸借標準契約書2:必要に応じた加筆修正が必要
「サブリース住宅原賃貸借標準契約書」自体が、平成24年2月版や平成30年3月の改訂版など改定を繰り返してはいますが、それだけでは個々の状況に対応しきれないため、必要な事項は加筆修正する必要があります。
例えば、オーナー側がいちじるしく不利にならないように交渉を行ったような場合、内容によっては「サブリース住宅原賃貸借標準契約書」だけでは足りないでしょう。契約ごとに必要な内容を加筆・修正して使います。
サブリース住宅原賃貸借標準契約書とは?3:最良のひな型ではない
「サブリース住宅原賃貸借標準契約書」は、標準契約書とあるようにあくまでも標準的な契約書なので、契約内容によっては使えないこともあることを覚えておきましょう。
ただし、サブリース契約をする際に不利にならないよう、「サブリース住宅原賃貸借標準契約書」に準じた契約書にするよう求めることは有効でしょう。必ずしも最良ではありませんが、うまく活用していくことが重要です。
サブリースの契約書の内容を理解し追加したい条項は交渉して入れてもらおう
サブリース契約については、近年多くの問題が起こってきました。多くはサブリース会社側の説明不足によるものと、物件所有者側がサブリースについて詳しくないことが原因でしょう。
それでもサブリース契約にはそれなりにメリットがあるため、利用することが向いている人もいます。大切なことは、サブリース契約とはどんな契約なのかを知り、契約書の内容をしっかり理解して交渉する手間をはぶかないことです。