不動産鑑定の費用はどのくらい?不動産鑑定のメリット8つとデメリットを紹介
2021 05.6この記事はPRを含みます
不動産鑑定とは?
不動産鑑定という言葉を聞いたことはあるけれど、実際にはどのようなことをしているのか、自分たちの生活でどのような関わりがあるのか、説明するのは難しいのではないでしょうか。
不動産鑑定とは、土地や建物などを不動産鑑定士による適正な地価、価格などを判定することです。
不動産鑑定士による価格の査定
不動産鑑定は、不動産鑑定士試験という国家資格に合格した、不動産鑑定士のみが行う業務です。
不動産鑑定の仕事は、国や都道府県、市町村などによる地価公示、地価評価、相続税や固定資産税などの課税のための調査にあたる「公的評価」と、売買や賃貸借のための評価、資産評価、担保評価のための「民間評価」があります。
鑑定のための費用は、対象となる不動産の評価額によっても変わりますし、その対象不動産の所有権が複雑であったり、借地権がついていたりなど手間のかかるものは費用が高くなったりします。そのため、費用を一概には言えませんが、事前に見積もりを取ることは可能です。
不動産査定とは?
不動産査定は、自宅を売却したり、貸したりする際に住宅がいくらで売れるのか、貸し出せるのかを知るためにするものです。
不動産査定は無料で行われる場合が多く、不動産売買、仲介のプロである不動産会社が同じエリアの事例、土地や建物の面積、築年数、周辺環境などをもとに算出されます。
不動産査定と不動産鑑定の違い
このように、不動産査定と不動産鑑定では、目的が違うので、依頼先も費用も変わってきます。
不動産査定は、売買や仲介のプロの「宅地建物取引業者(不動産会社)」へ、不動産鑑定は、鑑定を専業としている「不動産鑑定事務所」へ問い合わせてみましょう。
不動産鑑定の用途
不動産鑑定が必要になるのは、主に「相続」「不動産売買」「会計処理」などの手続きが必要な際です。中でも、「不動産売買」を行う際には、不動産鑑定士が作成する「不動産鑑定評価書」の提出が必要とされています。
例えば、特殊な不動産に対して、適正な価格を知らないと正当な契約ができません。特殊な不動産とはどのようなものか気になるかと思いますが、後ほど紹介します。
また、相続や財産分与等で税務署や裁判、銀行等に「不動産鑑定評価書」を提出する必要がでてくることもあります。このような時に、不動産鑑定が必要になります。
特殊な不動産の売買の場合
ホテルやゴルフ場、山の中の広大な土地、以前墓地だったところを更地にした土地など、特殊な不動産を売買する際に、過去に似たような事例がなければ、なかなか価格が決められません。
そういった場合、基準を基に鑑定する不動産鑑定を依頼すると、客観的に鑑定額が算出されます。
鑑定評価書の提出の場合
鑑定評価書を公的機関や金融機関である税務署、裁判所、銀行などに提出することがあります。
例えば、相続で遺産分割する場合、離婚などにより財産分与する場合、融資を受ける際の担保価値の算出する場合です。これは、鑑定評価書が有資格者が行ったものとして、信ぴょう性が高いため活用されています。
不動産鑑定のメリット8つ
不動産鑑定は、有資格者が基準に沿って行うので費用もかかりますが、不動産鑑定をするメリットは複数あります。
ここからは不動産鑑定をするメリット8つを紹介していきます。
不動産鑑定のメリット1:精密で信頼できる
国家資格である不動産鑑定士が作成する鑑定評価書は、信ぴょう性が高く、公的にも通用します。
そもそも、鑑定評価額はどのようにして算出されているのでしょう。それは、「不動産鑑定評価基準」を熟知している不動産鑑定士が、この基準を基に算出しているからです。
不動産鑑定のメリット2:不動産トラブルの回避
不動産の賃貸借において、賃料は大抵契約した金額に縛られることが多く、契約期間が長くなれば長いほど、周辺の相場と差が出てくる傾向があります。
そういった際に、大家さんとしては賃料をあげたい、借主さんとしては維持したいといった双方で賃料のトラブルが起こる可能性が出てきてしまいます。
そこで客観的な不動産鑑定評価書があれば、トラブルになる前に、双方のトラブルを解決することが可能となるのです。
不動産鑑定のメリット3:適正価格を知ることができる
土地や建物の売買など、費用もかからず、身近に感じる不動産会社の人に査定をお願いして、そのまま契約を進めてしまうことがあります。
しかし、不動産会社は早めに回答してあげよう、契約に進めるようにしてあげようという思いからか、その不動産の相場より査定額を低めに見積もることがあります。
その場合、確かに契約できたとしても適正価格ではなかったということもあり得ます。費用と時間がかかっても、不動産鑑定すれば適性価格が分かります。
またマンションの購入の場合、チラシなどに記載されている金額が、常に適正価格ではないこともあります。記載ミスの場合もありますし、入居率が左右する場合もあるようです。
不動産鑑定のメリット4:投資価値の判断ができる
不動産投資を始める場合、どのようなことを考えるでしょう。きっと、どんな不動産に投資したらよいのか、投資しようとしている不動産は価値のあるものなのか、考えたり迷ったりするのではないでしょうか。そこで客観的な判断材料となるのが不動産鑑定です。
既に不動産投資している人も、自分の投資が適正か疑問を持つこともあるのではないでしょうか。疑問や不安がある場合、不動産鑑定を依頼してみることをお勧めします。
不動産鑑定のメリット5:遺産の分配
私たちの生活の中で、頻繁におこることではなくても、身近で重要なものに遺産の分配があります。トラブルなく、公平な遺産分配は誰もが望むことでしょう。
例えば、現金1億円と相続税評価額1億円の不動産を遺産分配した場合、果たして、公正な遺産分配が出来たと言えるでしょうか。費用がかかっても、対象となる不動産を鑑定することで、不動産の評価額が算出され、公平な遺産分配が可能になります。
不動産鑑定のメリット6:財産分与
夫婦が離婚する場合、財産分与請求権により夫婦の財産を精算できます。
離婚には話し合いで決着がつく協議離婚、第三者が入る調停離婚、裁判離婚がありますが、いずれにしても不動産の問題がでてきます。離婚の原因は色々あると思いますが、できれば財産分与も時間をかけずに済ませたいのではないでしょうか。
不動産の評価には、課税目的の固定資産評価、仲介目的の不動産査定評価があります。どちらも無料で手に入る評価ではありますが、財産分与を目的とはされていません。
そこで、財産分与するのであれば、多少費用がかかっても、不動産鑑定を活用することが適正であり、早期解決につながる可能性があるからです。
不動産鑑定のメリット7:共有不動産の分割
親子、兄弟、夫婦間など複数の人がお金を出し合って不動産を購入したり、所有する共有不動産においては、それぞれの持ち分(3分の1、5分の1など)の所有権を有していますが、その不動産のどこの部分というのは決められていません。
相続の発生や売買等により分割する際には、共有者間で揉めることがあります。その時には、不動産鑑定を活用することで、適正な評価額が分かり、公平な分割がしやすくなるのです。
不動産鑑定のメリット8:相続税の減額
相続税の金額は、路線価等を基に算出され、実際の不動産は不整形で用途が限られたり、極端に間口が狭いなど使い勝手が悪い場合、配慮されることなく、高い相続税が算出されてしまうことがあります。
そういった場合、不動産鑑定を活用することで、その不動産の適正な評価を提出することで相続税が減額されることがあります。
不動産鑑定のデメリット3つ
不動産鑑定には、残念ながらメリットばかりではなく、デメリットもあります。
例えば、費用がかかること、報酬が一律ではなく依頼する不動産鑑定士によって変わること、そして時間もかかることです。
不動産鑑定のデメリット1:費用がかかる
不動産鑑定は査定と違って、費用が発生します。その対象物が土地、建物、マンション等により金額が変わってきますが、1回の鑑定の目安は20万円からと、決して安くはありません。
とは言っても、不動産取引は大きなものでは、数百万円から数千万円に及ぶものもあります。それを考えると、不動産鑑定で適正な価格を知るための費用とするならデメリットとは言い切れない側面もあります。
不動産鑑定のデメリット2:報酬は一律ではない
報酬は、多くの鑑定士事務所が採用している報酬基準表があったり、独自の報酬額を設定していたりと、一律ではありません。
報酬は、対象不動産の額によって左右されます。しかし、不動産の評価額はそんなに大きく変わることがありません。
また、大抵事前に見積書をとれます。まずは、問い合わせをしてみてはいかがでしょうか。
不動産鑑定のデメリット3:鑑定に時間がかかる
不動産鑑定士による鑑定には、対象となる不動産のヒアリング、現地確認、市場分析、鑑定評価額の算出など、鑑定評価書の作成等、多くのプロセスがあり、時間がかかります。目安として、2週間から4週間ほどとされています。
一方、内部資料として使用する目的で、評価書まで必要ない場合に、より短い期間でできる「簡易鑑定」の作成している業者もあります。目的に応じて選択ができます。
不動産鑑定の費用に影響するポイント5つ
不動産鑑定の気になる費用については、いくつかポイントがあります。
ここでは費用を左右する、不動産の種類、不動産の評価額、報酬の設定など、まず5つのポイントを押さえておきましょう。
不動産鑑定にかかる費用のポイント1:不動産の種類
不動産鑑定には費用がかかりますが、どのように決められているのでしょうか。まず、不動産の種類によって変わります。
種類というのは、土地なのか建物、またはマンションなのかということです。さらに、対象の不動産の過去時点の評価であったり、営業中のレジャー施設の評価など、手間や法的責任が増大すると、費用はアップしていきます。
不動産鑑定にかかる費用のポイント2:不動産の鑑定評価額
不動産鑑定にかかる費用を左右するポイントの2つ目として、鑑定評価額があります。鑑定評価額は、国土交通省が示す報酬基準となります。
報酬基準は一般に公開されていないようで、不動産鑑定をする前に確認をすることをおすすめします。
不動産鑑定にかかる費用のポイント3:鑑定事務所ごとに異なる
「不動産鑑定評価基本報酬額」というものがあります。
多くの不動産鑑定事務所がこれを基準に報酬を設定していますが、独自の報酬額を設定している鑑定事務所もあります。
不動産鑑定にかかる費用のポイント4:先に見積もりをとり比較する
費用は鑑定評価額次第であったり、鑑定事務所によって違っていたりすると、実際にどれくらいかかるのかわからず、鑑定を頼みにくくなることでしょう。まずは無料見積もりを依頼してみましょう。そこで、必要書類の確認、実際にかかる費用が把握できます。
そして見積もりの依頼は複数の鑑定事務所にするのをおすすめします。そこで、適切なプランを提案してくれているか、費用は高すぎないか(不当鑑定の場合もあり得ます)、専門用語ばかりで依頼者をないがしろにしていないか等を確認してみましょう。
不動産鑑定にかかる費用のポイント5:簡易鑑定も考慮
不動産鑑定にかかる費用を安く抑えたい場合、「簡易鑑定評価」と「意見書」という方法もあります。「簡易鑑定評価」は鑑定評価書と同様、現地に赴き調査しますが、資料の作成が簡易化されます。
そのため、費用は鑑定評価書に比べ3,4割程割安に、期間は短くなります。さらに、「意見書」は、現地調査は行わず、机上で算出するもので、費用は数万円程度、期間も短くなります。ただ、税務署や裁判所に提出する書類としては、証拠能力が低くなります。
不動産鑑定には費用がかかるが見積もりと用途を考慮して依頼しよう
不動産鑑定には、決して安くない費用がかかりますが、鑑定の必要性、メリットもあることが分かったかと思います。まずは無料で見積もりをとってみましょう。
そして、その際にどのような目的で不動産鑑定の活用を考えているか伝えてみましょう。そのニーズによって、不動産鑑定士は提案や必要書類について確認してくれるでしょう。
信頼できる鑑定士、納得できる見積もり金額であるかを確認し、依頼しましょう。