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アパートを相続した人必見|相続後の手続きの6つと相続税の計算方法

2020 06.4この記事はPRを含みます

目次

アパートを相続するか検討する

アパート経営をしていた親が亡くなった場合、アパートを相続するか検討する必要があります。相続して経営を維持するのか、相続を放棄するのかはアパートの築年数や経営状態によります。

経営状態が良ければ家賃収入を得られますが、経営状態が悪い場合は入居者の募集や維持管理などでかえってコストがかかるでしょう。

ここでは相続した方が良い場合と、相続しない方が良い場合をご紹介します。

相続した方がいい場合

アパートの経営状況がよく、相続後も楽にその状態を継続できる場合は、相続した方がいいと言えます。立地が良く空室が出にくい物件や、築年数が浅くメンテナンスにそれほどコストがかからないなどの物件は、相続後も安定した収入をもたらしてくれます。

ただし相続する場合は、相続資金や経営を維持するための資金が必要になりますので、それらを準備できるか確認しましょう。

相続しない方が良い場合

アパートの老朽化がひどい物件や空室の多い物件であれば、相続しない方がいいでしょう。アパートは築年数がたつと空室が多くなります。入居者を増やすために大規模な修繕をするとしたら、修繕費がかさんでしまうでしょう。

アパート経営には建物の維持管理費など金銭面のコストのほか、住民同士のトラブルの解決などの労力がかかる場合もあります。それらを総合的に判断して、相続するかどうかを決めましょう。

アパート相続後の手続きの流れ

アパートを相続すると決めた場合、さまざまな手続きが必要になります。手続きを怠るとトラブルが発生したり、スムーズな相続手続きができなくなったりします。

相続には専門的な知識も必要になります。難しいと感じる場合や仕事が忙しくて時間が取れない場合には、司法書士へと依頼するのも一つの手です。

アパート相続後の手続きの流れ1:ローン残高の確認

相続したアパートにローンが残っている場合、ローンの返済義務も相続することになります。返済が難しい場合、相続放棄の手続きが必要です。またローンを相続する場合には、相続人変更の手続きをする必要があります。

ローン残高のあるアパートを相続する場合、負担付贈与に該当し贈与税が変わります。贈与する財産の評価額が贈与時の時価で計算されます。

アパート相続後の手続きの流れ2:アパートの権利関係の確認

相続するアパートの登記簿謄本を法務局で取得し、アパートの権利関係を確認します。登記簿謄本を確認する際に、不動産を特定する必要がありますが、被相続人の遺品の中に権利証がある場合は、手続きがスムーズになります。

予想外のトラブルを防ぐために、被相続人の単独所有なのか、誰かとの共有財産なのか、担保がついているかなどを調べておくことが大切です。

アパート相続後の手続きの流れ3:相続人の決定

相続人が複数人いる場合には、相続人を決定する必要があります。相続人の決定には、遺産分割協議を行い、協議の結果を「遺産分割協議書」として残しましょう。

遺産分割協議は相続人全員で行います。遺産分割協議書には、相続人全員が実印を押印する必要があるので、スケジュール調整や事前の印鑑登録など、スムーズな手続きができるように準備しましょう。

アパート相続後の手続きの流れ4:不動産の名義変更

相続人が決定したら、不動産の名義変更を行います。登記簿の名義変更には、法務局で登記申請書をもらい、戸籍謄本や印鑑証明書、評価証明書などの添付書類を揃えることが必要です。

登記する際に、固定資産税評価額の0.4%の登録免許税がかかるうえ、手続きを司法書士に依頼する場合の金額は、司法書士事務所によって異なります。

アパート相続後の手続きの流れ5:賃借人への連絡

アパートを相続し名義人が変わったことを、貸借人へ連絡します。家賃の振込先が被相続人の口座だった場合、被相続人が亡くなると同時に銀行口座が凍結されるため、貸借人は家賃の振り込みができなくなります。

貸借人には新しい大家の連絡先や振込先をきちんと連絡しましょう。そうすることで貸借人との信頼関係を築けます。また、賃貸者契約書の再発行は急いで行う必要はありません。

アパート相続後の手続きの流れ6:相続税の支払い

アパートの名義変更が完了したら、相続税を支払います。相続税とは、遺産総額が大きい場合にかかる税金です。相続を行う際、すべてに相続税が発生するとは限りません。ですが不動産相続の場合は、遺産総額が大きくなるため相続税が必要だと考えられます。

相続税は、相続の発生から10か月以内に現金で一括納付しなければなりません。相続税の支払いが難しい場合には、アパートの売却を検討する必要もあります。

アパートの相続税を計算するための5つのステップ

アパートの相続税は、5つのステップをきちんと整理すればご自身でも計算することができます。相続税の計算と言われると難しく感じ、間違った計算をしてしまうのではないかと不安を覚えることもあるでしょう。ですが、きちんとした手順を踏むことで相続税の計算が可能です。

それでは、アパートの相続税を計算するための5つのステップをご紹介します。

アパートの相続税の計算ステップ1:遺産総額を算出

アパートの相続税を計算するためには、遺産総額を算出する必要があります。遺産総額は、相続財産やみなし相続財産(保険金や退職金)から、借入金や葬儀費、非課税の財産をマイナスし、相続開始前3年以内に贈与された財産をプラスして算出します。

非課税の財産には、日常礼拝をしている墓地や墓石、相続人が棋譜をした相続財産、非課税枠内の生命保険金と非課税枠内の退職金があります。

アパートの相続税の計算ステップ2:基礎控除額を差し引き課税対象となる額を確定

相続税には「3000万円+600万円×法定相続人の数」で算出される基礎控除があります。遺産総額が基礎控除の額を下回った場合、相続税はかかりません。

基礎控除は、遺族が最低限の生活を維持するために必要な金額を確保する目的で設けられています。2015年以降相続税の基礎控除が縮小されましたが、基礎控除があることで遺産相続をされる方すべてが課税されるわけではありません。

アパートの相続税の計算ステップ3:法定相続分に基づく相続税額を算出・合計

基礎控除後に残った金額について、法定相続分に基づいた相続税額を算出し合計します。法定相続分とは、遺言等で遺産配分が決められていなかった場合、各相続人が遺産を相続できる割合です。ここでは遺言があっても一旦、法定相続分に基づいて算出します。

相続税額は、各人の法定相続分の額に税率をかけ、控除額を差し引いて算出するといったものです。税率や控除額は、取得金額によって異なります。

アパートの相続税の計算ステップ4:3の合計額を各人の相続割合で割り当て

ステップ3で算出した相続税の合計額を、各人の相続割合で割り当てます。ステップ3では法定相続分に基づいて相続税額を算出しましたが、その相続税の合計額は、遺言に従って割り当て直します。

これで、実際に遺産を相続した割合に基づいた相続税額が算出されました。ステップ5では、最終的な相続税額を確定します。

アパートの相続税の計算ステップ5:各人ごとに税額を増額・減額し相続税の額を確定

各相続人には、それぞれの事情に合わせて税額の加算や減額が行われます。加算されるのは、相続人が被相続人の1親等の血族や配偶者でない場合です。

減額されるのは、被相続人の配偶者や未成年、障害者の法定相続人です。被相続人が、相続開始前の10年以内に財産を相続していた場合も税負担が軽減されます。それぞれの事情を踏まえて税額を増額・減額し、最終的な相続税の金額が確定します。

アパートの相続税を計算する注意点

アパートを相続する場合と、建物のない土地や住宅を相続する場合とでは、相続税の計算方法が異なります。

アパートなどの賃貸物件があると、土地の評価額が下がります。そのため節税対策として、相続した土地に新しくアパートやマンションを建築する場合があるので注意が必要です。ではアパートの相続税を計算する注意点を3つご紹介しましょう。

アパートの相続税を計算する注意点1:アパートの敷地と建物の価値は別々に評価

建物と土地は別々の不動産として扱われるため、アパートの敷地と建物の価値は別々に評価されます。土地は国税庁が定める路線価を元に算出されます。建物は市町村が決める固定資産税評価額をもとに算出されます。

路線価とは、土地が接している道路の価値に即して、その土地の評価額を決めるものです。路線価は市場価値の70%から80%と言われています。

アパートの相続税を計算する注意点2:敷地は資産価値の評価が市場価値より3段階で引き下げ

アパートの敷地は、資産価値の評価が市場価値より3段階で引き下げられます。まず第1段階に、土地は路線価を元に評価されるため、市場価格から20%から30%ほど割り引かれます。

第2段階として挙げられることは、土地にアパートを建てて賃貸していると、評価額が割り引かれる点です。第3段階として、アパートの敷地は「貸付事業用宅地」として評価額が下げられます。

アパートの相続税を計算する注意点3:建物は資産価値の評価が市場価値より2段階で引き下げ

アパートの建物は資産価値の評価が市場価値より2段階で引き下げられます。第1段階としてまず挙げられるものは、建物の価値が「固定資産税評価額」で評価されることにより、市場価格から30%から40%割り引かれるといった点です。

2段階として、建物を賃貸していると評価額が割り引いて計算される点が挙げられます。「借家権割合」と「賃貸割合」を用いることで、減額措置を受けることになるでしょう。

アパートを相続した際の対策

アパートを相続したままの状態で放っておくと、収益が増えるどころかコストがかかってしまう場合があります。アパートを相続したなら、良い経営状態を維持する必要があります。

一括借り上げをしているのか、どんな管理会社を利用しているのかを確認し、変更も検討しましょう。収益が見込めないのであれば思い切って売却を検討することも必要です。

アパートを相続した際の対策1:一括借り上げの見直し

一括借り上げをしている場合は、解約も視野に入れて見直しをしましょう。一括借り上げとは、賃貸アパートを不動産管理会社が一括で借り上げることです。不動産管理会社が貸主となり、入居者の募集から物件の管理まですべて行います。

空室があった場合でも取り決めた賃料が払われますが、不動産管理会社に家賃の10%から20%の手数料を支払わなければなりません。また、家賃は不動産管理会社が決めるため、家賃収入が減少する恐れがあります。

アパートを相続した際の対策2:管理会社の変更

相続をきっかけに、管理会社の変更をしましょう。アパートを所有していた親の代では、昔からの不動産会社との付き合いを大事にしている場合があります。

他社より高い管理料を支払っていたり、馴れ合いになって十分に物件を管理しなかったりする場合もあり、相続して子の代になったことがきっかけで、大手の不動産会社に管理会社を変更する方も多くいます。

アパートを相続した際の対策3:アパートの売却

収益が見込めないアパートなら、思い切ってアパートの売却も検討しましょう。築年数の経過した物件である場合、空室率が上がったり、修繕費に多大なコストがかかったりする場合が考えられます。

また、固定資産税も支払い続ける必要があるので、アパート経営を続けるのが難しいと感じたら、早急に売却しましょう。時間が経過すると物件の不動産としての価値が低下してしまいます。

アパート相続後の手続きを知りアパート経営をスムーズに行おう

アパート相続のためにはさまざまな手続きがあり、相続してからも経営を維持するためのさまざまな問題が存在します。しかし、入居者がしっかりと定着すれば安定した収入を得ることが可能です。

相続が発生する際は、葬儀などもあり落ち着いて行動することが難しくなります。事前に相続の手順をよく確認し、スムーズな手続きを行いましょう。アパート相続後の手続きをスムーズに行えば、その後のアパート経営も潤滑に進められます。

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