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民泊新法とは?|空いている賃貸物件を民泊に使用する際のルール5つ

2020 06.4この記事はPRを含みます

目次

民泊新法とは

民泊新法(住宅宿泊事業法)とは宿泊施設不足によって増加した民泊に対して、一定のルールを定め健全な状態を保つために2018年6月に施行された新しい法律です。宿泊施設の不足は、外国人観光客の増加やオリンピックの開催決定などが原因と言われています。

民泊新法によって旅館業の許可を得ずに無許可で民泊を行い、トラブルになっている民泊の健全化を進めるとともに、旅館業法よりも開業のハードルを下げることで民泊サービスの普及を目指しています。

住宅宿泊事業法(民泊新法)
厚生労働省

空いている賃貸物件を民泊に使用するには

空いている賃貸物件を民泊に使用するには民泊新法で定められた基準をクリアした上で届け出をする必要があります。

民泊新法で定められた基準は、民泊に利用する賃貸物件には台所、トイレ、浴室、洗面設備が備えられていること、民泊をはじめることを目的として作られた物件でないことなどいくつかあります。

定められた基準をクリアし、住宅宿泊事業者になるための届出を都道府県に提出すると正式に住宅宿泊事業者になることができます。

民泊制度ポータルサイト

民泊新法の賃貸ルール5つ

民泊新法では賃貸物件を民泊として使用するためのルールが定められています。ここからは民泊新法で定められた賃貸のルールを5つ紹介します。

民泊をはじめたいと思っている人は賃貸ルールを知って、自分の持っている物件ではそのままの状態で民泊がはじめられるのかどうかを確認しておきましょう。

民泊新法の賃貸ルール1:民泊運営ができる住宅の条件

民泊新法では民泊運営ができる住宅の条件が定められています。賃貸物件に台所、トイレ、浴室、洗面設備が備えられているという条件をクリアできている物件は多いですが、消防設備の設置条件を満たせている物件はわずかでしょう。

民泊は消防法令上で設置基準が厳しい特定防火対象物にあたる場合がほとんどです。自動火災報知器や誘導灯など一般的な住宅にはないような消防設備が必要となるため、民泊の高いハードルになっています。

民泊における 消防法令上の取扱い等について:国土交通省

民泊新法の賃貸ルール2:営業日数年間180日以下の制限

民泊新法によって民泊の営業日数は年間で180日以下に制限されています。180日以下という制限があるのは、民泊に利用している場所は「宿泊施設」ではなくあくまでも生活をする「住宅」であるという考えのためです。

営業日数のカウントは4月1日正午から翌年4月1日正午までの1年間を基準にカウントされるので、180日の営業日数をうまく活用するにはチェックイン・チェックアウトの時間設定に注意が必要になります。

住宅宿泊事業法(民泊新法)とは?:国土交通省

民泊新法の賃貸ルール3:管理業務の委託義務

民泊新法で民泊を営む住宅宿泊事業者には民泊を営む人自身がその住宅に住み、不在時間規定内で管理業務を行える場合を除き、管理業務の委託義務が課せられています。民泊を営む人が居住していない場合には規模に関係なく管理業務の委託が必要になります。

自分が所有する賃貸物件や空き家など、自分が居住していない場所で民泊を行う場合には管理を委託する業者を雇う費用がかかってくるので注意しましょう。

民泊新法の賃貸ルール4:合法民泊の種類

現在の日本で合法で営業する民泊には、「新法民泊」「特区民泊」「簡易宿所」の3種類があります。この3種類はそれぞれを規定する法律が異なります。

民泊新法に基づくもの以外にも民泊は存在しているので、民泊を営むときには民泊新法に基づく民泊以外についても知っておくようにすると、選択の幅が広がっていくでしょう。

はじめに「民泊」とは:国土交通省

1:特区民泊

合法民泊の1つに特区民泊があります。特区民泊は国家戦略特別区域法で定められた民泊事業です。国家戦略特別区域法の定めで民泊を営むことができるのは、特区として指定されている東京や大阪などの区域です。

特区民泊は宿泊施設の滞在期間は自治体が定めた期間以上であることや1人当たり最低床面積が25㎡以上であることなど、民泊新法の定める民泊とは異なる基準が設けられています。

国家戦略特区 特区民泊について:内閣府地⽅創⽣推進事務局

2:旅館業法

合法民泊には旅館業法の定めに基づいて作られた簡易宿所があります。簡易宿所は旅館業法の定めに基づいているので民泊の中で開業の難易度はとても高くなっています。

簡易宿所はホテル・旅館扱いになるため、住居での営業はできませんが、稼働日数に制限はなく、管理業者への管理業務委託も不要です。

旅館業法について:国土交通省

民泊新法の賃貸ルール5:家主居住型か家主不在型か

民泊新法の定めに基づく民泊は家主居住型と家主不在型の2つのパターンがあり、それぞれに定められたルールがあります。

家主居住型の民泊を営む場合、家主は日常生活を行う上での一時的な不在を除いて、民泊を不在にしてはいけないという決まりがあります。民泊として宿泊者がいるとき原則1時間以上家主が家を離れてはいけないことになっています。

家主不在型の民泊の場合には民泊の管理者が必要になるため、民泊の管理業務を管理業者に委託する義務が発生します。

管理業務の委託について:国土交通省

民泊新法の家主不在型賃貸の注意点5つ

民泊新法の基準に基づいて家主不在型賃貸を民泊として利用する場合、管理業務を管理業者に委託するため費用はかかりますが、民泊の運営に関する負担を軽減することができます。

しかし家主不在型の民泊は、自分の目が届かない場所でトラブルが発生してしまう可能性も秘めています。ここからは民泊新法の家主不在型賃貸の注意点を5つ紹介しましょう。

民泊新法の家主不在型賃貸の注意点1:民泊利用者の名簿管理

民泊では宿泊者が日本に住んでいる場合には宿泊者の氏名、住所、職業及び宿泊日、日本に住んでいない外国人の場合は、その国籍及び旅券番号を記録し3年間保存しなければいけません。

家主不在型賃貸の民泊で、業務を管理業者に委託していて管理業者が名簿管理を怠った場合、民泊のオーナーが民泊新法の規定により、罰則を受けることになる場合があるので注意しましょう。

事業者の業務:国土交通省

民泊新法の家主不在型賃貸の注意点2:最低限の衛生管理措置

民泊には定期的な清掃や換気、寝具の洗濯、感染症が発生した場合には保健所へ報告するなど最低限の衛生管理措置をする必要があります。

家主不在型賃貸で管理業務を委託した業者に任せきりにしていると管理が行き届かず、住宅宿泊事業の適正な遂行のための措置義務に違反してしまう可能性もあるため、注意しましょう。

民泊新法の家主不在型賃貸の注意点3:安全面・衛生面の確保

家主不在型賃貸では注意点2で説明した衛生面での注意点に加え、宿泊者の安全の確保を図るための措置が義務付けられています。

安全確保のための措置の具体的な内容には非常用照明器具の設置、避難経路の表示、火災その他の災害が発生した場合における宿泊者の安全の確保を図るために必要な措置、の3点があげられています。

住宅宿泊事業者は、宿泊者の安全の確保を図るため、届出住宅に以下の措置を講じる必要があります。[1] 非常用照明器具の設置[2] 避難経路の表示[3] 火災その他の災害が発生した場合における宿泊者の安全の確保を図るために必要な措置

http://www.mlit.go.jp/kankocho/minpaku/business/host/resp…

民泊新法の家主不在型賃貸の注意点4:利用者に対する注意事項の説明

民泊新法の家主不在型賃貸では利用者に対する注意事項の説明が大切でしょう。注意事項の説明は日本の文化や生活習慣に慣れていない外国人が宿泊する際に特に重要になります。

注意事項の説明を管理業務の委託業者が怠らないよう確認をしておかないと、宿泊者が悪意なく近隣の迷惑になるような行為を行ってしまい、トラブルに発展してしまう可能性があるので注意が必要です。

民泊新法の家主不在型賃貸の注意点5:ゴミ出しや共有スペースの利用法

家主不在型賃貸の民泊で出たごみは住宅宿泊事業者が周辺地域の生活に悪影響を与えることがないよう責任をもって処理しなければなりません。

また家主不在型賃貸ではその物件の住人とトラブルになることがないよう、共有スペースの利用法についても細かく説明する必要があるでしょう。

民泊の賃貸・空き家物件トラブル3つ

民泊新法ができたのは周辺住民とのトラブルや安全面への配慮不足などの指摘に対して、旅館業法を改正していくだけでは民泊に対応することが困難になってきたからです。

ここからは民泊のニーズが高まり、数が増えていく中で発生するようになった民泊の賃貸・空き家物件トラブルを3つ紹介します。民泊をはじめるとトラブルに遭遇する可能性は誰にでもあるので、確認をしておきましょう。

民泊の賃貸・空き家物件トラブル1:入居者の勝手な転貸

民泊では他の人がオーナーのマンションや空き家を賃貸し、その物件をさらに転貸することで近隣住民とトラブルになるという事案が多く発生し問題になっています。

自分が所有する物件の一部が民泊として転貸されていた場合には、転貸をした人との賃貸借契約を解除できる可能性が高いので、他の入居者の迷惑にならないよう早めの対応が必要でしょう。

民泊の賃貸・空き家物件トラブル2:ゴミや騒音による住人の退去

民泊を利用する人は、物件を旅行で利用していることがほとんどで、その土地の環境やルールについて理解していないことが多く、その物件を賃貸し住居にしている人とゴミ出しや騒音でトラブルが発生することは多いです。

ゴミ出しや騒音トラブルが多発してしまうと、その物件を住居として賃貸している人の不満が高まり、住民の退去につながってしまう可能性もあるでしょう。

民泊の賃貸・空き家物件トラブル3:室内設置物などの破損

民泊に宿泊する人の中には、室内設置物を雑に扱い破損させてしまう人もいます。

破損にすぐ気が付けば宿泊者に賠償を求めることも可能ですが、破損に気付くのが遅くなった場合には、破損箇所の補修費用を自己負担しなければいけなくなることもあります。民泊を営む場合には室内設置物の破損についての明確なマニュアル作りが必要でしょう。

民泊トラブルの対処法4つ

民泊をはじめると周辺住民や宿泊者とトラブルになる可能性は誰にでもあります。ここからは民泊トラブルの対処法を4つ紹介します。

民泊をはじめようと検討している人は、民泊トラブルへの対処法を知り、実際にトラブルが起こったときに焦らず的確な対応ができるようにしておきましょう。

民泊トラブルの対処法1:賃貸借契約書の追記

民泊でトラブルが発生したときに、賃貸借契約書にそのトラブルに対応できる内容が書かれているかが重要になってきます。

民泊を始めるときにはトラブルに対応できるよう賃貸借契約書の内容を見直し、必要な内容を追記しておきましょう。

民泊トラブルの対処法2:マンション管理規約の確認

民泊をはじめるときにはマンション管理規約の確認が必要です。管理規約の内容を確認し、管理規約に違反することがないよう事前に対処しておくことで、トラブルを未然に防ぐことができるでしょう。

民泊トラブルの対処法3:文化や風習の違いを理解しておく

民泊をはじめるときには国によって文化や風習に違いがあることを理解しておくことが大切です。日本で当たり前のことが他の国では当たり前ではないということはよくあります。

当たり前だと思うことも念のため宿泊者に説明をしておくと、民泊トラブルを防ぐことができるでしょう。

民泊トラブルの対処法4:外国語で表記・配慮する

民泊はオリンピックの影響もあり、さまざまな国の人が宿泊するでしょう。民泊トラブルを防ぐためには外国語での表記など外国人への配慮が必要です。

外国人への配慮をしっかりしておくと、民泊トラブルを防ぐだけでなく外国人宿泊者が、また来たいと思える民泊になっていきます。

民泊を始めるには民泊新法をよく理解して賃貸することが大事

今回は民泊需要拡大によって作られた民泊新法と、空いている物件を民泊にする際のルールや注意点について詳しくみてきました。賃貸物件を民泊にする場合には、民泊新法をよく理解して賃貸することが大事です。

民泊は空いている賃貸物件を有効利用できるというメリットはありますが、賃貸物件を住居として使っている人とトラブルになる可能性もあるので、さまざまなトラブルを想定して的確な対処ができるようにしておきましょう。

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