住宅ローンの繰り上げ返済におけるメリットとデメリット|返済シミュレーションも紹介
2021 04.12この記事はPRを含みます
住宅ローンの繰り上げ返済とはどんな返済方法?
繰り上げ返済とは、毎月の住宅ローンとは別にまとまったお金を一部(または全額)返済することです。
通常の返済は利息も含まれていますが、繰り上げ返済の場合は返金した金額はすべて元金にあてられます。
そのため、支払う利息を減らすことができるのです。ですが、繰り越し返済にはメリットとデメリット両方がありますので、これから詳しく説明していきたいと思います。
住宅ローンにおける繰り上げ返済のメリット
住宅ローンの繰り上げ返済には「返済額軽減型」と「期間短縮型」の2種類があります。
それぞれの返済方法にはそれぞれにメリットがあり、繰り上げ返済を考えている人は自分はどちらのタイプが自分に合っているのか考える必要があります。
ここからは、繰り上げ返済を種類別にメリットなどを紹介していきます。
返済額軽減型のメリット
「返済額軽減型」の住宅ローン繰り上げ返済は、返済期間を変えず繰り上げ返済した金額分を月々の返済金額から減らす方法です。
この「返済額軽減型」の繰り上げ返済には大きなメリットが3つあります。その3つのメリットについて、ひとつひとつ分かりやすく解説していきます。
返済する額を少しずつでも減らせられる
「返済額軽減型」で住宅ローンを繰り上げ返済した場合、繰り越し返済をした金額分月々の支払いを少なくすることができる点です。
少なくなる金額に関しては、繰り越し返済をした際の額によって異なり、数千円から数万円を減らすことができるでしょう。お子様の進学などでお金がかかってくる等で、月々の支払いを楽にしたい方におすすめです。
また変動金利で住宅ローンを組んでいる場合、金利の上昇で月々の支払額が増えることを押さえたい場合にも効果的な方法です。
住宅ローンでの利息の総支払額が軽減される
「返済額軽減型」では大幅な利息の軽減はできませんが、借り入れ元金を減らすことによって本来支払うべきだった利息を一定額軽減することができる点です。
そう聞くと大きなメリットではないように感じますが、住宅ローンの借入額は何千万円の高額なことが多いです。
繰り上げ返済をした金額にもよりますが、月々の支払額は減り利息の総支払額は数万円から数十万減ることは大きなメリットと言えるでしょう。
貯金を切り崩したりせず貯蓄ができる
「返済額軽減型」の繰り上げ返済の方法は月々の返済額が減るので、その分貯金に回せるということです。
「返済額軽減型」で繰り上げ返済をすると、返済した金額に応じて月々の支払いは楽になる場合があります。
期間短縮型のメリット
まずは住宅ローン繰り上げ返済の中で、「期間短縮型」のメリットについて説明していきますが、「期間短縮型」の繰り越し返済のメリットは、大きくわけて2つあります。
それは名前の通り住宅ローンの返済期間を短縮するので、返済を予定より早く終わらせられる点と、その分の支払う金利を減らすことができる点の2つです。
この2つのメリットについて分かりやすく解説していきます。
短期間で住宅ローンが返済できる
毎月の返済額は変えず、返済期間を短くする方法の「期間短縮型」の繰り上げ返済は、住宅ローンの返済期間を短くして返済したい人におすすめです。
例えば、「期間短縮型」を利用し100万円を繰り上げ返済すると、借入額の元金が100万円分減ることになります。それにより、金利を除いて計算した際の月々5万円の住宅ローンを返済していくことになります。よって、返済期間を20ヶ月(1年8ヶ月)も短縮できることになります。
金利の削減効果が大きい
「期間短縮型」の住宅ローン繰り上げ返済のもう1つの大きなメリットは、大きく利息を軽減できることです。
先程と同じですが、100万円を繰り上げ返済した場合、元金から100万円減らすことができます。それにより、月々の支払額を変更せず返済していくので、返済期間も短くなりその分大幅に利息の軽減ができるでしょう。
場合によっては2倍以上利息を軽減することも可能になります。
住宅ローンにおける繰り上げ返済のデメリット
住宅ローンの繰り上げ返済にはデメリットもあります。きちんとシミュレーションをして繰り上げ返済をしなければ損をしてしまうこともあります。
せっかく貯めた貯金をローンの返済にすべて当て余裕がなくなり、苦しい生活になってしまったのでは意味がありません。
また住宅ローン控除も上手に活用するために、繰り上げ返済するタイミングも大事になります。ここからは、繰り上げ返済にはどんなデメリットがあるのか紹介していきます。
返済額軽減型のデメリット
月々の支払いを軽減できるので、家計が苦しいときに「返済額軽減型」で住宅ローンを繰り越し返済してしまいがちですが、デメリットもあるので十分検討する必要があります。
例えば、どのくらいのお金を繰り越し返済するのかで金額は変わります。実際の軽減額は月々数千円程度が多く、手元の貯金をすべて繰り越し返済に使ってしまうと、お子様の教育費など現金が必要なときに困ってしまうようなことが起こりかねません。
利息を大幅にカットする効果が低い
「返済額軽減型」の繰り越し返済は返済をした分、元金は減りますが、返済期間を変更しないため金利を大幅にカットする効果が低い点です。
家計が苦しく住宅ローンの返済額を減らすために「返済額軽減型」で繰り上げ返済をするのであれば、教育費や病気などに備えて貯金をしておく方が無難でしょう。
何を目的に「返済額軽減型」で繰り越し返済をしたいのか、きちんとシミュレーションすることが大切です。
期間短縮型のデメリット
住宅ローンの返済期間が短くなり、大幅に利息が軽減される「期間短縮型」の繰り上げ返済の方法ですが、デメリットもあります。それは、計画的に返済しないと、家計を苦しめてしまう恐れがあることです。
お子様の教育資金や、車の買い換えなど将来大きなお金が必要になる時期を計算し、無理のない余剰資金で繰り上げ返済をすることが大事です。
「期間短縮型」の繰り上げ返済で陥ってしまいがちな落とし穴を紹介します。
返済期間までは生活が楽にならない
「期間短縮型」の繰り上げ返済の大きな特徴は返済期間を短くすること、大幅に金利を軽減することですが、貯金をすべて返済にあてても月々の支払い金額に変わりはありません。
そのため、お子様の教育資金や自宅のメンテナンスなど、まとまったお金が必要な時に対応できるように計画を立てる必要があります。
また住宅ローンの残りの期間が短いと、今の金利より安い住宅ローンに借り換えをしようと思っても難しくなることもあります。
住宅ローンを繰り上げて返済する際のシミュレーション
ここからは、「期間短縮型」「返済額軽減型」を同じ条件で10年分のシミュレーションをしていきます。
住宅ローンで3,000万円を借り入れたとします。うちボーナス払いなし、借入金利1%とし、35年ローンを組んだと仮定します。
すでに10年は返済が終わっていて、100万円繰り越し返済したという条件で、それぞれシミュレーションしてみます。「期間短縮型」と「返済額軽減型」の違いをチェックしてみてください。
返済額軽減型の場合
「返済額軽減型」でシミュレーションしてみると、月々の支払いが3,780円安くなっていることがわかります。
「期間短縮型」の繰り上げ返済では月々の支払いは変わらないので、その点は「返済額軽減型」のメリットになります。ですが、減少する利息の額をみれば「期間短縮型」の繰り上げ返済の方が145,162円もの差がついています。
金利の削減という点では「期間短縮型」の方がメリットが大きいです。
毎月返済額 | 84、685円 |
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繰り越し返済後の毎月返済額 | 80、905円 |
残り返済期間 | 25年0ヶ月 |
減少する利息額 | 130、153円 |
期間短縮型の場合
「期間短縮型」でシミュレーションしてみると、月々の支払いには変化がありませんが、返済期間が2年3ヶ月短縮できているのがわかります。
また、減少する利息も、「返済額軽減型」に比べて大幅に削減できています。この点は、「返済額軽減型」よりもメリットが大きいです。
毎月返済額 | 84、685円 |
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繰り越し返済後の毎月返済額 | 84、685円 |
残り返済期間 | 23年9ヶ月 |
減少する利息 | 275、315円 |
繰り上げ返済を行うタイミングとは
「期間短縮型」と「返済額軽減型」では繰り上げ返済をするタイミングが違っていきます。ここからは、繰り上げ返済をする効果的タイミグをそれぞれ紹介していきます。
また、金融機関によって繰り上げ返済金額に制限(10万以上や100万以上など)がある場合と、繰り越し返済をする時に手数料(無料から数万)がいる場合があります。
繰り越し返済を考えている人は、借入れしている金融機関に確認しましょう。
返済額軽減型で返済したい場合
[返済額軽減型」で繰り越し返済をお考えの方におすすめは、住宅ローンが変動金利だった場合の金利が上昇するタイミングです。
住宅ローンの返済は毎月のことなので、少しでも支払額が増えるのは困るという方、現在は余剰資金があるが、子供の教育費がかかってきた時をシミュレーションすると今のうちに月々の支払額を抑えたいという方におすすめです。
家計が苦しいから月々の支払いを減らしたいという方にはおすすめしません。
期間短縮型で返済したい場合
「期間短縮型」で繰り上げ返済を考えている方は、早ければ早いほど大幅に金利を削減することができます。
ですが、繰り越し返済をしても月々の支払額はかわりませんので、あくまでも余剰資金で繰り越し返済をしましょう。
また気をつけないといけないことは繰り上げ返済し、残りのローンの返済期間が10年未満になってしまうと住宅ローン減税が適用されなくなり、控除がなくなると家計の支出は増えるので、注意してください。
住宅ローンにおける繰り上げ返済のメリットを把握しておこう
住宅ローンの繰り上げ返済は、自分に合った種類の返済方法やタイミングでおこなうことで効果を発揮します。
間違った方法で繰り越し返済をしてしまうと、今よりもっと家計を苦しくしてしまう恐れや、思ったほどの金利削減の効果がうまれない場合があります。
「期間短縮型」と「返済額軽減型」のメリットとデメリットを理解し、最適な方法で住宅ローンの繰り越し返済を目指しましょう。