不動産のキャンセルは可能?キャンセルのタイミング3つと7つの疑問に回答
2020 10.21この記事はPRを含みます
不動産のキャンセルとは
不動産のキャンセルとは、不動産の賃貸や購入の予定が進んでいる状態でそれを取りやめることです。
不動産では賃貸の場合に「不動産賃貸契約」、売買の場合は「不動産売買契約」を結びます。そのような契約を結ぶ前なら簡単にキャンセルできるのか、違約金のようなペナルティが課せられるのか、不動産のキャンセルについて見ていきましょう。
不動産の賃貸と売買で多少違うところがありますので、まずはそれぞれ紹介します。
賃貸の場合
不動産の賃貸をキャンセルする場合、基本的に不動産賃貸契約を結ぶ前であればいつでもキャンセル可能となっています。審査が終わった後、お金の入金を終えてしまった後でもキャンセルは可能です。
しかし不動産賃貸契約を結んでしまった後であれば話は違います。すでに契約を済ませてしまっているため、キャンセルしたいなら不動産契約解除の手続きが必要です。契約内容によりますが、初期費用が返還される可能性は低いでしょう。
売買の場合
不動産の売買の場合も、不動産売買契約書を結ぶ前ならば基本的にはペナルティなくスムーズにキャンセルできるでしょう。申込み後、仮審査後でも可能です。
しかし住宅ローンの本審査が終了した後や、売買契約を結んだ後でキャンセルの場合は、手付金が返還されないというようなペナルティが課せられます。基本的には自分の都合による本審査後、契約後のキャンセルでは違約金が発生する可能性がある、と覚えておいてください。
不動産のキャンセルのタイミング3つ
不動産のキャンセルのタイミングは3つあります。不動産の賃貸・売買申込み後と賃貸・売買について審査を受けた後、そして賃貸契約や売買契約を結んだ後のタイミングです。
不動産の賃貸でも売買でも、申込むとまずは希望者について審査が行われます。審査を受けて契約に至り、賃貸契約や売買契約を交わす流れになっています。事情があってキャンセルになるのは仕方ないことですが、するなら早めにした方がよいでしょう。
タイミング1:申込み後
気に入った不動産を見つけて、入居の申込みや購入申込みをした後であっても、キャンセルしたいならばその意思を告げることでスムーズにキャンセルが可能でしょう。
一般的な流れとして、申込みがあった後に入居希望者や購入希望者に対する審査が行われるため、申込みの直後であれば、よりスムーズです。もし「一時預り金」や「申込金」といった名目でいくらか支払いを済ませていた場合でも、基本的にそのまま返還されるでしょう。
タイミング2:審査後
不動産キャンセルのタイミングとして、申込みを済ませた後の審査のタイミングでも、キャンセルは可能です。すでに申込みを行ってから日数が経って審査が終わっているとしても、まだ契約を結んだ訳ではありません。
しかし、不動産売買の場合は仮審査(事前審査)ならば問題なくキャンセルできるのですが、本審査となると話が違います。不動産売買で本審査後というのは、売買契約を交わした後である、ということになるからです。
タイミング3:契約後
不動産の賃貸でも売買でも、契約を結んだ後でのキャンセルは基本的にできません。契約締結後のキャンセルはキャンセル扱いにはならず、契約解除という形になるからです。
契約した後でのキャンセルの場合は、契約書の内容にしたがって違約金が発生する、預り金や申込金、手付金が返還されないといったペナルティが課せられることになるでしょう。不動産をキャンセルするか迷っている場合は、契約する前によく考えて決めましょう。
不動産キャンセルの気になる7つの疑問
ここからは、不動産の賃貸や売買などの取引におけるキャンセルについて、気になる7つの疑問を紹介します。
不動産のキャンセルはいつまで可能なのか、キャンセル料や違約金は発生するのか、ブラックリストは存在するのか、キャンセルになった場合はお詫びが必要なのか、キャンセルの仕方などのよくある疑問について解説します。
キャンセルしたいけれどしても平気なのか気になると迷っている方は、ぜひご覧ください。
疑問1:いつまで可能?
不動産のキャンセルがいつまで可能なのか、それは具体的には賃貸契約をする前、売買では契約をする前で本審査前のタイミングまででしょう。これは、実際に契約を結んでしまった後はキャンセルという扱いにはできず、契約解除の手続きになってしまうからです。
つまり、契約をする前なら基本的にいつでも不動産のキャンセルは可能でしょう。契約前に手付金や預り金、申込金を支払うことがありますが、これらも基本的に返還対象になるといわれています。
疑問2:キャンセル料・違約金はかかる?
キャンセルによってキャンセル料・違約金が発生するかどうかは、どのタイミングでキャンセルをしたのかによって違ってくるでしょう。通常、契約前ならキャンセル料は発生しないでしょう。
もしも不動産の賃貸契約や売買契約を結んだ後にキャンセルした場合は、契約書に記載されている契約解除の条件に従い、違約金が発生するケースがあります。賃貸の初期費用や売買の手付金は返還されない可能性が高いでしょう。
疑問3:ブラックリストに載らない?
そもそもブラックリストを作成しているかどうかは不動産会社によるとしか言えず、本当にブラックリストがあるかどうかも定かではありません。
また、仮にその不動産会社に「キャンセルするようならブラックリストに載ることになる」と言われたとしても、その不動産会社以外ではほとんど影響がないでしょう。
よく言われるクレジットカードのブラックリストのようなものではないので、そこまで気にする必要はないと考えられます。
疑問4:お詫びはどのようにする?
不動産のキャンセルでは申し訳ないとお詫びの気持ちを伝えつつ、キャンセルの意思表示をするだけで十分です。
お詫びの気持ちを伝えることが必須ではないのですが、賃貸や売買の話を進めていたため、相手は広告の取り下げや審査開始などすでに動いていた可能性があります。
キャンセルは悪いことではありませんが、不動産会社に迷惑をかけていることが考えられますので、お詫びした方が良いでしょう。
疑問5:メールでも可能?
不動産のキャンセルをメールですることは可能です。
キャンセルするにあたって、お世話になった人になかなか電話で告げられないという人も多いでしょう。また電話してしまうと、ついつい長話になってしまって余計なことまで喋ってしまうような場合もありますので、メールでキャンセルの連絡をした方が早いです。
なるべく早いうちに、メールで賃貸・売買をキャンセルするという連絡を入れておくとよいでしょう。
疑問6:不動産投資の場合は?
不動産投資で物件のキャンセルをすることがありますが、こちらも基本的に契約をする前ならばキャンセルは可能となっています。
不動産売買のための手付金をすでに支払っていた場合でも、契約前ならキャンセルで戻ってくるでしょう。ちなみにキャンセルが可能なのは、買い手側・売り手側双方同じです。
ただ契約を結んだ後の場合は別で、手付金が違約金として返還されない、キャンセル料が請求されるなどペナルティが発生するといわれています。
疑問7:キャンセルに適した理由は?
不動産をキャンセルするなら、なるべく早めにキャンセルしたいことと、その理由について相手に伝えます。キャンセルする理由は、嘘をついたりせずなるべく正直に伝えた方がよいでしょう。
ただ、あまり不動産会社にキャンセル理由を伝えたくないといったケースもあります。そのような場合に使いやすい、不動産をキャンセルするのに適した理由について紹介します。以下の2つのケースを参考にしてみてください。
仕事や家族など周囲の環境
不動産のキャンセルに適した理由の1つは、仕事や家族など自分ではどうしようもない周囲の環境や状況を理由にすることです。
「急に転勤の辞令がでたので契約をキャンセルしたい」、や「家族がその物件で大丈夫なのか心配しているので他の物件を探すことにした」などの理由があります。
家族や仕事を理由にすることで、自分ではどうしようもないことを伝えられ、キャンセルの理由に相手も納得してくれやすいでしょう。
より良い物件を見つけたケース
今の物件よりも、もっと自分の希望に合う良い物件を見つけてしまった場合は、素直にその理由を伝えてキャンセルするようにしましょう。
「自分の希望通りの物件が他で見つかりました」と素直に伝えます。もしもまだ迷っているようなら、「他の物件に良いのがあって迷っている」ことを伝え、契約までもうしばらく待ってもらえないか交渉することがおすすめです。
いったん契約してしまえば、キャンセルするのが難しくなります。
契約成立の定義はさまざま
不動産の賃貸にしても、売買にしても賃貸契約や売買契約を結ぶ前までの段階なら基本的にキャンセルすることに問題はないと解説してきましたが、時に契約成立をどの時点にするかでトラブルに発展する場合があります。
本人が契約成立前だからキャンセルできると考えていたとしても、不動産屋からしてみればすでに契約が成立していたというケースです。契約成立にはさまざまな定義がありますので、しっかりチェックしておきましょう。
契約書に署名・捺印した時点で成立
契約書を作成し、それに署名・捺印した時点で契約成立と見なすのは多くの不動産会社が取り入れており、また一般的にそうだと考えている人が多い契約成立の定義です。
ただ、必ずしもそうとは限りません。契約書への署名・捺印だけが契約成立の定義ではないということに注意しなければならないでしょう。署名していないから契約前だ、キャンセルさせてと言っても、他の定義で契約成立している場合があります。
契約書がなくても双方の合意があれば契約は成立
契約成立の定義には、契約書がなくても双方が合意した段階で契約成立したと見なす「諾成契約(だくせいけいやく)」があることに注意してください。この場合、申し込んだ時点で契約成立と見なされるケースがあります。
契約書で成立だと思っていたら諾成契約になっていた、という事態を避けるためにも、申込みを行う前にキャンセルについてどうなっているのか、契約成立の定義について聞いておきましょう。
不動産のキャンセルはタイミングに注意しよう
不動産でのクーリングオフは売買契約なら適用されるケースがありますが、賃貸ではまず適用されないでしょう。基本的に契約成立まではキャンセル可能とはいえ、それ以降は難しくなることを覚悟しておく必要があります。
キャンセルのタイミングが遅れれば遅れるほど、違約金というペナルティが発生する可能性があるため、キャンセルしたいなら早めにはっきりと相手に意思を伝えるようにしましょう。