基礎工事の工程11個|現場で確認する5つのポイントについても解説!
2020 10.21この記事はPRを含みます
基礎工事とは
基礎工事とは、住宅建築の基礎を形づくる重要な工事で、不動産オーナーとしてはしっかりチェックしたいポイントです。しかし、住宅基礎工事は間取りや内装のように普段目にすることがないため、何に注意したらよいか分からないという声が多いのも事実です。
基礎工事をチェックするには、基礎工事がどのような工程で行なわれるのか理解することからはじめることをおすすめします。基礎工事の11に工程と、チェックポイントをご紹介するので、現場で基礎工事チェックするときの参考にしてください。
基礎工事の重要性
基礎工事は、安全で長持ちする住宅を建てるために非常に重要な工事です。測量・配筋・コンクリート打設などの工程で、専門知識と技術が必要なため、基礎専門の基礎屋と呼ばれる職人が施工するケースが多く、素人では工事品質の判断が難しい部分です。
しかし、抜き工事などがあると、あとから修復するのは非常に大変なので、施工中に現地を確認することで、できる限りリスクを小さくすることをおすすめします。
基礎工事の工程11個
基礎工事をチェックするといっても、基礎工事自体がどのようなものかわからないと、現地で何を確認すればよいかわからないのではないでしょうか。
基礎工事には、ベタ基礎と布基礎の2つが主流とされていますが、今回は一戸建で多く採用されているベタ基礎の工法の工程をご紹介します。
ベタ基礎の基礎工事には、11の工程があり、それぞれチェックすべきポイントがあります。基礎工事で行なわれる11の工程について解説します。
基礎工事の工程1:地盤調査
住宅を建築する前に地盤の強さを調べることを地盤調査といい、この地盤調査の結果に基づき、基礎工事の内容が決まります。
調査の結果、地盤に大きな問題がないと判断されれば、そのまま工事に入りますが、地盤が弱いと判断された場合は、地盤を改良したり、杭を打ち込んだりするなど、補強工事が必要となります。
地盤調査を行なわないと適切な基礎工事ができませんので、地盤調査の実施状況と実施結果は確認してください。
基礎工事の工程2:遣り方工事
基礎工事の工程で2番目に行なうのが、「地縄を張る」ともいわれる遣り方工事です。この遣り方工事とは、建物が土地のどの部分に建つのか分かるように糸やロープを張る仮設の囲いのことです。
仮設の囲いではありますが、立体の設計図のようなもので、基礎工事における基礎ともいえる重要な工程です。遣り方工事を間違えると、図面と異なる建物になってしまう可能性もあるため、設計図と見合わせて現地確認することをおすすめします。
基礎工事の工程3:掘削工事
基礎工事の3つめの工程は、掘削工事です。掘削工事は現場では「根切りをする」ともいわれ、パワーショベルをはじめとした重機で、建築物の基礎の底となる深さまで土を掘る工事です。
掘削工事をすることで、基礎の底板面と地盤が接する部分を形作っていくのです。
基礎工事の工程4:砕石を敷いて転圧
基礎工事の4つめの工程は、砕石を敷いて転圧する作業です。建築物の基礎が配置される予定の地面に、砕石と呼ばれる細かく砕いた石を敷きつめ、地盤を固めていきます。
砕石を敷いて転圧する作業は、このあと上に載る基礎部分の重さを均等に地盤面に伝達するためにおこないます。
基礎工事の工程5:捨てコン・墨出し
基礎工事の5つめの工程は、捨てコン・墨出しです。固めた地盤の上に、地盤面から上がってくる湿気を絶つ防湿シートを敷いて、捨てコンと呼ばれるコンクリートを流し込みます。
コンクリートが乾いたあと、基準線を引く作業を行ないますが、このことを墨出しといいます。
捨コンの目的は、基礎の墨出しをするための下地をつくることと、型枠や鉄筋を組むための整った地面を確保することです。
基礎工事の工程6:配筋工事
基礎工事の6つめの工程は、鉄筋を組んでいく配筋工事です。配筋工事は建築物の基礎となる底盤を先に行ない、そのあと立ち上がり部分の工事の順番で行ないます。
配筋工事は、墨出しをしたところへ鉄筋を並べて、細い針金のような結束線で鉄筋を連結させていきます。こうすることで、このあとコンクリートを打設したときに、鉄筋がずれることを防いでいるのです。
基礎工事の工程7:型枠組みと生コン打設
基礎工事の8つめの工程は、型枠組みと生コン打設です。基礎型枠組みと生コン打設は建築物を建てる位置に鉄筋を組み、コンクリートが漏れないよう型枠を組む作業です。
捨てコンクリートに描かれた芯墨・遣り方の糸を基にしてコンクリートが漏れないよう外周から内部へ順に型枠を設置し、底盤部分からコンクリートを打設していくコンクリート基礎工事となります。このあと、コンクリートの強度が発現するまで、1週間程度の期間養生します。
基礎工事の工程8:立ち上がり部分の型枠組み
基礎工事の8つめの工程は、立ち上がり部分の型枠組みです。基礎立ち上りの内側面の型枠を設置しますが、このタイミングで基礎コンクリートと柱をつなぐためのアンカーボルトを設置します。
アンカーボルトは住宅の構造上、非常に大切な補強金物ですので、適切に使われているかどうかチェックするポイントにもなります。
基礎立ち上がり部分の型枠が配置されると、図面通りに基礎工事が施工されたかどうか確認できるようになります。
基礎工事の工程9:養生
基礎工事の9つめの工程は、コンクリートの養生です。コンクリートの養生は、コンクリートを型に流し込んでから十分な強度を確保できるまでの期間に外部の影響を受けないよう保護するために行います。
夏季は直射日光や水分の蒸発を防ぐために養生マットや水密シートなどが用いられ、冬季は凍結防止のためにシートや断熱材が用いられるなど、季節や気候状況によって適切な養生が必要です。
基礎工事の工程10:型枠ばらし
基礎工事の10番目の工程は、型枠ばらしです。型枠ばらしとは、コンクリートの養生していた型枠を撤去する作業のことです。
養生開始から型枠ばらしまでの一般的な日数は、平均気温10℃~20℃の環境では6日以上、20℃以上の場合は4日以上とされています。型枠ばらしまでの日数が短すぎるようなときは、型枠ばらしするタイミング判断の根拠を確認することをおすすめします。
基礎工事の工程11:仕上げ
基礎工事の最後工程は仕上げ作業です。仕上の工程で行なうのは、別途必要となる勝手口などの土間や給湯器置場の打設や、不要なコンクリートの除去です。
不要なコンクリートの除去は、コンクリートの接合部のでっぱりやギザギザな部分をサンダーで削るなどして、きれいに落としていく作業となります。仕上を行なうことで、見た目はもちろん、高い安全性と長持ちする住宅の基礎ができるのです。
オーナーが基礎工事の工程で確認すること5つ
基礎工事の11工程について見てきましたが建築中にどのようなタイミングで、どのようなポイントをチェックしたらよいのでしょうか。
11の工程を押さえておけば、最低限押さえておきたい基礎工事のポイントをチェックすることができるでしょう。ここでは、オーナーが基礎工事の段階でチェックできる5つのポイントをご紹介します。
確認すること1:基礎工事の前の地盤調査
地盤調査は、どのような基礎工事が必要か判断するために欠かすことができません。万が一、基礎工事の施工業者が、地盤調査をせずに基礎の種類を選んでいたとしたら問題です。
適切な基礎工事を行なわないと地盤沈下や建物が傾く原因にもなるため、地盤調査を行なってから基礎工事に入っているかどうかは最低限チェックしてください。
また、地盤調査の結果を聞き、リスクに対してどのような対処をするのかも把握しましょう。
地盤調査の方法と補強方法の確認
地盤調査の方法には、ボーリング標準加入試験やスウェーデン式サウンディング試験などがあります。また、最近では地盤の強さだけでなく、地震の際の揺れやすさを調査する微動探査が行なわれることも多くなっています。
どのような地盤調査方法を採用しているのか、また、調査の結果や調査結果に基づく補強方法について、施工業者へ確認するようにすることをおすすめします。
確認すること2:コンクリートかぶり厚は不足していないか
コンクリートかぶり厚とは鉄筋を包み込むコンクリートの厚みのことで、かぶり厚が厚いほど鉄筋コンクリートの寿命が長いと判断できます。
かぶり厚は建築基準法で定められていて、基礎の立ち上がりは4cm以上、耐力壁・柱・はりは3cm以上、壁・床は2cm以上、その他の基礎部分は6cmです。チェックする際は、かぶり厚が基準を満たしているかを見るとよいでしょう。
万が一かぶり厚が足りていない可能性のある箇所があったときは、すぐに確認してください。
確認すること3:スリーブや配管と鉄筋が密着していないか
基礎の立ち上がり部分には、水道やガスの配管を通す穴が必要ですが、コンクリートが固まってから穴を空けるのは手間がかかるでしょう。そこで、コンクリートを流し込む前にスリーブという穴を開けます。
このスリーブ菅や配管と鉄筋が密着してしまうと、コンクリートがうまく流れなくなります。このようなミスを防ぐためには、スリーブ管の固定に専用の支持具を使うことが有効とされています。
確認すること4:アンカーボルトの不具合はないか
アンカーボルトは基礎部分と土台をつなぐ金物で、地震のときに建物が基礎から浮き上がったり外れたりしないようにするためにとても重要なものです。
アンカーボルトの不具合で多いのが、アンカーボルトの設置位値が図面とあわなかったり、アンカーボルトにずれや傾きがあったりすることです。
現場では設計図を元に、アンカーボルトが設置されているか、正しく取り付けられているかチェックするようにしましょう。
確認すること5:手抜き工事はないか
結論からいうと、素人がプロの仕事が手抜きかどうか判断するのは難しいです。手抜きかどうかチェックするより、適切な対応を行なっているかをチェックした方がよいでしょう。
たとえば、コンクリートは雨が降ると強度が弱くなるため、晴れの日に行なうのが一般的です。また、暑すぎる日・寒すぎる日にコンクリート打ちした場合は、気候に応じた養生をおこなっているかであれば、素人でもチェックできるのではないでしょうか。
基礎工事の工程を把握し安全な建物を作ろう
基礎工事に欠陥が見つかった場合、修正するのはお金も手間もかかるため、なんとしても避けたいものです。そのためには、基礎工事期間中に大家自らが現地へ赴き、適切な工事が行なわれているかチェックすることが有効です。
基礎工事の11の工程を把握しておけば、工程表を元に事前にチェックポイントを押さえることができます。どこを、どのような視点でチェックすればよいかわかれば、素人でも現場確認は可能です。