kinple金融(kinyu-)の世界をsimpleに

オーナーチェンジ(賃貸中)物件とは?購入・売却の際の注意点6つを紹介

2020 10.21この記事はPRを含みます

オーナーチェンジ物件(賃貸中)とは?

オーナーチェンジ物件(賃貸中)というのは、物件のオーナーと賃貸借契約を交わした者をその物件に入居させたまま物件を売却するというのもので、新しく購入したオーナーは、入居者のいる状態で物件を手に入れることになります。

こういった取引のことを「オーナーチェンジ物件」と言います。賃貸中の場合、そこで入居者と締結している賃貸権は、そのまま新しいオーナーへと引き継がれます。

賃中(ちんちゅう)とも呼ばれる

オーナーチェンジ物件(賃貸中)は、業界用語では略して賃中(ちんちゅう)と呼ばれています。

賃貸中というのですから、その物件には今誰かが住んでいて、貸している状態を表しています。それを持っているオーナーが、入居した人を退去させることなく利用させたまま売却します。

オーナーがチェンジするのでオーナーチェンジ物件といえば分かりやすいですが、業界では賃中と呼ぶようになりました。

空室との違いは?

オーナーチェンジ物件(賃貸中)物件を売却する場合と、空室の物件を売却する場合の違いは、単に、その物件に入居者がいるかいないかということになります。

新しいオーナーにとって、その物件を今現在の状態のまま手に入れたい場合に、賃貸中だと入居者との契約をやり直す必要はなく、新しく入居者を募集する手間を省くこともできます。

空室の場合は、それらの面倒な手続きは必要となりますが、新たな用途チェンジすることはできます。

オーナーチェンジ物件を購入する時の注意点とは?

オーナーチェンジ物件(賃貸中)の取引を行うと、その物件に入居している人との契約はそのまま新しいオーナーへと引き継がれることになります。

民法の借地借家法第31条(建物賃貸借の対抗力等)では、建物の賃貸借は、そこに登記などがなかったとしても、物件(建物)の引渡しが行われたとき、物件を取得したものはその効力を生ずる、となっています。

これらを踏まえて、賃貸中物件の購入には、さまざまな注意点が存在します。

借地借家法第31条| e-Gov法令検索

1:前所有者から義務を引き継ぐ

オーナーチェンジ物件(賃貸中)を購入するには、現在入居者と契約している一切の権利や義務を、前オーナーから引き継ぐことになります。

その義務というのは具体的に、建物を使用させる義務、建物を修繕させる義務、退去時の敷金返還義務、使用者責任の4つになります。

買主である新しいオーナーは、前所有者である売主(賃借人)が負っていた、入居者つまり賃借人に対する、これらの義務の一切を引き継ぐことになります。

第2条 定義 | 消費者庁

義務1:建物を使用させる

建物を購入した新しいオーナーは、旧オーナーから引き継いだ入居者に対して賃貸中の義務を引き継がなければいけません。

賃貸中の物件の入居者は当然その入居している建物を使用する権利があります。建物を所有するオーナーは、賃貸契約をした場合、入居者に建物を使用させる義務が生じます。

賃貸中の物件をオーナーチェンジしても入居者には建物を使用する権利があり、新しいオーナーになってもその義務は継続することになります。

義務2:建物修繕

賃借人であるオーナーは、賃貸借契約を締結している場合、その建物の入居者、つまり賃借人に対してその建物の使用をさせる義務があります。

入居者が物件を使用する際、物件に不具合などがあった場合には賃借人はこれを修繕しなければいけません。民法606条で「賃貸人は賃貸物の使用及び、収益に必要な修繕をする義務を負う」としています。

賃貸中でオーナーチェンジをした場合もこの義務は新オーナーへとそのまま引き継がれます。

賃貸人の修繕義務と賃借人による修繕 | 国民生活センター

義務3:退去時の敷金返還

建物の賃貸借契約を締結する場合、通常では敷金の差し入れが行われます。敷金の契約は賃貸借契約とは別の契約になりますがこの2つは関連のある契約といわれています。

賃貸中のオーナーチェンジをする場合には、賃貸借契約とともに敷金契約も引き継がれることになり入居者が退去時には、敷金の返還をする義務も引き継がれることになります。

もしオーナーチェンジする時に賃料に滞納があれば、強制的に敷金から控除することができます。

義務4:使用者責任

使用者責任というのは、民法第717条で規定されている、土地の工作物等の占有者及び所有者の責任で、建物に瑕疵(欠陥や欠点などのこと)があることで、他人に損害を生じるようなことがあった場合、被害者に対して損害賠償する責任を負わなければいけないというものです。

占有者、つまり入居者が防止策を怠らなかった場合には、所有者がその責任を負うことになり、オーナーチェンジした場合、この義務も引き継ぐことになります。

第2条 定義 |消費者庁

2:前所有者から権利を引き継ぐ

賃貸中の物件のオーナーチェンジを行う際には、前オーナーが担っていた義務とともに、権利も引き継ぐことになります。

オーナーが所有している権利というのは、取得した後の賃料債権、退去後に建物の返還を受ける権利、退去後に入居者に原状回復を行ってもらう権利などがあります。

新しいオーナーは、建物とともに、入居者もろとも引き継いでしまいますので、そこに発生する賃料などもそのまま受領する権利が発生します。

権利1:取得した後の賃料債権

賃貸中の物件を購入し、取得すると、それから入居者から振り込まれる賃料は新オーナーが受け取りすることになります。入居者からの賃料債権を受領する権利が新オーナーへと引き継がれるということです。

入居者である賃貸人からすると、ただ振込先の名義や口座番号が変更されただけで、大きな変化は感じられないでしょう。

権利2:建物返還を受ける

賃貸借契約では、入居者がその建物から退去する場合には、賃貸人に返還する義務があります。そのため賃貸中にオーナーチェンジがされていても、もともとのオーナーにではなく、新しいオーナーに対して返還することになります。

賃貸中の新しいオーナーは、建物を入居者ごと取得したときに、この建物の返還を受ける権利も引き継いだことになります。

権利3:退去後に入居者に原状回復させる

賃貸借契約には、入居者はその借り入れていた建物を退去する場合、はじめに借りたときの状態に建物をもとどおり復帰させることが義務づけられています。

壁に穴を開けたり、電化製品などを設置したりした場合には、自分で取り外して原状回復する必要があります。

賃貸中でオーナーチェンジをしても、この権利は新しいオーナーへと引き継がれて、入居者は原状回復をさせて建物を返還しなければいけません。

オーナーチェンジ物件(賃貸中)のメリット

オーナーチェンジ(賃貸中)の物件を購入した場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。すでに賃貸人のいる建物を購入する賃貸中では、自分で賃貸人の募集など煩わしい手続きなどする必要はなく、はじめから安定した収入を得ることができます。

これからの収支も、目に見える形の状態で前オーナーから引き継ぐことができますので、不動産投資として活用するにはさまざまなメリットを実感することができます。

1:相場より安い場合、退去後の物件価値があがる

賃貸中の場合には、内装の確認がとれませんので、現在どのような状態なのかを把握することはできません。家賃が周囲の物件の相場に比べて安い場合、内装が古くて汚いといった想像をすることもできますがそれだけでない場合もあります。

将来の景気などを見据えていく必要がありますが、現在相場よりも安い賃料であるということは入居者が退去したあと、フルリフォームをして賃料をあげれば、相場がぐんとあがることも想定されます。

2:前オーナーの知見を生かせる

賃貸中の場合には、実際そこで賃貸物件を扱ってきた実績がありますので、手探りで何もかもはじめから行うわけでないだけでも、大きなメリットになります。契約前に前オーナーがそこで行ってきた賃貸借契約を見ることで、あらゆることがわかります。

入居者の状態や周囲の環境、賃料など前オーナーの知見を交えながら、その物件を判断することができますし、また購入後もその物件をどのように生かすかを参考にすることができます。

3:不動産ローンの融資を受けやすい

賃貸中の場合には、実際にその物件は賃貸借契約が行われてきており、実績がしっかりとありますので、まったく新しいものよりは信用性の高いものであると判断されます。

そのため賃貸中の物件は信頼性の高さにより、不動産ローンの融資を受けやすいというメリットがあります。

環境や土地の価格などもありますが、入居者や賃貸料収入の安定が融資の判断に大きな影響を与えることになります。

オーナーチェンジ物件(賃貸中)のデメリット

オーナーチェンジ物件(賃貸中)の場合には、さまざまなメリットがあって、とてもお得なイメージがありますが、また次のようにデメリットも存在します。

デメリットがどのようなものがあるかというところもしっかりと知った上で、検討することをおすすめします。

不動産投資をするには、将来を見据えておくことは大事ですが、決断する前にどんな些細なこともしっかりと納得するまで調査しておく必要があります。

1:購入前に室内の確認できない

賃貸中の場合には、入居者がいるため、オーナーであっても勝手に建物の内部を確認することはできません。

外観だけではわかりにくい内部の事情などがあることがあります。設備が思いのほか古かったり、ボロボロの場合などもあります。

退去後にかなり手を入れないといけないことになったり、入居者から修繕を言われたりすることもあります。

2:家賃の価格設定が適切でない可能性がある

賃貸中の物件の場合、周囲の相場や物件の内実などを見ても、大幅に違うことがあり、適切な価格設定がされていない可能性もあります。

長い年数、賃貸借契約が行われていて相場とはそぐわなくなっても、変更されずそのまま契約が続けられていることがあります。

また家賃滞納などがあっても、家賃保証会社との契約がなされていなければ、自ら督促の手続きをする必要もでてきます。

3:借家賠償が契約されていない場合がある

賃貸借契約を行う際、通常、入居者となる人は、借家人賠償責任保険(借家賠償)という保険に加入する必要があります。

しかし保険期間が過ぎて継続の手続きをしなかったり、更新手数料を支払わなかったりして、保険契約の継続が徹底されておらず保険が切れてしまっていることがあります。

4:入居者の属性を選べない

賃貸中の場合は物件を購入したときにすでに入居者がいる状態なので、属性について詳しく知ることはできません。

入居するところからはじめていれば、どんな人物であるか契約の際に知ることはできますが、賃貸中で物件ともども入居者を引き継ぐため正確に把握することができません。

さらに最近は個人情報保護の観点から確認書類の取り扱いは慎重なため、保管している資料からも確認するのは難しく、属性を選ぶことは難しいでしょう。

賃貸中の物件を売却する時の注意点

賃貸中の物件を売却するには、さまざまな理由があるでしょう。まとまった資金が必要になったとか、物件の経営が困難で続けていくことができなくなったなど、すぐにでも売却をしたい場合、上手に売却するには注意点もいくつかあります。

賃貸中の物件を失敗せずに売却するには、このままオーナーチェンジでの売却のほか、居住用として売却することも考えて幅広い方法を考える必要があります。

1:管理会社から入居者に購入の意思を確認

賃貸中の物件を売却する場合、入居者がこの物件が欲しいかどうか、その意思を確認します。

そのまま購入の意思があるのなら、入居者に売却することができます。ただし、新築物件ではありませんので、住宅ローンを借り入れすることができないため、その点には注意が必要です。

2:退去の予定を確認

賃貸中の物件を、住居用に購入を考えている人に売却をする場合、入居者には退去してもらうことが必要になります。

しかしオーナーの都合で、強制的に入居者を退去させることは困難ですし、売却したいときにタイミングよく退去してくれるわけでもありません。

入居者の退去の予定を聞いて、そのタイミングに合わせて売却の準備をしておくようにするか、できれば住宅用として購入を考えている人をターゲットにはしないことが無難です。

退去の予定がある場合一般の売却物件として売る

入居者がタイミングよく退去してくれたり、内覧に応じてくれたりはなかなか思い通りにはいきませんが、もし退去の予定がある場合には、オーナーチェンジではなく、一般の物件として売却をすることになります。

入居者が退去すると、賃貸中ではできなかった内覧することも可能になりますし、内装工事をして賃料アップにもつながります。物件を購入したときよりも高い価格で売却も見込めるでしょう。

3:周辺の家賃相場を確認

賃貸中の物件を売却する場合には、周りの物件の家賃の相場を調査しておく必要があります。

入居者がいる場合には、購入する人から依頼があっても内覧することはなかなかできません。どういった物件か確認をせずに購入するわけですから、周囲の家賃の相場は、購入判断の基準になります。

高くても低くてもあまりにも金額がかけ離れているのは、購入者から警戒される可能性があるので根拠を示す必要があるでしょう。

4:前オーナーから預かっている敷金を確認

賃貸中の物件を売却する場合には、購入者に入居者の敷金をそのまま渡す必要がありますので、前オーナーから預かった敷金を確認しておきましょう。

入居者が退去する際に、必要になりますので、入居者の数と揃っていることが求められます。

賃貸中の物件を購入・売却する時の注意点を押さえておこう

賃貸中の物件を購入するとき、また売却するときには、どのような点について注意する必要なのかを押さえておくことが大切です。

そして賃貸中の物件のメリットデメリットを知って、お得に活用しましょう。

\ お金の勉強をしよう/
ページの先頭へ